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執筆者 教育学研究科教科教育専攻(美術分野)2年    河西紀亮
(2020年7月)

香川大学アートプロジェクトチームは、2013年、地域でのアート活動を通して、社会貢献と美術教育・美術制作技術・理論を学ぶことを目的に発足。現在、教育学部(美術領域)・教育学研究科の学生8名が活動しています。

香川大学アートプロジェクトチームとして活動するなかで、高松市塩江町とまんのう町、綾川町、三豊市などで開催されているアートイベント「かがわ・山なみ芸術祭」では、人との出会いと新しい経験に恵まれ、多くのことを学ぶことができました。

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綾山湖水神の道路壁画は、香川大学アートプロジェクトチームが「かがわ・山なみ芸術祭」と関わった最初のイベント。

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まんのう町にある西内花月堂の壁に様々な乗り物を描写。今は走っていない琴電車両も描かれている。

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香川大学アートプロジェクトチームメンバー

2015年、「かがわ・山なみ芸術祭」に出展している仏人アーティスト、オスカー・ロベラス氏から、パリで展示する作品の制作協力依頼がありました。オスカー氏の指示を受けながら、塗料を塗る、素材を接合するなどの制作過程に携わらせてもらい、近い場所で作家が持つ芸術の思想や作品の目指すところを共有することができ、大変貴重な経験を得ることができました。

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旧まんのう町立琴南東小学校体育館で行ったオスカー氏の作品制作サポート。材料には造船用の繊維素材とロープが使われた。

4osuka355.jpgサポートした作品はパリ工芸博物館敷地内に展示された。

3osuka355.jpg作品について解説するオスカー氏「人と人、人の心や夢をつなぐ。自然の力に捧げる空間の創作品。」

2019年、埼玉県在住の木彫作家高梨裕理氏の彫刻作品を旧琴南中学校の玄関ロビーに設置するサポートでは、作品の角度の調整や安全性の確認を、日が暮れるま2019年、埼玉県在住の木彫作家高梨裕理氏の彫刻作品を旧琴南中学校の玄関ロビーに設置するサポートでは、作品の角度の調整や安全性の確認を、日が暮れるまでこだわる姿勢に作家が作品作りに掛ける熱意と想いを肌で感じました。でこだわる姿勢に作家が作品作りに掛ける熱意と想いを肌で感じました。


国営讃岐まんのう公園で開催されるワークショップ「アートフラッグ」と「あじさいパラソル」には、子どもから大人や高齢者まで幅広い層の方々が参加されます。アートを通して、来場者と触れ合える時間を持つことができたことは、教育学部の学生として大きな学びになりました。

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讃岐まんのう公園で開催された「アートフラッグ」のワークショップ。

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讃岐まんのう公園で開催された「アートフラッグ」のワークショップ。

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讃岐まんのう公園内にワークショップで制作したアジサイの傘が咲いた。

2016年には、「国立療養所大島青松園」の売店へ壁画制作に行きました。入所者の方々からの「自分たちの子どもの頃の絵があれば嬉しい」との声を受け止めて、この場所にふさわしく皆に愛されるものになることを目標に描きました。大変な制作活動でしたが、入所者の方々に支えられながら制作をやりきれた時の大きな達成感は忘れることができません。

香川大学アートプロジェクトチームの活動を通して、様々な発見と学びに出会いました。過疎と呼ばれる地域では学びの場が失われているという現実を知り、大学での授業だけでは知ることのできない教育の問題があることに気づくことができました。また、あらゆる場面において多様な考えや捉え方があるということを考えるきっかけにもなりました。アートプロジェクトチームで得た経験を、これからの制作活動や教育活動にいかし、様々な子どもたちの意見と寄り添い、共に考えることができる教員を目指していきます。