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長期入院中の子どもたちに、カメラ付きのロボット「オリヒメ」を活用してリモートで四国水族館を見学してもらった。台車でオリヒメを移動させて館内を回り、説明も加えながら子どもたちに見てもらった。イルカのプールの撮影(左から二番目の学生の前にオリヒメ)では、イルカがジャンプしたときに病院で見ている子どもたちから歓声が上がった。

児童問題研究会ひばり(現ひばり)は、発達に困難を抱える子どもや、長期入院を必要とする子どもたち、そしてその家族と交流し、支援するとともに、その経験を将来の医療者として役立てることを目的に、1983年に設立された、香川大学医学部のボランティアサークルです。現在は、高松平和病院で障がいを抱える子どもと月に一度交流する「おひさま教室」と、慢性疾患などで長期入院を必要とする子どもや、その家族と交流する「小児病棟ボランティア」を、主な活動内容としています。

おひさま教室では、発達に困難を抱える子どもたちへのアプローチの仕方に難しさを実感しました。例えば、一緒に散歩をしたとき、花や車、電車等、周りの色々なものに強く興味を示して、その場から動いてくれないことが多くあります。最初はそういった時にどうすればいいかわかりませんでしたが、子どもたちと接するうちに、同じ目線に立ち、うまくリードしてあげれば進んでくれることがわかりました。一緒に歩くということでも、たくさんの時間が必要で、寄り添うことの大変さを痛感しました。

小児病棟ボランティアでは、長期入院中の子どもたちとの交流を通して、子どもたちとの関わり方を学んでいます。入院が必要な子どもは、普段、私たちが当たり前のように赴く、学校や娯楽施設、またイベント等への参加にも困難を抱えています。そうした問題を解決するために、一緒に遊んだり勉強したり、ハロウィンパーティーなどのイベントを開催したりしています。さらに、ロボットを用いて、遠隔で水族館などの映像を見てもらい、少しでも楽しんでもらえるように試みました。退院される際に、子どもやご家族から感謝のメッセージを頂いたことは、私にとって非常に心を動かされるものでした。

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おひさま教室の活動で芋掘りを行う

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小児病棟ボランティアの活動でハロウィンパーティーを行う

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カメラ付きロボット「オリヒメ」で水槽を撮影

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活動制限時はZoomで子どもたちとコミュニケーション

こうした活動は、私たちがこれから医療従事者として働く上で、貴重な経験となることでしょう。そして、子どもたちやご家族にとって、年齢の近い私たち学生と関わることで、子どもたちの成長において意味があるものになることを願っています。新型コロナウイルスの影響で、この2年ほどは対面での活動もかなり制限されていますが、Zoom等を用い、社会状況に合わせて工夫し、この活動を次の世代に繋げていきたいと考えています。

医学部4年 寺島凜太郎

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「児童問題研究会ひばり」が1983年設立以来行っている、発達に困難を抱える子どもたちへのボランティア活動、入院中の子どもたちへの学習支援等の社会貢献活動が認められ、「内閣府特命担当大臣表彰」を受賞しました。内閣府では、地域における子どもや若者の社会貢献活動において顕著な功績のあった個人又は団体を、「未来をつくる若者・オブ・ザ・イヤー」として内閣総理大臣及び内閣府特命担当大臣から表彰しています。