法学部の教育理念

 香川大学法学部は、四国で唯一の国立大学法学部であり、高等裁判所をはじめとする重要な官公庁の位置する地の利を活かし、全国的にも高い評価を受ける教育研究を行うことを目指しています。
 香川大学法学部は、開かれた自由で民主主義的な社会を支える公共的市民を育てます。さらに、法学的素養を備えた専門職業人を養成します。
 夜間主コースにおいては、社会人としての幅広い判断力や、専門実務能力である政策遂行能力を育成します。

法学部の3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー(卒業の認定に関する方針)

 香川大学法学部では、その教育理念に基づき、開かれた自由で民主主義的な社会を支える公共的市民、法学的素養を備えた専門職業人を育成します。すなわち、世界の多様性とそこから生ずる諸問題を把握し、その解決に向けての法律学・政治学の基本的理念の知識を適切に用いて自他の尊厳を守ることができる人間を育成します。本学部を修了し、本学が送り出す学士(法学)・21世紀型市民として身につけるべき能力・態度の到達基準は次の通りです。

①言語運用能力
*国際的視野を持ち、外国語での読み書きなどのコミュニケーションのための基礎的能力を身につけている。
*法学・政治学分野において求められる基礎的な文章技術、対話作法を修得している。

②知識・理解(21世紀型市民及び学士(法学)として)
*法学・政治学の分野で求められる正義、人権、自由、平等などの基本理念について基礎的知識を修得している。
*実定法分野・政策科学分野の概要及び主要な解釈理論と争点について基礎的知識を修得している。
*さらに、これらの基礎的知識を一般社会人に対して説明する能力を身につけている。
*学問に対して積極的に取り組み、自らの興味関心を形成することができる。

③問題解決・課題探求能力
*21世紀社会において市民に求められる歴史・文化の知見を身につけている。
*紛争解決のための基礎的スキルを修得している。
*自ら問題点を見出し、解決に向けた手段、手続きを見出すことができる。
*政策的課題の発見と実務的な解決を探る能力としての政策マインドと政策的な課題解決のための基礎的スキルを身につけている。

④倫理観・社会的責任
*専門的職業人、公共的市民としての倫理観・社会的責任の自覚を形成している。
*権利の主体として、また公共的市民として自他を尊重すべきことを自覚している。
*公権力や社会的権力の濫用を監視し、適切に問題解決に努めるべきことを理解する。

⑤地域理解
*地域社会の現状に関心をもち、その法的・政策的課題を発見しあるいは理解するための基礎的な知識を身につけている。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)

 香川大学法学部は、卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、全学共通科目(昼間34単位以上・夜間主28単位以上)と学部開設科目(昼間94単位以上・夜間主96単位以上。昼間コースの内訳は、必修科目「演習」6単位、選択必修科目16単位以上、選択科目30単位以上、自由科目42単位以上・夜間主コースはすべて自由科目)から構成される教育課程を編成・実施します。卒業要件単位は昼間コース128単位以上・夜間主コース124単位以上とします。
 ディプロマ・ポリシーの各項目の達成は、以下に示す体系的教育をもって実現します。必修科目である「演習」を履修するためには、法学部が定める演習履修要件を満たすことが必要です。

①言語運用能力  
 全学共通科目のコミュニケーション科目により、基礎となる外国語能力向上を図ります。続いて、学部開設科目においては、「実務英語」「外書講読」「海外研修」により、より高度なコミュニケーション能力の修得に努めます。  
 さらに、法学・政治学に必要なコミュニケーション能力の向上を図るため、「大学入門ゼミ」及び、法学部の特徴である少人数科目「プロゼミ(前期)」「プロゼミ(後期)」「演習」によって専門分野における言語運用能力の習得をはかります。一部の少人数教育では、社会問題に基づいた解決策を考える、法学的なPBL(Problem Based Learning)を行っています。

②知識理解(21世紀型市民及び学士(法学)として)  
 全学共通科目では、幅広い知識を身につけます。主に学問基礎科目の履修によって、法学・政治学以外の分野にも幅広い知識を持ちます。  
 専門科目では、法学・政治学の基礎的知識の習得のため、まず、入門科目群(履修推奨科目)を学びます。さらに2年次以降では、公法系科目(憲法、行政法系科目)、私法系科目(民法、商法系科目)、政治系科目を学び、専門的知識の習得、専門的応用力を養います。
 同時に、「平和学」「アジア・太平洋社会論」「政治史」「比較政治」や、「国際関係論」「国際法Ⅰ」「国際法Ⅱ」「国際法Ⅲ」「国際私法」「国際取引法」の履修によって、グローバルな場面にも対応できる専門知識を涵養します。

③問題解決・課題探求能力  
 法学部では、問題解決、課題探求の力を養うために、4年一貫の少人数教育を取り入れています。特に、「大学入門ゼミ」では、様々な社会事象に対して考察を加えるための法学・政治学的なアプローチの方法を学んでいきます。  
 法学・政治学は、すべて社会に存在する実際的問題を解決する学問です。法学・政治学を学ぶことは、全体として、問題解決・課題探求能力の向上に役立ちます。中でも特に、「刑事訴訟法Ⅰ」「刑事訴訟法Ⅱ」「民事訴訟法Ⅰ」「民事訴訟法Ⅱ」のいわゆる訴訟法系科目は、問題解決の手続きそのものであり、専門的な問題解決について学ぶことになります。  
 また、「法哲学」「法社会学」「比較法」「法制史」のいわゆる基礎法科目は、法の基礎となっている考え方、法が昔から抱えている問題などを学べ、課題探求能力の涵養に役立ちます。

