香川大学博物館では、香川大学教育学部の小西憲一(斗虹)教授の令和7年度末での退職を記念し、特別展「小西憲一(斗虹)篆刻展」を2025年11月3日(月・文化の日)から12月20日(土)までの会期で、当館展示室にて開催しています。
会場の展示室壁面には、篆刻作品を中心に書作品を含め13点を展示しています。展示ケースには、メイン作品『日本麦酒集より』の大印材12顆と印影、さらに30歳代から現在に至る発表作品の印影や、自作の印譜などを一挙に展示しています。さらに、小西教授が実際に使用している用具用材、篆刻の説明を刻している途中の印材を用いて技法と制作の流れなどを解説しています。これから篆刻を学びたい方にも参考になる内容となっています。
▲印材と印影作品
チラシに掲載した作品『日本麦酒集より』は、2021年の作品で、毎日書道展主催の東京オリンピック・パラリンピックの応援企画で、国立新美術館で発表されました。1月から12月までの作品を連結した縦約3m✕横約4mの大作です。『日本麦酒集』は、昭和29年、篆刻家 松丸東魚が編んだ印譜です。その前年、雑誌『文藝春秋』に一年に亘って掲載されたビール会社の広告が基になりました。毎月、漢詩人が麦酒に纏わる詩を作り、篆刻家がその詩句を印にし、季節ごとの酒の楽しみが詠われています。

▲篆刻作品『日本麦酒集より』
2025大阪・関西万博での「白と黒の伝統 書と囲碁の世界」(毎日新聞社主催)に出品した作品『銀河落九天』も展示しています。唐代の詩人 李白の詩「望廬山瀑布」にある一句で、夜空を思わせる美しい料紙に篆刻印影と青墨の書で表現されています。漢詩のとおり、まるで天上から銀河がそのまま落ちてくるかのように、星の輝きを連想させる幻想的な作品です。

▲篆刻作品『銀河落九天』
▲会場風景
小西教授は、本学教育学部の教員および研究者として約30年間、教鞭をとられてこられました。その間、教職を目指す大勢の学生たちの育成に力を注がれてまいりました。その温かな指導で、書写書道に理解を持った多くの学生を、教育現場へ送り出されました。日展会友、毎日書道展審査会員、創玄書道展一科審査員として書道界に貢献されてきました。篆刻家としても創作活動を行われてこられましたが、東京での作品発表がほとんどで、地元香川で見ていただく機会があまりありませんでした。香川での個展は今回が初めてとなります。
▲右から寺林博物館長、上田学長、小西教育学部教授、今井田大学本部顧問
本展では、小西先生のこれまでの代表作に加え、近年の新作も併せて展示いたします。小西先生の歩まれた軌跡と情熱、進化を続ける作品を皆さまにぜひご覧いただければと思います。
なお、最終日の20日(土)には、最終講義が幸町北キャンパス(教育学部)415教室で行われます。講義は一般の方も聴講できます。
期 間 令和7年11月3日(月)〜 12月20日(土)
休館日:日・月曜日、祝日
※11月3日(月・文化の日)は特別開館します。
時 間 10:00 ~ 16:00(最終入館15:45)
会 場 香川大学博物館展示室(高松市幸町1-1 幸町北1号館1階)
主 催 香川大学博物館
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お問い合わせ先
香川大学博物館(高松市幸町1−1)
Tel: 087-832-1300(火~金曜日 10:00~16:00)
e-mail: museum@kagawa-u.ac.jp
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