令和5年12月1日、香川大学教育学部音楽研究室において、日本の伝統音楽を学ぶ授業として、能楽師 奥川恒治氏による特別講義を開催しました。

奥川氏は、令和6年1月24日に「日本全国能楽キャラバン!in香川」にて香川ゆかりの能「屋島」のシテ(主役)を舞われる方で、この度、香川大学で地謡・簡易な動作表現などの実践指導を含めた講義をしていただきました。

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受講した12名の学生は、初めて触れる能の世界に緊張していましたが、奥川氏の優しく丁寧な説明に、懸命に聞き入っていました。能面については、特に興味を示し、実際に能面を着用するなどし、狭い視野での舞の難しさを実感することができました。また、各自足袋を着用し、すり足の実践もあり、歩行しながらの手の表現は難度が高く、苦慮しながらも真剣に取り組んでいました。

摺り足DSC00043.jpg

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能楽など日本伝統芸能は、無形の技であり、人から人へ対面にて継承されるもので、教科書等での指導には限界があります。受講生たちからは今回、僅かながらも無形の技に触れたことで、「西洋音楽では学び、感じえない貴重な体験ができた」との意見が寄せられました。

能楽師による大学生への授業は、全国的にも大変珍しい授業で、本学では初めての試みでした。伝統音楽や伝統芸能から遠ざかる傾向のある現代の若者に、能楽師が直接、能楽に触れさせることで、日本の伝統音楽への興味を生み出すことが期待されます。

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講義内容

1 能・狂言について
  分類、夢幻能、現在能、狂言説明 

2 成立と歴史
  猿楽、伎楽、雅楽、田楽、傀儡、白拍子について

3 能面と装束
  女人面の公開、面の種類、衣装の説明

4 動きと表現
  演劇的動作、舞踊的動作  「構え」「すり足」について

5 作り物と舞台演出
  作り物(大道具)、役者の演技による空間世界 

6 謡い実践
  能「屋島」より詞章  「義経、弓流し」の場

7 動き実践
  すり足、手の表現、面を着けての歩行

 【会場:ML棟1Fオープンアートスペース】