医学系研究科医学専攻(博士課程)の教育理念

 香川大学大学院医学系研究科医学専攻(博士課程)は、医学の領域において、国際的な広い視野を持った研究者として自立し、独創的な研究活動を行うに必要な高度な研究能力とその基礎となる豊かな学識を備えるとともに、研究・生命倫理に関し高い見識を有する研究者を育成し、もって医学の進歩と社会福祉の向上に寄与することを目指します。

医学系研究科医学専攻(博士課程)の3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー(修了の認定に関する方針)

 香川大学大学院医学系研究科医学専攻(博士課程)では、その教育理念に基づき、高度で幅広い医学・生命科学の専門知識と技能、学術研究領域の情報を適切に分析・活用できる能力、豊かな人間性に基づく高い研究・生命倫理観を備え、医学の発展に寄与出来る高度専門職業人を育成します。
本研究科を修了し、本学が送り出す博士(医学)の身につけるべき能力・態度の到達基準は、次のとおりです。

①専門知識・理解
*医学や生命科学に関する高度で幅広い専門知識と技能を備えていると共に、その専門性に基づいた見識と深い理解力を有している。

②研究能力・応用力
*専門分野の情報を収集し、研究の計画及び遂行が出来る能力と、その成果を知識や経験に立脚して論理的に判断、分析して発信できる能力を備えている。
*自らの専門知識と科学的思考力を応用して、医学や生命科学の発展のために尽くすことができる。

③倫理観・社会的責任
*豊かな人間性に基づく高い研究・生命倫理観の涵養と、医学・生命科学の発展に寄与する研究を通じて、社会的責任を自覚した高度専門職業人として活躍することができる。

④グローバルマインド
*国際感覚と自己の専門知識を以て社会を先導し、医学・生命科学の発展にグローバルに寄与する高い志で研鑽を積む能力を備えている。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)

 香川大学大学院医学系研究科医学専攻(博士課程)は、修了の認定に関する方針(ディプロマ•ポリシ一)に示した人材を育成するために、1専攻(医学)2コース(基礎臨床研究医・生命科学研究者育成コース、高度医療人育成コース)において、共通科目(6単位)、専門科目(16単位以上)、課題研究(8単位以上)から構成される教育課程が設定されています。修了要件は、上記30単位以上を修得し、必要な研究指導を受けた上、博士論文の審査及び最終試験に合格することです。開設授業科目(共通科目+専門科目)はシラバスに明示された多様な授業形態により、課題研究は主及び副指導教員による日常的指導により行われます。

 本専攻の教育体制の主な特色は、1)希少糖研究者の育成、香川大学のミッションである希少糖研究を推進するため、希少糖研究特別枠を設け、希少糖研究に従事する研究者の確保と育成を図ります。共通科目の希少糖科学特論での希少糖開発の経緯、特性、代謝などの基本的知識から、医学への応用の可能性についての講義を行います。2)橋渡し研究者の育成、橋渡し研究者を育成するために、共通科目(必修)の「医科学特論」の中で橋渡し研究に関する講義を行なうのに加えて、専門科目として「トランスレーショナルリサーチ科目群」を開講します。3)がん専門医療人の継続的育成、「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」として開講している特別コースを、正課の教育プログラム「がんプロフェッショナル養成科目群」として設置することにより、高度ながん専門医療を担うがん専門医療人を継続的に育成します。4)主・副指導教員制を導入、大学院生は、従来の主指導教員に加え副指導教員を学部内あるいは、他学部から選出し研究指導を受けることができる体制をとっています。これにより、基礎医学・臨床医学の垣根を越えて幅広い領域で、研究指導を受けられます。また、学内の他講座との連携強化と研究の質の向上に向けた取り組みを実施しています。

 本専攻の学年進行は、広い視野に立って、自立して研究活動を推進するのに必要な基礎となる学識と技術を体系的に修得することができるよう、教育課程を「共通科目」、「専門科目」、「課題研究」の3つで構成し、履修年次をそれぞれ1年次、1~3年次、3~4年次としています。なお、カリキュラム・ポリシーに関係する教育課程については、カリキュラムマップを用いて、詳細に明示しています。

 以上の学修成果の評価は、基本的に講義科目では修得した知識の理解度ならびに説明能力により、研究科目では知識・専門的技術を応用して研究を計画・実施できる能力の総合評価により、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)で行います。 また、博士論文は、本研究科の定める学位審査基準に基づき、本研究科で選出された当該領域を専門分野とする審査委員(主査1名、副主査2名)と指定討論者(主査・副主査以外で当該領域を研究分野とする者)1名)による審査及び最終試験を実施し、学位論文としての合否判定を行います。より厳格で公正な審査の為、研究指導教員は審査委員にはなれず、審査は公開討論会の形式で行われます。

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アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)

◇入学者に求める学力・能力・資質等
 大学院入学までに以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。

①知識・技能・理解力
*医学・生命科学に関する大学卒業程度の基礎知識・技能・理解力

②思考力・判断力・表現力
*自らの論理的思考・判断に基づき医学・生命科学に関する諸事象を思考し、判断する能力、説明し、討論できる表現力

③研究能力・応用力
*医学・生命科学に関する課題を主体的に抽出、探求、解決する能力とその成果を応用する能力

④探求心・意欲・態度
*医学・生命科学に関する諸分野について探求心をもって意欲的に取り組む高い志

⑤倫理観・社会的責任
*高い研究・生命倫理感をもち、医学・生命科学研究に携わる者として果たすべき社会的責任感

⑥グローバルマインド
*医学・生命科学に関する国内外の情報を理解するための外国語運用能力と、国際的な視野で社会をリ一ドできるグローバルマインド


◇選抜方法の趣旨
○一般選抜
 英語の学力試験及び成績証明書により、大学院で学ぶ上で必要な基礎学力及び生命科学・医学分野の専門的な知識を有していること、また科学的根拠に基づいて思考でき、それを表現できる能力を有しているかを評価しています。専門分野の筆記若しくは口頭試問により、自己の専門分野に関しての見識や医学の発展に関して高い学習意欲を有していることを評価します。面接試験では、上記入学者に求める学力・能力・資質等の①-⑥を総合的に評価します。特に、志望動機や医学・医療の発展や社会福祉への貢献・倫理観・国際的な問題意識や研究課題を有していることなどを直接インタビューします。

○社会人特別選抜
 選抜は一般コースに準じて行われますが、社会人特別枠では大学院受験資格を有し、かつ、官公庁、教育機関、病院、企業等の実務経験がある者を対象とする選抜です。一般選抜で実施される試験と併せて、医療機関での勤務歴・研究歴・研究実績及び面接を重視した選抜を行います。実務経験に立脚した研究実践能力や思考力、探求心、社会性などを備えているかを評価します。

○希少糖研究特別枠
 香川大学のミッションである希少糖(自然界に微量にしか存在しない糖)研究を推進するため、当該研究を志す優秀な学生を確保し、それを専門とする研究者を育成することを目的とする特別枠です。本特別枠は、通常の入試(一般選抜・社会人特別選抜)と併せて出願することができます。