本学の高尾英邦教授(創造工学部機械システム工学領域/微細構造デバイス統合研究センター長)が、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において「科学技術賞 研究部門」を受賞しました。

   科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃える賞です。審査の結果、高尾教授が行った「高分解能触覚センシングによる手触り感計測の先駆的研究」が我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明であると評価され、科学技術賞 研究部門を受賞する運びとなりました。業績の名称と概要は、以下の通りです。「高分解能触覚センシングによる手触り感計測の先駆的研究」触覚の質感を測る「手触り感計測」には高い潜在的ニーズがあり、1 mN以下の高い入力感度と指先の指紋間隔(約400 µm)よりも微細な空間における解像度を両立する高分解能触覚センシングが求められます。本研究では、指先で対象をなぞる際の指紋の働きを模倣する触覚センサの原理を創案するとともに、繊細なセンサ部を過大な接触力から保護して安定化する「基準面」を一体化した新奇構造を発明し、手触り感計測に必要な極めて高い感度と堅牢さを両立する高分解能触覚センサを実現しました。

    手触り感を左右する表面の微細凹凸形状と摩擦力、表面硬さの分布を指先以上の感度と空間分解能で初めて可視化・計測可能とし、基準面の効果と併せて高感度触覚センシングの機能を飛躍的に向上させました。また、本研究では対象の表面を高分解能触覚センサで走査できるハンディー型計測機を実現し、生物・生体を含むあらゆる対象の手触り感計測が可能となりました。本成果は、指先の繊細な感覚を数量化する新技術であり、肌触りのよい衣類や内装材の開発、肌や毛髪の健康状態や病気・老化のモニタリング等に応用でき、指先の様な感覚を備える医療機器や器具の開発など、医療・福祉分野の発展にも寄与できると期待されます。

   表彰式は4月19日に文部科学省において現地・オンライン配信両面で執り行われました。詳しくは文部科学省のホームページをご覧ください。

https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01224.html

追って賞状及び副賞(楯)の授与が行われ、5月24日には、学長に報告を行いました。