香川大学博物館は、高松市屋島山上交流拠点施設「やしまーる」において、特別展示「香川大学博物館×やしまーる『屋島の自然と景観』」を令和4年10月19日(水)~ 11月6日(日)の会期で開催しました。「やしまーる」は、屋島やその周辺の自然や歴史、文化などの魅力を広く発信し、これらを活用した様々な交流、学習の機会、憩いとふれあいの場を提供する施設として、2022年8月5日にオープンし、瀬戸内国際芸術祭2022の作品にもなっています。

高松市のランドマークともいえる「屋島」には、古代山城屋嶋城跡、鑑真が創建したと伝えられる屋島寺、源平合戦屋島の戦いの古戦場跡があります。典型的な「メサ」として、通称「畳石」と呼ばれる安山岩の板状節理が美しいことから、昭和9年11月10日に、国の史跡と天然記念物に指定されました。しかし、周辺海域の埋め立てとともに、植生などの自然環境も大きく変化してきました。一方、地質や岩石については、小豆島や五色台のような学術的研究が行われていませんでした。

高松市は、屋島の持続性のある活性化に向け、平成25年1月に屋島活性化基本構想を策定しました。それと前後して、平成24・25年度に高松市から委託されて、香川大学では工学部を中心とした香川大学天然記念物屋島調査団を組織し、屋島の地形・地質について学術的な調査を実施するとともに、気象・海象・水文、生物、景観、洞窟等について、総合的に調査を行いました。その調査研究成果は、「天然記念物屋島調査報告書」(全348頁)として平成26年3月20日に発行されました。同年には、史跡・天然記念物指定80周年記念企画展として、香川大学博物館で「屋島の自然と景観」、高松市歴史資料館で「屋島―シンボリックな大地に刻まれた歴史―」を同時に開催しました。

今回の特別展示では、香川大学博物館第14回企画展で展示した香川大学天然記念物屋島調査団による地形・地質をはじめとする自然および景観の調査研究成果を再びパネルで紹介し、屋島の立体模型(4000分の1スケール)も展示し、屋島の自然の魅力を発信しました。会期中のやしまーる入館者数は20,274名にのぼり県内外からの来館者でにぎわいました。