希少糖 D-アルロースは、健康な方が摂取することで、食後血糖値の上昇抑制、抗肥満、動脈硬化の抑制など、糖尿病や肥満(メタボリックシンドローム)の予防効果を持つことが、香川大学や他の研究機関の実証試験により認められています。今回、D-アルロースを含有する病院食を開発することで、糖尿病に対して血糖上昇抑制を目指した積極的な治療食開発に向けた検討をおこないました。

カロリーを制限した通常の糖尿病食と比較して、D-アルロースを含有した糖尿病食では食後の血糖上昇抑制効果が認められました。今後、医療機関で提供される糖尿病食として D-アルロース含有糖尿病治療食が標準化され、さらには糖尿病患者の在宅での食事の一助になることが期待されます。尚、今回の病院食開発は、香川県糖質バイオ活用支援事業費補助金の支援で、株式会社ボスコフードサービスの協力のもと、産官学連携で進めています。

注)治療食(病院食)とは、一般的に病院内で入院している患者に対して医師の指示に基づいて提供される食事(給食)のことで、一般の食事と異なり、各々の病院で、個々の入院患者の病状に応じて、カロリー制限やバランスの良い栄養分を考慮して提供されます。

成果説明会
1.日 時 : 令和 3 年 9 月16日(木)10:00~11:00
2.場 所 : 香川大学(幸町キャンパス) OLIVE SQUARE 2階 多目的ホール
3.報 告 : 希少糖を用いた新たな糖尿病治療食の開発進捗状況について
4.出席者 :
●国立大学法人 香川大学 
学長 筧 善 行

同 医学部 附属病院内分泌代謝内科・糖尿病センター 
国際希少糖研究教育機構・臨床試験分野 教授 村 尾 孝 児

同 医学部 同科・同センター 
同機構・同臨床試験分野 助教 小 林 俊 博

●株式会社 ボスコフードサービス 
代表取締役 森 卓 二
同 
営業部長 渡 邉 悠 司

●香川県 
商工労働部 産業政策課長補佐 藪 内 崇 司

説明会参加について
当日は、マスクを着用してご出席ください。発熱・咳等風邪の症状がある方は来場をご遠慮下さい。

説明会に関するお問い合わせ先
事務担当:香川大学 学術部 研究協力グループ 井戸元 彩夏
TEL :087-832-1341 FAX:087-832-1319 MAIL:soumke@kagawa-u.ac.jp

■開発研究の背景
我が国における糖尿病患者数は増加し、糖尿病予備軍を含めれば 2000 万人を超え、糖尿病患者における肥満者も急増しています。肥満や糖尿病などの生活習慣病の治療の基本は食事療法です。希少糖は自然界で存在量の少ない単糖とその誘導体として定義される糖であり、その一種である D-アルロースは、糖代謝改善作用・食後血糖改善効果に加え、体重減少などによる抗肥満作用も期待されています。D-アルロースを含有する治療食(病院食)注)を開発することで糖尿病・肥満症に対して食後高血糖を抑制し、肥満を防止する積極的な治療食の開発を目指します。

■希少糖とは

「希少糖」とは、自然界に微量にしか存在しない、希少な単糖およびその誘導体の総称として、国際希少糖学会(会長:香川大学 何森 健(イズモリ ケン)特任教授)によって定義され、また各種希少糖を大量生産する道すじが何森教授によって示されました。量は非常に少ないのですが、種類は多く、自然界に 50 種以上存在しています。近年、希少糖の大量生産技術の確立により、香川大学ほか研究機関による研究が進み、様々な生理活性が発見されました。数ある希少糖の内の一種である「D-アルロース(D-プシコース)」は、砂糖の 7 割程度の甘味度を有しており、今回の開発につながる機能効果が、香川大学や他の研究機関の実証試験により認められています。

■株式会社ボスコフードサービスhttp://www.boscofs.co.jp/について
ボスコフードサービスは 1978 年から四国・中国地域を中心に病院給食、学校給食、老人ホームなど、団体給食サービスを提供しており、あらゆる「食」の場面でお客様から高い満足を得ております。また創業時から、自社工場でのお弁当宅配事業も展開しております。
病院給食等で培った「知識・ノウハウ」により、高い安全性、厳密な栄養管理を誇る食事を提供でき、宅配事業により積み重ねた「経験」により衛生的な配達方法や香川県を網羅できる宅配能力を有しております。このような基盤の中、この度、国立大学法人香川大学様との共同研究開発に至りました。現在、セントラルキッチン方式で冷凍加工食品中心の給食サービスが多い中、弊社では地域の素材を利用することに心がけ、地元の新鮮な食材を地域の特性を生かした調理方法で調理し、喫食者様にご好評を頂いております。

■「産官学」について
香川大学は香川県や松谷化学工業株式会社との産官学協業により、「D-プシコース」(D-アルロース)をはじめとする希少糖類に関する研究を進め、2017 年に採択された「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム(文部科学省補助)」で産官学連携研究を推進しています。希少糖の抗肥満、抗糖尿病、抗動脈硬化、抗酸化、アンチエイジングなど様々な作用を解明し、人類への大きな寄与が期待される希少糖の普及へ向けてこれかも、一層の努力を続けます。

■お問い合わせ先
●香川大学における希少糖を用いた糖尿病治療食を使用した研究に関すること
香川大学 附属病院内分泌代謝内科・糖尿病センター 教授 村尾 孝児
TEL:087-891-2230 FAX:087-891-2230
MAIL:mkoji@med.kagawa-u.ac.jp

●希少糖を用いた糖尿病治療食の調理に関すること
株式会社ボスコフードサービス 営業部長 渡邉 悠司
TEL:0875-83-5558 FAX:0875-83-5974
MAIL:info@boscofs.co.jp

●県の事業化支援・「香川県糖質バイオ活用支援事業費補助金」に関すること
香川県 商工労働部 産業政策課 課長補佐 藪内 崇司
TEL:087-832-3352 FAX:087-806-0210
MAIL:tg7577@pref.kagawa.lg.jp