2023年8月1日香川大学より発行した広報誌「かがアド」38号の表紙デザインにおいて、香川県善通寺市生まれ、三筆として知られ、今年生誕1250年を迎えた空海の筆跡をAI技術によって再現することに成功しました。昨今、世界的に見ても貴重な「書道文化」の継承は大きな課題であり、令和3年12月2日の官報告示において、書道文化は正式に国の「登録無形文化財」に登録されました。現代の暮らしにおいて毛筆で文字を書き、作品を鑑賞する機会は極めて少なくなっている中で、次世代への継承に関する活動の一つとして、また書道への関心を高めるための仕掛けの一つとして、今回空海の筆跡を再現出来たことは大きな成果と考えられます。
創造工学部 岡﨑慎一郎准教授が教育学部 小西憲一教授の協力を得て学内教員の文理融合により作成しました。また同時に、テクノロジーを使って書道を表現できるかどうかについての可能性を探る結果ともなりました。
つきましては、是非取材くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
■ 研究の概要・今後の展開について（創造工学部 岡﨑慎一郎准教授）
AIアルゴリズムの一つであるGAN（敵対的生成ネットワーク）から派生したCGAN(条件付きGAN，Conditional GAN）を使用しました。このアルゴリズムでは生成器と識別器を互いに競わせるようにして生成する文字の再現精度を高めていきますが、今回、生成器にはゴシック体を、識別器には空海の本物の筆跡データを使用し、再現したい文字の条件を指定して題字を作成しました。
今回は再現する文言が決まっていましたが、これ以外の文字についても再現できたらと考えています。また、空海以外の偉人の筆跡も再現できたらと考えています。
図：学習途中の文字：上段は書きたい文字、中段は空海の筆跡、下段は再現結果
図：最終結果
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