医学系研究科臨床心理学専攻(修士課程)の教育理念

 香川大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻(修士課程)は、①医学を融合させた,世界に通じる心理学・臨床心理学の教育研究を目指します。②心理援助者に必要な高度な知識と経験を有し,人間性の豊かな人材を育成します。③心理学及び臨床心理学の進歩に貢献すると共に,心理臨床の実践を通して,地域住民の福祉の充実発展に寄与します。 

医学系研究科臨床心理学専攻(修士課程)の3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー(修了の認定に関する方針)

 香川大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻(修士課程)では,その教育理念に基づき,以下の能力を身につけ,多様な心理臨床の現場で活躍できる高度専門職業人を育成する。

①臨床心理学に関する高度な専門的知識と心理援助者として必要な医学的素養,精神医学及び心身医学の知識を修得し,それらをもってクライエントや患者を理解することができる能力

②臨床心理学の分野において,自らの論理的思考に基づき研究を計画及び遂行・議論できる能力

③高い倫理観・社会的責任感を持ち,自律的かつ省察的態度をもって,多様な現場で多職種と連携・協働することができる能力

④国際的な臨床心理学研究と実践の視野をもち,多文化理解や多文化共生のための諸課題についても,心理的理解・援助を行える能力

 本研究科を修了し,本学が送り出す修士(臨床心理学)の身につけるべき能力・態度の到達基準は,次のとおりである。

①専門知識と理解
1)臨床心理学に関する高度で実践的な専門知識と理論を理解・修得しているとともに,高度専門職業人として幅広い知識と自らの専門性に立脚した見識を備えている。
2)医学的視点をもち,精神医学及び心身医学の知識を修得し理解するとともに,心理援助者にとって重要な疾患・障害についての医療の現状を理解している。
3)臨床心理学的知識と医学的素養に基づき,適切な来談者と患者の理解をおこなえる実践的援助力を有している。

②研究能力臨床心理学の分野において,自らの論理的思考に基づき研究を計画及び遂行する能力とともに,その成果を発表し議論できる能力を備えている。

③倫理観・社会的責任
1)心理援助者としての豊かな人間性と高い倫理観・責任感を持ち,自律的かつ省察的態度をもって行動することができる。
2)人々の心の健康と成長を実現する社会的責任を自覚し,生涯にわたり研鑽に努める姿勢を持ち,高度専門職業人として活躍することができる。
3)人々の心の健康と成長を援助するため,保健医療や福祉等の現場で多職種と連携・協働しながら,専門的知見と高度な実践的援助力を生かして,心理臨床の充実・発展に取り組むことができる。

④グローバルマインド
1)諸外国の臨床心理学や心理的援助の実践に関する研究動向を理解して参照することができる。心理援助者養成に関する諸外国の歴史や現状を理解することができる。
2)グローバル化の進んだ現代社会を理解し,多文化理解や多文化共生のための諸課題に対して,心理的理解や援助を行える能力を備えている。国内外の臨床心理学研究と実践の視野をもち,多文化理解や多文化共生のための諸課題についても,心理的理解・援助を行うことができる。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)

 ⾹川⼤学⼤学院医学系研究科臨床⼼理学専攻(修⼠課程)は,修了の認定に関する⽅針(ディプロマ・ポリシー)に⽰した⼈材を育成するために,以下の⽅針によりカリキュラムを編成します。

1 臨床⼼理学の⾼度な専⾨知識を修得させるための,保健医療,福祉,教育,司法・犯罪,産業・労働の各領域の科⽬及び⼼理援助者として必要な医学的素養を修得するための科⽬を実施します。

2 論理的思考に基づき研究を計画・遂⾏・論議する能⼒を修得させるために,臨床⼼理学の研究に関する科⽬を実施します。

3 ⾼い倫理観・社会的責任感を⾝に付けさせるために,⼼理援助者としての職業倫理・研究倫理・⽣命倫理に関する科⽬及び多職種連携の概念や⼼理援助者の専⾨性を活かした連携・協働のあり⽅を⾝に付けさせるために,⼼理援助者としての多職種連携の科⽬を実施します。

4 諸外国の臨床⼼理学や⼼理援助に関する研究動向,多⽂化理解や多⽂化共⽣の諸課題に対して有効な能⼒を修得させるために,臨床⼼理学の基礎理論に関する科⽬,臨床⼼理査定に関する科⽬を実施します。

 以上の学修成果は、シラバスに記載している⽅法によって、各授業科⽬の到達⽬標の達成度で評価します。

<研究計画の遂⾏に対する指導及び学位論⽂の評価>
 研究指導は、本研究科が作成する「研究指導計画」に基づいて実施します。学⽣の研究テーマに応じて主指導教員および副指導教員を決定し,両指導教員が修⼠論⽂を執筆するための指導を⾏います。修⼠論⽂は,本研究科の定める学位論⽂審査基準に基づき,本研究科で選出された審査委員による厳格な審査および公開での修⼠論⽂発表会を経て、学位論⽂としての合否判定を⾏います。また,指導教員は,学⽣の研究成果の学会発表および論⽂投稿のための指導も⾏います。⼀連の研究指導を経て,臨床⼼理学分野の科学的研究を遂⾏する技能と,科学的研究の知⾒を使ったコミュニケーション能⼒を⾝につけます。

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アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)

◇入学者に求める学力・能力・資質等
 大学院入学までに,以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。

① 知識・技能・理解力
*心理学・臨床心理学に関する大学卒業程度の基礎的知識・技能・理解力

② 思考力・判断力・表現力
*自らの論理的思考・判断に基づき,心の健康・成長,心と身体のつながりや心理援助に関する諸課題を説明できる表現力

③ 研究能力
*心の問題を考える上での実証的研究法についての基礎的な知識・理解力

④ 探求心・意欲・態度
*心理的援助について学び,実践し,研究することに対する高い志・意欲・態度と創造的な探求心

⑤ 倫理観・社会的責任
*心理援助者を目指す者として,人間尊重の態度と共感的コミュニケーション力,他の職種との協力を志向する姿勢及び倫理的態度

⑥グローバルマインド
*臨床心理学に関連する国内外の情報を理解する基本的言語能力と,国際的な視野・多文化理解の視点から,地域社会における臨床心理学の諸課題を考えることができる発想力

◇選抜方法の趣旨
 記述式の「外国語(英語)」では、心理学・臨床心理学とその関連領域に関する文献を理解するために必要な知識・理解力・英語力を身につけているかどうかを評価します。記述式の「専門科目(臨床心理学)」では、心理学・臨床心理学とその関連領域に関して、修学に必要な知識・技能・理解力,思考力・判断力・表現力,研究能力を評価します。「面接」では、出願書類(「志望動機」,「卒業論文等の概要」,「修士論文研究計画書」等)を参考にした質疑応答で,探究心・意欲・態度,研究能力,思考力・判断力・表現力,倫理観・社会的責任を評価します。