農学部の教育理念

 香川大学農学部は、先端的かつ総合的な生物科学を基礎に、自然と調和した安全で快適な地域社会を実現するための教育と研究を行い、豊かな人間性と国際的な視野、課題探求能力を備え、生物資源の生産と活用に関する科学と技術を総合的に理解し、生物科学を基盤とする産業界で幅広く活躍できる有為な人材を養成することを目指します。

農学部における3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー(卒業の認定に関する方針)

 香川大学農学部では、生物資源の生産と活用に関する幅広い知識と技能を身につけ、科学的な思考に基づく課題設定力、国際感覚を備えた判断力及びコミュニケーション力を備え、多様で広範な社会の諸課題の解決に向けて柔軟な思考によって取り組むことのできる「農学の実践力」を持って国際的協働社会の一員として自覚的に行動出来る人材を育成します。本学科を修了し、本学が送り出す学士(農学)・21世紀型市民として身につけるべき能力・態度の到達基準は、次のとおりです。

①言語運用能力
*生物資源の生産と利用に関する内外の情報を理解し、自らの論理的思考及び判断をもってこれを説明できるプレ
 ゼンテーション能力とコミュニケーション能力を修得 している。またその基礎として、一つ以上の外国語にお
 いて、読み、書き、聞き、話すための基礎的な能力を身につけている。

②知識・理解(21世紀型市民及び学士(農学)として)
*先端的かつ総合的な応用生物科学の知識と理解を基礎に、生物資源の生産と利用に関する専門の知識と基本的な
 技術を修得している。

③問題解決・課題探求能力
*自然と調和した安全で快適な社会を実現するため、地域社会や国際社会における生物資源の生産と利用に関連す
 る諸課題を見い出し、その解決に向けて行動することができる。

④倫理観・社会的責任
*人類の生存基盤である生物資源の生産と利用を進めながら、自然と調和した安全で快適な社会の実現をめざす高
 い倫理性と社会的責任を自覚し、国際的恊働社会の一員として自律的に行動することができる。

⑤地域理解
*生物資源の生産と利用及び自然との調和の観点から、地域の現状を理解し、諸課題を解決するための基礎的な素
 養を身につけている。 

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)

 香川大学農学部は、卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、全学共通科目(32単位以上)と学部開設科目(92単位以上、内訳は、導入科目(8単位)、共通基礎科目(19単位以上)、5コースに分かれた専門科目とコース実験科目(50単位以上)、高年次配当の展開科目(3単位以上)及び課題研究(12単位))から構成される教育課程を編成・実施します。2年次後期よりコース分属するためには、2年次前期までに所定の科目を20単位以上、また3年次後期より研究室に分属するためには3年次前期までに所定の科目を72単位以上(必須科目あり)修得していることが条件となります。卒業要件単位数は124単位以上とします。
 ディプロマ・ポリシーの各項目の達成は、以下に示す体系的教育をもって実現します。

①言語運用能力  
 全学共通科目のコミュニケーション科目により基礎となる語学力向上を図り、続いて学部開設科目である「科学英語」においてグループワークを基礎として専門英語の知識とプレゼンテーション能力の向上を、さらに留学を志向したより高度なプレゼンテーション能力の養成のための「実用英語」、セミナー形式での「専門英語」を連続して受講することにより、農学における専門英語運用能力を獲得します。また、日本語運用能力は、③で示した問題解決・課題探求能力を養う科目の中で段階的に身につけます。

②知識・理解(21世紀型市民及び学士(農学)として)  
 基礎となる幅広い視野と知識獲得のため、全学共通科目(学問基礎科目、主題B「現代社会の諸課題」等)を学び、農学的視野・視点を涵養するため、1、2年次に学部導入科目ならびに学部共通基礎科目を履修します。その上で2年次後期から農学の課題解決に必要な応用科学的知識・技能を修得するため、5つの専門コースに分かれた専門科目及びコース実験・実習を履修します。講義形式による知識の獲得と実験・実習形式による具体的技能修得を組み合わせることで、より総合的な知識の獲得と実践的な知識の理解を達成します。

③問題解決・課題探求能力  
 全学共通科目の主題B「現代社会の諸課題」や「大学入門ゼミ」において問題発見・解決の方法を学び、2年次の「応用生物科学実習」により専門分野の理解を深め、2年次及び3年次に学部専門教育を受けて「コース実験」により専門知識と技能を修得した上で、3年次後期から課題研究に取り組みます。課題研究は、研究室単位の少人数教育で実施され、生物資源の生産と活用に関わる諸分野における課題の抽出、解決方法の決定、分析・解析を経て一定の結論を導く高度なPBL(Project Based Learning)型教育を通して、問題解決・課題探求能力を身につけます。

④倫理観・社会的責任  
 全学共通科目の主題A「人生とキャリア」において21世紀型市民としていかに生きるかを学び、一定の農学部専門教育を受けた上で3年次配当の「応用生物科学領域の倫理」や「生物環境保全学」を含む展開科目を履修することで、農学における倫理観を身につけ、かつ社会的責任の自覚を養います。これらの科目はグループワークを取り入れた講義形式で行われ、農学における倫理観・社会的責任をより深く理解し、身につけます。さらに国際感覚の涵養のために1年次に「国際英語演習」並びに国内・海外サービスラーニングプログラムを、高年次向けの展開科目の中に国際関係科目を開設しています。以上の一連の科目は、高い倫理性、社会的責任の自覚、更には国際感覚を持ち、社会において問題解決・課題探求能力を発揮する基礎となります。

