四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構
地域強靭化研究センター
特任教授 金田義行
地震学、減災科学
2018/06/07 掲載

研究結果の概要

 我々が開発した海底観測網:DONET(地震・津波観測監視システム)は、南海トラフ巨大地震震源域に設置され、地震津波を早期検知しリアルタイムで気象庁をはじめ関係機関に情報発信するシステムです。また、DONETは各種地震計や水圧計を備えた51の海底観測点で構成されています。これらの観測データと津波シミュレーションデータベースを併せたリアルタイム浸水予測システムはすでに和歌山県に実装されており、現在三重県でも実装中です。この浸水予測システムは特に行政による実践的訓練をはじめ、救命・救助活動を支援するための重要な情報と期待されています。平成29年度には坂出市での消防訓練においてこのリアルタイム浸水予測システムを活用しています。

DONET 研究発表 (ウィーン)の様子

研究の背景

 再来が危惧される南海トラフ巨大地震。その被害軽減は日本の最大の防災課題の一つです。この南海トラフ巨大地震と津波を早期に検知し被害軽減に貢献するためには、海域でのリアルタイム観測が必要不可欠です。また、海底観測網によって海域の地震活動や地殻変動を精緻にリアルタイムで観測することにより、南海トラフ巨大地震震源域で進行している地殻活動を把握することが出来ます。
 DONETは南海トラフ巨大地震震源域を観測監視するシステムとして開発された海底観測網です。このDONETの情報は最近の南海トラフ巨大地震に関する臨時情報においても重要な役割を果たすでしょう。今後DONETの情報は、香川県はじめ四国各県においても活用されることが期待されています。

DONET図

研究の成果

 DONETによって、南海トラフ巨大地震震源域における地震活動把握ならびにリアルタイム浸水予測システムが可能となり、海溝型巨大地震像の理解と被害軽減に向けたシステム開発を進展させ、かつ海底観測に関わる先端的な技術開発を推進することが出来ました。

研究の魅力

 DONET開発は社会に役立つ研究開発の一つとして位置付けています。
 このシステムを活用するためには、ハードとソフトの両面からの研究開発が必要不可欠であり、さらに適切な情報発信と迅速な避難行動を促すためには、社会科学的な考察も必要です。このDONETの活用は減災ための総合科学研究として様々な分野と関連づけられることが研究的な魅力です。

研究を始めたきっかけ

 遡れば、地震に興味を抱いたきかっけは1964年の新潟地震の揺れを東京で経験したことです。遠い震源でも大きな地震動を発生させる地震の不思議です。本格的な研究の端緒は地殻構造研究であり、その対象が地震発生帯研究でした。その後地震発生帯の理解や被害をイメージするためのシミュレーション研究に従事し、さらに2004年スマトラ沖大津波地震などの被害を目の当たりにして、地震津波の被害軽減を推進するためには震源域のリアルタイム観測と地震津波の早期検知が不可欠と考えてDONET開発を行ってきました。

この研究の将来的な展望

金田特任教授

 地震津波の早期検知と情報の活用による被害軽減ならびに、地震発生前後の地殻活動を把握することは、今後さらにその重要性が高まると考えられます。したがって、次世代のDONET開発や、リアルタイム情報をさらに高度に利活用するためにはビッグデータ・AIを活用したデータサイエンスの進展が不可欠です。

今、お読みの本を教えてください

 1)統計数理は隠された未来をあらわにする 著者 樋口知之
 2)鈴木孝夫の曼荼羅的世界―言語生態学への歴程― 著者 鈴木孝夫

趣味

 減災研究、音楽・美術鑑賞、未来志向

香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構

https://www.kagawa-u.ac.jp/iecms/topics/21827/21828/

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