医学部看護学科の教育理念
香川大学医学部看護学科は、①生命の尊重を基本として、人間に対する高い倫理性と深い思考力をもった看護専門職者、②保健・医療・福祉の進展に柔軟に対応できる科学的判断力と専門技術を備えた看護専門職者、③幅広い視野をもち、地域保健医療や国際貢献の発展に寄与する看護専門職者を育成することを目指します。
医学部看護学科の3つのポリシー
ディプロマ・ポリシー(卒業の認定に関する方針)
香川大学医学部看護学科では、その教育理念に基づき、生命の尊重を基本として、看護の問題を総合的に判断し解決できる知識や実践能力を養い、国際的な幅広い視野で地域保健医療の向上に寄与できる看護職者を育成します。本学科を修了し、本学が送り出す学士(看護学)・21世紀型市民として身につけるべき能力・態度の到達基準は、次のとおりです。
①言語運用能力
*対象者の意思決定を支えながら、実施する看護の根拠や方法に理解を得るためのコミュニケーション能力を身につけている。
*チーム医療の中で、多職種と協働・連携できる能力を身につけている。
*国際的視野を持ち、諸外国の看護に関する情報を収集する基礎的能力を身につけている。
②知識・理解(21世紀型市民及び学士(看護学)として)
*人間理解に必要となる幅広い視野と知識を基盤とし、看護の対象を包括的に捉える専門的・学際的知識と技術を有している。
*根拠に基づいた看護を実践するための理論的知識や批判的思考を備えている。
*安全・安心で効果的な看護を提供するための基本的能力・技術を有している。
③問題解決・課題探求能力
*対象の健康課題を評価して、専門的知識と技術を基礎に解決することができる。
*看護の学びの中で、自らの課題を見つけ探求することができる。
④倫理観・社会的責任
*看護職として、対象の多様な価値観や信条及び生活背景を尊重し、擁護する姿勢を身につけている。
*専門職として生涯にわたり研鑽に努める姿勢を持っている。
*法令・社会的規範を遵守し、社会の一員として行動できる。
⑤地域理解
*地域の保健・医療・福祉に関心を持ち、看護の役割やあり方を理解して、地域に貢献できる。
カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)
香川大学医学部看護学科は、卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、全学共通科目(28単位以上)と学部開設科目(100単位以上、内訳は、専門基礎科目(専門基礎科学:26単位)、専門科目(基礎看護学・生涯発達看護学・地域生活看護学・統合実践看護学:74単位)から構成される教育課程を編成・実施します。卒業要件単位数は128単位以上とします。さらに養護教諭課程を編成・実施します。
進級要件は、1年次末、2年次末、3年次末において、当該年次に履修しなければならない学部開設科目の必修科目を全て修得していること(3年次編入生は除く)です。また2年次末において、2年次末までに履修しなければならない学部開設科目の選択科目及び全学共通科目について、所定の単位以上修得していることです。
卒業要件に加えて、養護教諭課程は31単位を修得していることが資格取得条件となります。
医学部看護学科の教育体制の主な特徴は、看護学教育モデル・コア・カリキュラムに則りつつ独自のディプロマ・ポリシー(DP)を達成しうるカリキュラムを編成していることにあります。生命の尊重を基本として、看護の問題を総合的に判断し解決できる知識や実践能力を養い、国際的な幅広い視野で地域保健医療の向上に寄与できることを目的とした科目を配置し、修得した知識と看護技術を応用するための臨地実習を重視しています。教育方法では、講義による知識修得だけでなく、グループワークを取り入れた講義・演習形式やProblem(Project) Based Learning(PBL)など、学生自らが積極的に学修に取り組むアクティブラーニングを推進しています。
1年次は、人間理解に必要となる幅広い視野と知識の獲得のため、全学共通科目(主題科目、学問基礎科目)を中心に学び、さらに1、2年次に専門基礎科学並びに基礎看護学など、医学・看護の基本的知識を修得する科目を履修していきます。特に、1年次生の看護への関心を高めるために、看護各専門領域の概論を多く履修できるようにしています。その後2年次から、より高度な看護の専門科目を履修します。3年次には各領域別の演習・実習をとおして、対象者の健康問題を解決するための看護過程を展開し、問題解決・課題探求能力を身につけていきます。4年次には統合実践看護学をとおして、具体的な課題に取り組み総合的実践力を高めていきます。さらに「看護研究」では、学生の志向に沿った領域を選択して、保健医療に係わる看護テーマを見出し、問題解決・課題探求能力の向上を図ります。なお、カリキュラム・ポリシーに関係する教育課程については、カリキュラムマップを用いて詳細に明示しています。
