香川大学 医学部・薬理学
教授 西山 成
生活習慣病・薬理学
2019/10/01 掲載
研究結果の概要
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で飼育されたマウスを利用した研究が開始されます。微小重力で生じる浮腫(むくみ)が、皮膚のナトリウムイオンなどの金属元素の異常によって生じているのかどうかについて検討します。
研究の背景
最近、DUKE大学シンガポール校と共同で「皮膚のナトリウムイオンが全身の代謝に関与している」ということを発見したが、皮膚のナトリウムイオン濃度が宇宙空間でどのように変化するのか、またそれが微小重力で生じる浮腫(むくみ)の病態に関与しているのかどうかについては、明らかではありません。無重力という、生命にとっての極限状態での皮膚の水分やナトリウムイオンを測定し、将来はこれらの変化によりどのような病気が生じているのか、さらにどのようにコントロールすればそれを防げるのかを明らかにするのが、今回の研究の目的です。
研究では、JAXAから提供された宇宙空間で飼育したマウスと、地上の無重力状態で飼育したマウス、地上で普通に飼育したマウスの3種類を比較します。それぞれの皮膚に含まれ、体の水分保持や代謝に影響を与えるとされるナトリウムイオンなど金属元素の働きや構成を解析するなどして、微少重力が皮膚機能に与える影響を調査します。
研究の魅力
世界中のいろんな分野の方々と夢を語れます。
研究を始めたきっかけ
医学部生のときの先生のススメ。
この研究の将来的な展望
この研究により、宇宙飛行士が微少重力で生じるからだの変化、例えば浮腫(むくみ)などの発症メカニズムが明らかとなり、新しい予防法につながる可能性があります。また、皮膚のナトリウムイオンの異常によって生じる疾患に対する新しい治療法の開発につながることが期待されます。将来、我々が宇宙空間で生活する上で、非常に重要な研究になると思います。
今、お読みの本を教えてください
ハンス・ロスリング「FACTFULNESS」、
松下幸之助「道をひらく」
趣味
飲み歩き・食べ歩き
発表論文のURL