香川大学医学部附属病院 消化器内科 講師 小原 英幹が子宮頸がんから若い女性を救う子宮頸がんの高性能内視鏡診断】の確立を目的とする研究資金を募るため、クラウドファンディングを開始します。胃腸観察用の高性能カメラを子宮頸がんの診断に役立てる世界初の試みです。
子宮がんの1つである子宮頸がんは、世界で2番目に多く発生している女性特有のがんです。特に、若年の女性がかかる可能性の高いがんです。
早期発見のための検診の流れとしては、細胞診異常のある方は、コルポスコピー(双眼式腟拡大鏡)による精密検査に回ります。このプロジェクトは、子宮頸がんの精密診断に85倍率の胃カメラを子宮内視鏡として新たに応用することでより診断精度が高まることを目指しています。さらに、そのメリットとして患者さんが左横向きで寝た状態で羞恥心も少なく楽にうけることができます。
クラウドファンディングの利用は、社会全般から広くプロジェクトに対する関心を高めるとともに子宮内視鏡を将来的に臨床現場で使用していくことを最終目標とした研究資金の確保といった目的を有しています。このため、一般社団法人大学支援機構が運営する Otsucle を利用し、クラウドファンディングに挑戦することになりました。

1. プロジェクト名
「子宮頸がんから若年の女性を救う」世界初の子宮内視鏡プロジェクト  ※プロジェクト詳細は別紙
2. 研究代表者
香川大学医学部附属病院 消化器内科 講師 小原 英幹
3. クラウドファンディング詳細
・募集期間: 2021年12月1日(水)~2022年2月28日(月)まで
・目標金額: 220万円
・寄附形式: 確約型(All in)目標金額に達しなくてもプロジェクトを開始します。
・URL:https://otsucle.jp/cf/project/3580.html  (2021年12月1日 7時以降公開)
【※クラウドファンディングとは?】 インターネットを通して活動を発信することで,想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募る仕組みです。

問い合わせ先 
香川大学医学部附属病院 消化器内科 講師 小原 英幹
TEL:087-891-2156  FAX:087-891-2158 
E-mail:kobara.hideki@kagawa-u.ac.jp
※上記不在の場合
香川大学医学部 総務課 広報法規・国際係
TEL:087-891-2008  FAX:087-891-2016
E-mail: kouhou-m@kagawa-u.ac.jp

                                                                    別 紙

高性能内視鏡による子宮頸がんの早期発見と精密診断法の確立に向けて」について

 【研究の背景】

最近の国立がんセンターのがん統計によると子宮頸がんの罹患者数、死亡者数は、各々年間11,012人、2,921人とされ、子宮頸がんで困っている患者さんがいます。子宮頸がんの特徴は、老化現象とも捉えられる他のがんと異なり、妊娠適齢期である20代から40代に発症のピークがあることです。その原因は、ほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの感染です。この疾患の予防の1つであるワクチンの更なる普及が期待されています。大切なことは定期的な検診によって早期発見や完治が見込まれる病気であるということです。これは検診によりがんの前段階の異形成病変が発見可能なのです。
現在の標準的診断手順は、検診の窓口となる第一ステップとしての擦過細胞診にて陽性の際は、第二ステップとしてコルポスコピー(双眼式腟拡大鏡)検査が勧められます。
しかしながら、コルポスコピーでは、腟壁を拡げる際の痛みやカーテン越しのみえない検査、開脚位など苦手な検査と思う患者さんも多いようです。また、子宮頸部の視野確保や詳細な病変の診断が難しいこともあり、その診断能は更なる改善の余地があります。
それゆえ、診断能が高く、受け入れられやすい新たな検査法が求められています。

 【研究のはじまり】
きっかけは、内科通院中の若年女性が2014年子宮頸部腫瘍の切除後、再発のため追加切除を余儀なくされた経験です。消化器用のよくみえるカメラで診断すれば、このような患者さんを減らせるのではないかと着想したことでした。それをきっかけに臨床研究をはじめました。まずは、内視鏡でみえる子宮頸部腫瘍の所見を集め、子宮頸がんの検査として使われているコルポスコピーとの見え方の類似・相違点を見出してきました。

 

