8月24日(月)、幸町キャンパスOLIVE SQUARE多目的ホールにおいて、香川大学と大倉工業株式会社が協働して取り組む「消化器内視鏡用新型コロナウィルス感染防御システム」の製品開発に関する発表会を行いました。
 新型コロナ収束の目途が立たない現在、検査や手術などの医療行為のなかで、とりわけ飛沫拡散リスクのある消化器内視鏡検査は、多くの機関で検査の中止や延期を再考せざる得ない状況になりつつあります。香川大学医学部附属病院消化器内科(科長:正木勉教授)の小原英幹講師、西山典子医員(西山脳神経外科病院消化器内科医師・香川大学医学部臨床講師)、創造工学部造形・メディアデザインコース大場晴夫教授らは、飛沫拡散リスクのある消化器内視鏡検査等の各種検査時における、患者側を被覆したフィルム空間の陰圧化による患者-医療従事者間の直接接触・暴露予防と室内飛散を防止するシステムを発案、コンセプトモデルを医工連携にて製作しました。大倉工業は、香川大学にて製作されたコンセプトモデルを基に、長年培ってきたプラスチックフィルムに関する知見を活かし、量産化のための製品開発を担います。
 香川大学・大倉工業の双方出席のもと行った発表会にて、冒頭の筧学長挨拶では「新たな感染症の時代に、本件研究開発は、分野を超えて本学が培うデザイン思考能力とリスクマネジメント能力、さらには産官学連携によるイノベーション創出の好例といえる」と述べました。続いて、小原先生による研究開発内容の発表と、西山先生による試作品を用いたデモンストレーションを行いました。質疑応答では、「どれほどの時間短縮につながるか」等の質問が記者から寄せられ、「コロナ禍の現状、内視鏡検査には消毒・換気で患者一人当たり30分程度を要するところ、本製品の利用により所要時間を1/3程度に短縮することが期待できる」などの回答がありました。報道機関から多くの質問が寄せられ、試作品やデモンストレーションの撮影時間も長く行われたことから、この研究開発への注目の高さが伺えました。
 今後、試作試験・評価・改良や、医療現場における導入テストなどを行い、来春の販売開始を目指します。