創造工学部の教育理念

 香川大学創造工学部は、人間とその生活を取り巻く自然に焦点を当て、人間と自然が調和的に共生できる文化・安全・産業の創造を目指し、専門的基礎能力に裏打ちされた幅広い工学のバックグラウンドを持ち、国際社会で尊敬される良き市民としての個性豊かな技術者を育成することを目指します。

創造工学部の3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー(卒業の認定に関する方針)

 香川大学創造工学部では、その教育理念に基づき、工学の基礎と専門分野にかかわる幅広い知識を持ち、技術者相互および社会と適切なコミュニケーションを行うことができ、さまざまなリスクを考慮しつつ、高い倫理観を持って新たな価値を創造することができ、地域を愛し、世界に通用する技術者を育成します。本学部を卒業し、本学が送り出す学士(工学)・21世紀型市民として身につけるべき能力・態度の到達基準は、次のとおりです。

①言語運用能力
*論理的かつ客観的な文書を作成することができる。
*多様な情報を適切に利用し、効果的なプレゼンテーションを行うことができる。
*工学的な課題について、基礎的な数理法則を用いて分析することができる。
*英語による情報収集能力、コミュニケーション能力を持っている。
*国際的視野を持ち、世界標準の科学技術に関する情報を収集できる。

②知識・理解(21世紀型市民及び学士(工学)として)
*自然科学の基礎知識を持ち、その基本原理を理解している。
*工学的課題を解決するために必要な工学的基礎知識を修得している。
*人間、社会、環境、美などの多角的な視点を備えている。

③問題解決・課題探求能力
*自主的、継続的に学習し、新たな課題を探求することができる。
*様々なリスクを把握・抽出し事前に対応策を講じ、想定外の事態にも対応することができる。
*専門分野において課題を認識し、多様な制約の下で、専門知識、技術を用いてチームとして問題を検討し、製品と利用者・社会との相互作用的な関わり及びリスク対応を含めた総合的な価値の創造につながる設計(デザイン)を企画、立案し、それを試作評価することができる。

④倫理観・社会的責任
*市民としての社会的責任を自覚して行動することができる。
*高い倫理観を持ち、技術者としての社会的役割を担うことができる。

⑤地域理解
*地域の現状と課題に関心を持ち、自己と関連づけて問題を発見し、探求することができる。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)

 香川大学創造工学部は、卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、全学共通科目(32 単位以上)と学部開設科目(96 単位以上、内訳は、共通科目(19 単位以上:その内、倫理1単位、コミュニケーション能力3 単位以上、デザイン思考能力4単位以上、リスクマネジメント能力3単位以上、数理的基礎能力・多角的思考能力8 単位以上)、専門科目(コース専門科目60 単位以上)、卒業研究又は卒業制作(8単位)、及び自由科目(9 単位以上))から構成される教育課程を編成・実施します。3年次後期より研究室に配属されるためには、3年次前期までに所定の科目を84 単位以上修得していることが必要です。卒業要件単位数は128 単位以上とします。

 本学部の教育体制の主な特徴は、1)特に5つの素養(数理的基礎力、倫理観・コミュニケーション力、地域理解、デザイン思考能力、リスクマネジメント能力)を重要と位置づけ、全学共通科目及び学部共通科目によって教育すること、2)1学科 7 コース制を採用し入学時にはコースに仮配属とし、1年間の学習の後に志望分野の変わった学生に対しては、コースの変更を可能とすること、3)3 年次後期からの研究室配属後は、指導教員により卒業研究・卒業制作について徹底して指導することにあります。

 創造工学部では、香川大学の教育目標に沿った4 年間一貫教育を行っています。1 年次は仮配属されたコースに所属し全学共通科目と学部開設科目の共通科目を中心に学びます。2 年次には確定配属されたコースに所属し、より専門的な授業科目を履修していきます。3年次後期からは卒業研究又は卒業制作に取り組みます。卒業研究・卒業制作は特定の教員の指導の下で実施され、専門知識、技術を用いて、必要に応じ他者と協力して問題を解決する能力、あるいは制作する能力、そして自主的・継続的に学習し新たな課題を探求する能力を身につけます。なお、カリキュラム・ポリシーに関係する教育課程については、カリキュラムマップに詳細に示しています。

 以上の学修成果の評価は、基本的に講義科目では修得した知識の理解度で、実験・実習科目では知識を応用できる能力と専門的技術・技能の習熟度で、卒業研究・卒業制作では課題の設定、分析、解決の実践的能力の総合評価で実施し、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)で行います。令和4年10月1日以降は、シラバスに記載している方法によって、各授業科目の到達目標の達成度で評価します。

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アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)

