教育学研究科の教育理念

香川大学大学院教育学研究科は教職経験や学部における専門教育の上に、さらに専門的知識、高度な実践的指導力、研究能力、倫理観・社会的責任、グローバルマインドを育成することによって、多様化 ・複雑化する学校教育の諸課題の解決に寄与するとともに、地域福祉や地域文化の向上に寄与できる人材の養成を目指します。

教育学研究科(修士課程)の3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー(修了の認定に関する方針)

 香川大学大学院教育学研究科修士課程では、その教育理念に基づき、教育に関する諸科学を基礎に、人間の形成と発達支援に関する高度な専門的知識と研究開発能力を備え、個人の尊厳、真理と正義の希求、公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成をめざす高い倫理性を備え、その社会的責任を自覚して学校教育や臨床現場で活躍できる高度専門職業人を育成します。
 本研究科を修了し、本学が送り出す修士(教育学)の身につけるべき能力・態度の到達基準は、次のとおりです。

①専門知識・理解
*人間の成長と発達支援に関する高度な専門知識と先端の教育科学を理解・習得しているとともに、高度専門職業人として幅広い知識と自らの専門性に立脚した見識を備えている。

②研究能力・応用力
*専門分野において、自らの論理的思考に基づき研究を計画及び遂行する能力とともに、その成果を発信し議論できる能力を備えている。
*学校教育を中心に児童生徒の発達と成長を支援するため、専門的知見と高度な実践的指導力を生かして、個人の尊厳、真理と正義の希求、公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成に取り組むことができる。

③倫理観・社会的責任
*個人の尊厳、真理と正義の希求、公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を目指すという職責に対する社会的責任と倫理性を備え、たえず研究と修養に励むことができる。

④グローバルマインド
*我が国の伝統と文化を尊重しつつ、他国の伝統と文化を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与できる人間を育成するため、グローバル化の進んだ現代社会を理解し、多文化理解や多文化共生のための諸課題に対する自らの論理的思考及び判断によって教育実践を行える能力を備えている。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)

 香川大学大学院教育学研究科修士課程は、修了の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、専攻共通科目として、学校教育専攻では共通必修科目(4単位)、所属分野に関する選択必修科目(14単位)、自由科目(10単位)、修士論文(4単位)を、教科教育専攻では共通必修科目(6単位)、コース必修科目(2単位)、分野に関する選択必修科目(18単位)、自由科目(2単位)、修士論文(4単位)から構成される教育課程を編成・実施します。このことにより、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などの専修免許状が取得できるようになっています。学校臨床心理専攻では、必修科目(2単位)、選択必修科目(18単位)、自由科目(8単位)、修士論文(4単位)から構成される教育課程を編成・実施します。このことにより、臨床心理士の受験資格が取得できるようになっています。修了要件は、上記32単位以上の習得及び必要な研究指導を受けた修士論文の審査及び最終試験に合格することです。教育学研究科はセメスター制を採用しており、ほとんどの科目は1年次の前期、後期に配置されていますが、実習やインターンシップなどの一部科目は2年次に配置されています。講義科目はシラバスに明示された多様な形式により、「修士論文」は指導教員を中心とした日常的指導により行われます。
 ディプロマ・ポリシーの各項目の達成は、以下に示す体系的教育をもって実現します。

①専門知識・理解
 1年次前期から後期に配置された専門科目により、人間の成長と発達支援に関する高度な専門知識と先端の教育科学を理解・習得します。さらに、選択必修科目として1年次後期から2年次にかけて開講される「学校教育実践研究」「学校インターンシップ」「臨床心理実習」などにより、高度専門職業人として活躍するために必要な幅広い専門の知識を身につけます。

②研究能力・応用力
 1年次、2年次を通して行われる修士論文の指導により、現代の教育課題を踏まえ、これまで解決できなかったことを解決する知見、あるいは新しい事象の発見を、参考資料あるいは得られたデータや根拠に基づいて導き、これらを修士論文としてまとめることを通じて研究能力、研究倫理、言語運用能力、さらには発表能力を培います。また、「学校教育実践研究」「学校インターンシップ」「臨床心理実習」などの授業科目により、理論と実践の往還をはかり、現場で即戦力として仕事ができる応用力を養います。