【私たちがつくろうとしている子宮内視鏡とは】
子宮内視鏡は、胃腸観察用の高性能カメラを子宮頸がんの診断に役立てる世界初の試みです。この検査法だと患者さんは、羞恥心が軽減できる左側に向いた体位で痛みも少なく行えることも大きなメリットです。
内視鏡は、病変への近接が自由自在であるため、子宮頸部を非常に鮮明に観察することができます。また、この内視鏡カメラには、85倍拡大倍率の顕微鏡のような機能や腫瘍の血管を強調する画像強調機能が備わっており、より精密な診断ができると考えました。腫瘍を確実にみつけ、早期に正しく診断できれば、子宮頸がんの早期治療につながります。
以下に子宮内視鏡のメリットをまとめて挙げてみます。  

ü  高い受容性(左側臥位・無痛)
ü  病変への近接が自由自在
ü  高い画像解像度
ü  85倍率の顕微鏡機能
ü  狙いうち生検能が高い
ü  子宮腟部の視野展開良好


【子宮内視鏡プロジェクトの歩みと協力体制】
本研究を子宮体がんの診断にも応用できるようにするための協力体制があります。
2014年:香川大学医学部附属病院消化器内科講師の小原英幹医師がプロジェクトリーダーとなり、西山典子医師とともに、同附属病院周産期科女性診療科教授 金西賢治医師、同講師 花岡有為子医師の協力を得て子宮内視鏡が子宮頸部腫瘍の血管像からその診断に役立つ可能性を報告してきました(Nishiyama N, Kanenishi K, Kobara H, et al. Oncol Lett. 2017;14: 355-362)。  
2016年:香川大学と高知赤十字病院(消化器内科部長 内多訓久医師、産婦人科部長 平野浩紀医師)との2機関共同で子宮頸部腫瘍の内視鏡診断体系を提唱することができました(Uchita K, Kanenishi K, Kobara H, et al. Int J Clin Oncol.2018;23:707-14, Kobara H, et al. Arch Gynecol Obstet. Arch Gynecol Obstet. 2021;304:1377-9.).
2018年:大阪国際がんセンター(消化管内科副部長 上堂文也医師、産婦人科部長 上浦祥司医師)を加えた3機関で子宮内視鏡とコルポスコピーの比較研究の成果を公表しました(Kobara H, Uchita K, Uedo N, et al. J Clin Med. 2021;10:4753.)同時に進めていた内視鏡用の生検鉗子で得た子宮頸部腫瘍の検体がその病理診断に適切であることを証明しました(Uchita K, Kobara H, et al. Diagnostics. 2021;11:360.)。このデータは内視鏡でみえる病変を内視鏡用鉗子で消化器と同様に確実に狙撃生検を行うことの妥当性が示され、次回の研究に大きな前進となる研究成果となりました。
2020年:神戸大学医学部附属病院 国際がん医療・研究センター(消化器内科特命准教授 森田圭紀医師、医員 鷹尾まど佳医師)がプロジェクトチームに加わり子宮内視鏡に関する診断・手技の教育実習が終了し、現在、4機関による前向きランダム化比較試験を立案中であります。
本研究に参加している内多医師、上堂医師、森田医師は、世界中のあらゆる国で消化器内視鏡指導を行う世界的トップランナーであり、子宮頸がんに関する診断体系の熟成化、新規機器開発推進に大きな役割を担う強力な共同研究者であります。また、香川大学医学部附属病院臨床研究支援センター 國方淳医師により研究計画の助言ならびに統計学的支援につき多大なサポートを頂いており、研究支援体制は整っています。

 

【皆様へ支援のお願い】
これまでの我々の先行研究を通して子宮内視鏡のある一定の有効性が確認されました。
次のステップとして皆様に認められる科学的根拠(エビデンス)をみつけるために無作為ランダム化比較試験を遂行する必要があります。そのためには研究支援費、内視鏡用に開発した医療機材などの確保に高額の費用が必要となります。更に、子宮体がん診断ならびに低侵襲内視鏡レーザー治療への応用を見据えており発展的研究や機器開発に費用を要します。
これまでも、研究資金確保のために文部科学省科学研究費や各財団研究支援に幾度となくアプローチしてきました。取得できた研究資金もありますが、多くは未採択になることが多いのが現状です。ある優れた方法を、皆様のお手元にいち早く届かせるためには研究を加速化することが重要となります。
したがって、確実にかつ素早く研究資金を確保し研究を進めるためにも皆様のご厚意を頂く形のクラウドファンディングを頼りたいと思う次第です。皆様のご支援を賜りたいと思っております。

■プロジェクト詳細 

URL:https://otsucle.jp/cf/project/3580.html  (2021 年12月1 日 7 時以降公開)