⑤地域理解  
 全学共通科目の主題C「地域理解」で地域理解への動機づけがなされ、2年次の「農学入門」などの一定の学部専門教育を受けた上で、高年次配当の「現代応用生物科学」、地域資源学シリーズ科目(「オリーブ学」、「希少糖学」、「うどん学」)を含む展開科目を履修することで地域産業と農学の関わりを理解します。これら地域理解科目では、講義の目的に応じて講義、実習、グループワークなど様々な教授方法が取り入れられ、より実践的に地域の課題を理解します。さらに「インターンシップ実習」により実践的活動を通して地域を理解します。

 以上の学修成果の評価は、基本的に講義科目では修得した知識の理解度で、実験・実習科目では知識を応用できる能力と専門的技術・技能の習熟度で、課題研究では課題の設定、分析、解決の実践的能力の総合評価で実施し、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)で行います。令和4年10月1日以降は,シラバスに記載の各授業科目の到達目標の達成度により評価します。

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アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)

◇入学者に求める学力・能力・資質等
大学入学までに,以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。
①知識・技能
*生物資源の生産と利用に関する専門科目を学ぶために必要な知識・技能及び基礎知識
②思考力・判断力・表現力
*課題解決へ向けた柔軟な思考力,論理的思考・判断力と自分の考えを的確に伝える表現力
③主体性・多様性・協働性
*地域社会や国際社会における生物資源の生産・利用に関する多様で広範な諸課題を積極的かつ主体的に探求し,他者と協働して課題を解決するコミュニケーション能力
④関心・意欲・態度
*生物と生物資源の生産及びその有効利用並びにそれらの基盤となる生命現象に強い関心を持ち,関連する様々な課題に積極的・主体的に取り組もうとする高い意欲
*生物関連産業での活躍を希望し,応用生物科学の様々な分野の専門知識や技術を意欲的に修得しようとする態度
⑤倫理観・社会的責任
*生物資源の生産と利用を進めながら,自然と調和した安全で快適な社会の実現をめざす高い倫理観と社会的責任を理解する能力 

◇大学入学までに修得が期待される内容
高等学校において,理科,数学,国語,英語を中心とした基礎学力を身につけておいてください。先端的かつ総合的な応用生物科学を理解し,生物資源の生産と利用に関する専門科目を学ぶために理科と数学の基礎学力が必要となります。農学部では,生物資源の生産と利用に関する情報を理解し,自らの論理的思考及び判断をもってこれを説明できるプレゼンテーション能力とコミュニケーション能力を養うことを目標としています。これらを日本語だけでなく英語でも可能にするために国語と英語の基礎学力が必要です。

◇選抜方法の趣旨
○一般入試
*前期日程
高等学校における教科面での学習の達成度をみるために大学入試センター試験5教科7科目の得点を評価します。個別学力検査では,農学部における勉学の素地として自然科学を重視し,数学と理科から1教科1科目選択とします。

○特別選抜
*アドミッション・オフィス入試
第1次選抜では,出願書類の内容を総合して主体性・多様性・協働性,関心・意欲・態度,倫理観・社会的責任を理解する能力を評価します。
第2次選抜では,第1次選抜の合格者に対して授業理解力テスト(講義を受けての記述式テスト)及び面接を行います。授業理解力テストは知識・技能,思考力・判断力・表現力を評価します。面接は知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性・多様性・協働性,関心・意欲・態度,倫理観・社会的責任を理解する能力を評価します。これらの評価と出願書類の内容を総合的に判断し,最終の合格者を決定します。
*大学入試センター試験を課する推薦入試(推薦Ⅱ)
推薦Ⅱでは, 生物科学を基礎とする内外の産業界で幅広く活躍できる有為な人材の育成を目指して, 生物資源の生産と利用に関する専門科目を学ぶために必要な基礎学力を大学入試センター試験の数学, 理科, 外国語の3教科5科目により評価します。また、提出書類等から志望動機や勉学状況に加え,主体性・多様性・協働性ならびに関心・意欲などを総合的に評価します。具体的には, 学内外での活動(文化活動, スポーツ活動, 生徒会活動, クラブ活動, 海外留学経験, ボランティア活動など), 課題研究, 資格・検定等(英語検定など)において顕著な実績を上げているものを評価します。
*私費外国人留学生入試
外国で所定の教育を修め本学で教育をうけることを希望し,農学部の講義の内容を理解できる日本語能力を身につけている外国人を対象に,面接,日本語留学試験及びTOEFLの成績で評価します。面接では,農学部において生物資源の生産と利用に関する専門科目を学ぶために必要な日本語コミュニケーション能力,動機や意欲等を評価します。 

○編入学
*3年次編入学試験
主に高等専門学校及び農、理工、生活科学系短期大学を卒業する人を対象とし、3年次に編入します。筆記試験では、修学に必要な科学的基礎知識と論理的思考力について評価します。面接は専門科目の学習意欲、専門的素養等を評価します。面接では思考力・判断力・表現力や主体性・多様性・協働性・自然科学に対する関心・意欲・態度や倫理性・社会性を評価します。