学修成果の評価は、基本的に講義科目では修得した知識の理解度で、演習・実習科目では知識を応用出来る能力と専門的技術・技能の習熟度で、看護研究ではテーマの設定、分析、論文作成の総合評価を実施し、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)で行います。シラバスに記載している方法によって、各授業科目の到達目標の達成度で評価します。ただし、一部の自由科目では、「了」をもって合格とします。
アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)
◇求める学生像(入学者に求める学力・能力・資質等)
大学入学までに、以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。
①知識・技能
*高等学校等における幅広い学習に裏付けされた知識・技能の総合力と学ぶ力
②思考力・判断力・表現力
*看護の対象を包括的に捉え、問題解決するための論理的思考力や判断力、根拠に基づいた科学的思考力や批判的思考力
*多面的な視点から思考し、自分の考えを他者にわかりやすく伝える表現力
③主体性・多様性・協働性
*主体的に多様な他者とかかわり、他者の意見や価値観を尊重し相互理解に努めようとする協働性やコミュニケーション能力
④関心・意欲・態度
*人々の健康を支援するために看護に高い志と強い関心を持ち、継続して意欲的に課題に取り組むことができる能力
*看護専門職として国内外を問わず社会に発信し、生涯にわたり学び続ける態度
⑤倫理観・社会的責任
*尊い人命を預かる看護専門職者として、また社会の構成員としての自覚と責任を持ち、自己が果たす役割や倫理観・社会的責任を理解できる能力
◇大学入学までに修得が期待される内容
本学入学後の講義を理解するために必要な基礎学力の修得と、自ら学ぶ姿勢を持つことが望まれます。看護専門職には他者の意見や価値観を尊重し、他者を思いやることができるコミュニケーション能力が必要となります。高等学校等における学習や課外活動を通して、幅広い視野と主体性・協働性を養い、自分の考えを表現できるような力を身につけておいてください。
◇入学者選抜の基本方針
○一般選抜
*前期日程
知識の総合力を重視することから、大学入学共通テストにより、国語、数学、地理歴史・公民、理科、外国語の得点を評価します。特に、看護学を学ぶために必要な論理的思考力、基礎的学力を評価します。さらに、面接では、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性、関心・意欲・態度、倫理観・社会的責任を評価します。
○特別選抜
*香川大学 ナーシング・プロフェッショナル育成入試(総合型選抜Ⅰ)
(大学入学共通テストを免除する総合型選抜)
第1次選抜では、出願書類の内容を総合して関心・意欲・態度、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性を評価します。第2次選抜では、第1次選抜の合格者に対して小論文試験及び面接を行います。英語と日本語で出題される小論文では、知識・読解力、論理的思考力・表現力、文章構成力を評価します。面接では思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性、関心・意欲・態度、倫理観・社会的責任を評価します。これらを総合的に判断し、最終合格者を決定します。
*国際バカロレア選抜
国際バカロレア認定校で学び、国際バカロレア資格(IB フルディプロマ)を取得した者を対象としています。医学部看護学科の講義内容を理解し、自分の考えを表現できる日本語能力を持っていることを求めます。理科の基礎学力が必要なことから、出願資格の履修科目として指定し、書類審査では、知識・技能、思考力・判断力・表現力を総合的に評価します。
また、本学科で学ぶにあたり、看護職としての適性を評価するため、面接を実施します。面接は日本語で行い、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性、関心・意欲・態度、倫理観・社会的責任を評価します。
日本での居住歴が概ね10年以上ある帰国子女であれば、言語A、 Bともに日本語以外を履修している場合でも出願可能で、面接試験で日本語能力を評価します。