③倫理観・社会的責任
 個人の尊厳、真理と正義の希求、公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を目指すという職責に対する社会的責任と倫理性は、修士課程におけるすべての科目によって培われます。「学校教育実践研究」「学校インターンシップ」「臨床心理実習」などの授業科目により、実践的教育のなかで高度専門職業人としての倫理観や態度を身につけます。「学校教育総論」では、教師の倫理観や社会的責任について学びます。また、授業群のなかに、「倫理学特論」「哲学特論Ⅰ、Ⅱ」「道徳教育特論」などの科目があり、倫理や道徳についての原理的探求を行うことができます。

④グローバルマインド
 我が国の伝統と文化を尊重しつつ、他国の伝統と文化を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与できる人間を育成することが教員の職責であることに鑑み、特定の授業科目によらず、修士課程の科目全体を通してグローバルマインドを培います。なかでも、共通科目である「学校教育総論」や「教育実践事例研究」では、学校教育での実践を視野に入れながら、多文化理解や多文化共生についての理解を深めていきます。「英語」「日本語」「社会」「国語」等に関わる授業科目群では、学習指導要領を参考にしながら、グローバル化の時代における人間の形成と発達支援についての実践力を培います。

 以上の学修成果の評価は、基本的に講義科目で習得した知識の理解度並びに説明能力により、演習科目と実習科目では知識・専門的技術を応用して研究を計画・実施できる能力及び教育の実践者としての能力の総合評価により、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)で行います。また修士論文は、本研究科の定める学位審査基準に基づき、本研究科で選出された審査委員(主査1名、副査2名~3名)により厳格な審査及び最終試験を実施し、学位論文としての合否判定を行います。

アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)

◇入学者に求める学力・能力・資質等
 大学院入学までに、以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。

①知識・技能・理解力
*人間の形成と発達支援に関する大学卒業程度の基礎知識・理解力

②思考力・判断力・表現力
*自らの論理的思考・判断に基づき、人間の形成と発達支援に関する諸課題を説明できる表現力

③研究能力・応用力
*人間の形成と発達支援に関連する研究を遂行するための基礎的能力・応用力

④探求心・意欲・態度
*人間の形成と発達支援に関連する諸分野について学び、研究することに対する高い志・意欲・態度と創造的な探求心

⑤倫理観・社会的責任
*個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を目指す倫理観とその社会的責任を理解できる能力

⑥グローバルマインド
*国際化の進んだ現代社会のなかで児童生徒が成長していることを理解するための基本的語学能力と、それを人間形成や学校教育の課題として捉えることのできる国際感覚

◇選抜方法の趣旨
○一般選抜(A日程、B日程、C日程)
 人間の形成と発達支援に関連する研究への志向と勉学意欲を持っている人を対象に、専門科目試験、外国語科目試験、及び、口述試験を行います。筆記試験の「専門科目」は進学志望領域に関連する専門分野から出題し、修学に必要な知識・技能・理解力、思考力・判断力・表現力、研究能力・応用力を評価します。筆記試験の「外国語科目」は英語を出題します。専攻・分野によって「中国語」「ドイツ語」を出題し、選択することができます。また、外国人留学生は、専攻・分野によって、「外国語科目」を「日本語」に代替することができます。「外国語科目」は、修学に必要な知識・技能・理解力、グローバルマインドを評価します。口述試験では提出書類(研究分野調書、成績証明書類等)を参考にしながら、勉学・研究に対する探求心・意欲・態度、自分の考えを論理的に伝える思考力・判断力・表現力、倫理観・社会的責任を評価します。特に研究分野調書(研究概要調書)に基づいて質問し、学士課程での学修と修士課程での学修の関連性、教育課題や臨床課題を解決していこうとする意欲、発言における説得力と的確性を評価します。
 なお、3年以上の職歴を有する者で、学力検査科目の代替を希望する者は、研究業績調書(著書、論文、研究報告・発表、作品等)、研究計画書をもって、学力検査に代替することができます。その場合は、事前審査を行い、学力検査に代替しようとする教育研究業績が入学を志願する専攻分野の内容に合致しているか、修学に必要な知識・技能・理解力、思考力・判断力・表現力、研究能力・応用力を有しているかといった観点から、適否を判断します。