④倫理観・社会的責任  
 法は、最低限の倫理であり、法学を学ぶことは、全体として、倫理観・社会的責任の涵養に役立ちます。そうして獲得された倫理観・社会的責任を、「インターンシップ」の中で実際に社会の現場で就労体験をして、実際の社会の中でどのように役立てるかを学びます。  
 このような能力は、全学共通科目主題A「人生とキャリア」でも養われます。

⑤地域理解  
 全学共通科目の主題C「地域理解」によって地域の問題の基礎を学びます。さらに、「寄付講座 土地境界と表示登記」「寄付講座 地域財務金融行政」「提供講座 損害保険の実務と法」によって、地域の法律実務家、金融実務家が直面する実践的問題について学んでいきます。

 以上の学習成果の評価は、基本的に講義科目では修得した知識の理解度、身につけたリーガルマインドの深さで、「演習」をはじめとする少人数科目では、専門分野に対する習熟度、学修に対する取り組み度合いで、「卒業論文」は、研究内容や形式について教員ごとに設定する単位認定方針に沿った総合評価で実施し、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)で行います。令和4 年10 月1 日以降は、シラバスに記載している方法によって、各授業科目の到達目標の達成度で評価します。

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アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)

◇入学者に求める学力・能力・資質等  大学入学までに、以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。 ①知識・技能 *高等学校等における幅広い学習に裏付けされた知識及び技能の総合力と学ぶ力 ②思考力・判断力・表現力 *物事をさまざまな角度からとらえ、筋道を立てて考える能力 *紛争解決及び政策立案のために必要な論理的な思考力と判断力 *文章や議論の中で自分の意見を積極的にかつ説得力を持って表現できる能力 *相手の意見からも学び、議論をリードし発展させることのできる能力 ③主体性・多様性・協働性 *主体的に多様な他者とかかわり、他者の意見や価値観を尊重し相互理解に努めようとする協働性やコミュニケーション能力 ④関心・意欲・態度 *正義と衡平を追求しそれらを社会に実現しようとする意欲と態度 *現代社会の動きに常に関心を持ち、書物や新聞を通して、広く社会で生じていることに対する問題意識を深め、自分の意見を形成できる能力 ⑤倫理観・社会的責任 *社会の構成員としての自覚と責任を持ち、自己が果たす役割や倫理観・社会的責任を理解し、自律的に行動できる能力

◇大学入学までに修得が期待される内容  本学部に入学を希望する人は、入学後の教育に対応できる素質を養うため、高等学校において文系・理系にとらわれない幅広い学習をしてください。高等学校で学ぶことは、大学教育の前提となるものです。まずは国際的な視野とコミュニケーション能力を重視することから、英語及び国語の基礎的な能力を身につけておく必要があります。また法学・政治学は社会科学ですから、地理・歴史あるいは公民など社会科の科目もしっかり学んでください。さらに法学・政治学に必要な論理的思考力は数学・理科の学習によって培われます。万遍なく学んでください。

◇選抜方法の趣旨 ○一般入試 *前期日程  大学入試センター試験では、基礎的な学力をみるために5教科7科目又は6教科7科目(理科の選択科目によっては5教科8科目又は6教科8科目)を課しています。個別学力検査では、論理的思考力を測ることのできる数学又は国際的コミュニケーション能力を測ることのできる英語を課します。 *後期日程  大学入試センター試験では、基礎的な学力をみるために5教科7科目又は6教科7科目(理科の選択科目によっては5教科8科目又は6教科8科目)を課しています。個別学力検査では、高い論理的思考力と文章によるコミュニケーション能力を持った学生を選抜するため小論文試験を課します。

○特別選抜 *大学入試センター試験を免除する推薦入試(推薦Ⅰ)  論理的思考力とコミュニケーション能力をみるため小論文と面接を行います。特に、面接はグループ・ディスカッション方式で、現代社会に対する鋭い問題意識、創造的な思考力、的確な表現力と説得力を重視します。 *大学入試センター試験を課する推薦入試(推薦Ⅱ)  基礎学力に加えて現代社会に対する関心をみるため、調査書の審査では地歴・公民の成績を重視します。大学入試センター試験の教科は、国語に加え、論理的思考力を測ることのできる数学又は国際的コミュニケーション能力を測ることのできる外国語のいずれかによる受験を求めます。 *夜間主コース(社会人入試)  面接と小論文を通じて、「入学者に求める学力・能力・資質等」を判断し、面接ではさらに法学部の志望動機や働きながら勉学する意欲を確認します。 *私費外国人留学生入試  面接と日本語作文により、法学部で勉学するために必要な日本語のコミュニケーション能力と法律・政治の素養をみます。面接では志望動機や勉学する意欲を確認します。

○編入学  編入学試験(3年次に編入)は、小論文と英語の筆記試験と面接により、3年次編入に必要な学力、法学・政治学の知識、論理的思考力、コミュニケーション能力をみます。面接では志望動機や勉学する意欲を確認します。