◇入学者に求める学力・能力・資質等
 大学入学までに,以下のような学力・能力・資質等を備えている学生を求めています。

①知識・技能
*高等学校等における国語,外国語,数学,理科などを中心に,幅広い学習に裏付けされた本学部の専門領域を学ぶために必要な基礎学力・技能

②思考力・判断力・表現力
*本学部の専門領域の分野を多角的かつ包括的に捉え,それぞれの問題を解決するための論理的思考能力や判断力,根拠に基づいた科学的思考力や批判的思考力
*物事を多面的な視点から思考し,自分の考えを他者からもわかりやすく伝える表現力

③主体性・多様性・協働性
*主体的に多様な他者とかかわり,他者の意見や価値観を尊重し相互理解に努めようとする協働性やコミュニケーション能力

④関心・意欲・態度
*本学部の専門領域のいずれかの分野に興味関心を持って自ら積極的かつ継続的に課題に取り組む意欲と審美眼を持ち,身につけた知識・技術を分かりやすく表現し,共生環境創造,地域社会創造及び国際社会に役立てる意欲・態度
*技術者として国内外を問わず社会に発信し,生涯にわたり学び続ける態度

⑤倫理観・社会的責任
*本学部の専門領域における技術者として,また社会の構成員としての自覚と責任を持ち,自己が果たす役割や倫理観・社会的責任を理解できる能力

◇大学入学までに修得が期待される内容
 高等学校等において,国語,外国語,数学,理科などを中心に基礎学力を身につけておいてください。本学部の理念を理解し,技術専門職として,他者の意見や価値観を尊重し,他者を思いやることができるコミュニケーション能力も必要ですので,生徒会活動やクラブ活動・ボランティア活動等を通して,幅広い視野と主体性・協働性を養い,自分の考えを表現できるような力を身につけておいてください。

◇選抜方法の趣旨
○一般選抜
*前期日程
 多様な能力・志向を持つ学生を確保するため,試験科目の組み合わせとして,高等学校等で理系科目を中心として履修した人を対象とするもの(Aタイプ),必ずしもそれに当てはまらない場合でも本学部の教育に興味がある人を対象とするもの(Bタイプ)の2種類を用意しています。造形・メディアデザインコース及び防災・危機管理コースを希望する人については,Bタイプも選択できます。前期日程では,従来の文系理系の枠にとらわれない広い視点に基づく創造工学を目指す学生を求めるために大学入学共通テストでは5教科7科目(Bタイプ志願者は,理科の選択科目によっては5教科6科目)を課しています。個別学力検査では,基礎的な理数系科目(数学,物理,化学)から1科目を課しており,Bタイプの造形・メディアデザインコース志願者は総合問題を,防災・危機管理コース志願者は地学も選択できます。

*後期日程
 後期日程では,科学技術に関するさまざまな問題に対する判断力や対応能力,将来国際社会で活躍するための基礎的能力などを総合的に問います。そこで,大学入学共通テストでは,5教科7科目を課しています。また,個別学力検査では「21世紀にあるべき工学」を学ぶために必要な資質,能力などを問うことを目的とした小論文を課しています。

○特別選抜
*学校推薦型選抜Ⅱ(大学入学共通テストを課する学校推薦型選抜)
 学校推薦型選抜Ⅱでは,創造工学を学ぶために必要な基礎学力を大学入学共通テストの数学,理科,外国語の3教科4科目により評価します。また,調査書の審査では,勉学状況に加えて生徒会活動やクラブ活動などへの取り組み,特技や取得資格などを重視し,創造的な探究心,主体性,社会性,積極性などの観点から総合的に評価します。

*総合型選抜Ⅰ(大学入学共通テストを免除する総合型選抜)
 第1次選抜では,出願書類の内容を総合して関心・意欲・態度,思考力・判断力・表現力,主体性・多様性・協働性を評価します。第2次選抜では,第1次選抜の合格者に対して,口頭試問,プレゼンテーション,小論文のいずれかと面接を課します。口頭試問は,基礎学力や将来性を評価します。プレゼンテーションは,各コースの課題に対する発想力,創造力,論理的思考力,表現力等を評価します。小論文は,論理的思考力・表現力等に加えて,物理・数学に関する素養を評価します。面接は,向上心,論理性,積極性等を評価します。これらを総合的に判断し,最終の合格者を決定します。

*私費外国人留学生選抜
 日本国の教育機関で教育を受ける目的を持って入国した外国人を対象としています。数学と理科について試問を行う面接を課しており,日本での大学教育の理解能力を評価します。

○編入学
*第3年次編入学試験
 主に高等専門学校又は短期大学の卒業者(卒業見込みを含む。)を対象に,面接及び基礎学力に関する筆記試験を課す「一般選抜」と,高等専門学校卒業見込み者を対象に,工学技術者となる意欲や資質を問う面接(専門分野の知識についての口頭試問を含む。)を課す「推薦選抜」を実施します。