間接的昆虫食が世界を飢餓から救う

執筆者 農学部2年 福山ひなの
(2020年8月)

私たちは農学部生ならではの科学的な視点を活かして、地域の方々に食に関する興味や知識を持っていただけるようなイベントや企画を開催しています。

2019年度は、農学部収穫祭2019や香川大学博物館特別展などを通して「間接的昆虫食」を広める活動を行いました。「間接的昆虫食」とは、昆虫を家畜の飼料として与え、その家畜から得られた食料を人間が食べるというものです。世界では人口増加に伴う深刻な食糧不足が危惧されています。そこで、現在注目されているのが「昆虫食」です。私達は新しい栄養源としての「昆虫食」の実現化に向け、その第一歩として「間接的昆虫食」の提案を行っています。そして、地域の方々に少しでも「昆虫食」について関心をもっていただき、身近に感じていただくことを目指しています。

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世界の現状
「世界の人口推移」のグラフを見てわかるように世界人口は年々増加しており、今後も増え続けることが予想される。地域ごとに見ると、アジアやアフリカでの人口増加が著しくなっている。それを踏まえた上で「世界の飢餓の現状」のマップグラフを見てほしい。飢餓人口の割合が高い国々はアフリカを中心にアジア、南米北部に広がっている。飢餓や栄養不足に陥っている人は8億人を越えており、これは世界の9人に1人が飢餓や栄養不足に苦しんでいる計算になる。このまま飢餓人口の多い状態が改善されず人口だけが増えていくと、より一層飢餓人口の割合が高くなってしまう。このような負の連鎖を絶ち切るためにはどうすればよいか?いくつかの解決策が考えられているなかで、Lieto Ottimoは昆虫食について取り上げている。

農学部収穫祭2019では、来場者の方々に昆虫飼料ミルワームを用いた卵を使って作ったプリンと、用いていない卵を使って作ったプリンの食べ比べをしていただき、昆虫飼料に対する意識調査を行いました。その結果、多くの方が昆虫飼料を用いて作ったプリンの方がおいしいと感じており、さらに70%以上の方から昆虫飼料への抵抗が以前より減ったとの回答を得ることができました。また、べっこう飴を来場者の方々の前で実際に作り、試食していただきました。べっこう飴が固まる仕組みや、砂糖の働き、砂糖の色の変化についても説明し、科学を身近に感じてもらう取り組みも行いました。

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昆虫飼料の知名度をさらに上げるために、香川大学博物館で実施した特別展『新しい昆虫食の世界』では、ポスターやパネル、飼料サンプルの展示に加え、動画の作成や口頭説明を行いました。さらには来館者に向けて昆虫食に対するアンケートも行い、そこでは90%の方が間接的昆虫食に興味をもてたという結果が得られました。また、直接的昆虫食に抵抗があるという回答をされていた方は、半数以上いましたが、昆虫飼料を用いて作った食材については80%もの方から抵抗がないという回答を得ることができました。博物館の来館者の中には「昆虫食に対してのイメージが変わった」等の感想を寄せてくださった方もおり、活動に意義があったのではないかと感じます。

このような私たちの活動は、ラジオ・新聞などに取り上げられ、「間接的昆虫食」が世界を飢餓から救う存在になると注目されました。また香川県からも高く評価され、「令和2年度青少年育成香川県民会議の青少年善行者(団体)」として本サークルが表彰されました。家畜に代わる新たなタンパク質源として注目されつつある「昆虫食」ですが、今後も活動を通して「昆虫食」に対する抵抗を軽減していくとともに、「昆虫食」をさらに多くの方に知っていただきたいと考えています。

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