WE ARE PIRATES WHO STEAL YOUR HEART.
我ら心を奪う海賊団。
GAME CHANGER -創造的自由奔放集団-
https://gamechanger-bomb.com/new-project/
本プロジェクトは、東かがわ市引田の造船所跡地にて、まちの人々との関わり合いの中で、全長10mの海賊船のオブジェを制作する一連の物語を生み出していくものだ。制作チームは、造形・メディアデザインコースの学生で構成し、個々の得意分野（映像制作、グラフィックデザイン、立体造形など）を生かしながら制作を進めた。
プロジェクトの背景には、少子化が深刻化する地元（東かがわ市）の現状に感じていた寂しさがある。「無邪気に外で遊ぶ子供たちとそこに集まるまちの人々」という幼き日に経験した構図は、今もこのまちにあるのだろうか。この疑問は、まちの人々の繋がりを改めて確かめる必要性を感じさせた。その手段として選択したのが、ある日ふと思った「海賊になりたい」という無垢な野望に挑むことであった。純粋で混じり気のない野望や夢は、あらゆる世代を夢中にさせられると期待したからだ。実践の結果、大きく立派で美しい海賊船が完成し、まちの人々の強くてユニークな繋がりのカタチが可視化された。
プロジェクトは、制作場所探しや資材・資金収集から始めた。まちの人々に協力を呼びかけると、多くの人々が制作場所や十分すぎるほどの資材を提供してくれた。資金収集にクラウドファンディングを用い、目標金額を優に越える40万1500円を集めることに成功した。自分たちのできる方法で情報発信を続け、活動は徐々にまち中で知られるようになっていった。真夏の猛暑の中でも、毎日のように誰かが造船所に訪れ、差し入れを置いていってくれた。ちょうど設計に困っていた時に、たまたま大工さんが訪れて、助言をもらったこともある。遊びに来る小学生たちの笑顔は、僕たちにエネルギーを注いでくれる。まちの人々のあたたかさのおかげで、真夏の過酷な作業も乗り越えることができた。 10月に開催した展示イベント「宴と出港」では、映像や照明制御などで海賊船をかざった。また、地元の飲食店や地元に住むDJの方とコラボし、イベントを盛り上げた。そこには目をきらきらさせる子供や、DJが奏でる音楽に体を委ねて踊る大人たちがいて、東かがわ市の全エネルギーが造船所に宿っているようだった。
僕たちと東かがわ市の人々で創り上げてきたこの物語の美しさは、確かにそのパワーと繋がりの強さを証明したと思っている。誰かが呟いた夢を媒介に、いろんな人が集まって、繋がりができていって、お互いに支え合うようになる。そして、何だか一生懸命にやっていくうちに、希薄化していた繋がりが世代を超えてまた現れていく。それは、思い描くべき地域社会の未来図であると信じている。いつかこの物語を聞いた誰かが、新しい物語を創り始める。このプロジェクトをきっかけに、そんなサイクルがこのまちにもたらされることを祈っている。
創造工学部3年 三谷なずな
GAME CHANGER メンバー