創造工学部の神野正彦教授と小玉崇宏講師の研究チームは、空間多重技術に基づく次世代型光ファイバであるマルチコアファイバに対応可能な新構成の光ネットワーク「空間チャネルネットワーク」を世界に先駆けて提唱しています。今回、同研究チームは空間チャネルネットワーク実現の鍵となる、全く新しい構造の光スイッチ「コア選択スイッチ」を考案し、その原理動作確認に成功するとともに、コア選択スイッチを用いた空間チャネルネットワークの実証実験に世界で初めて成功しました。

これにより、光スイッチ1台当たりのスイッチング容量の現行比30倍以上の超大容量化と、1ビット当たりの転送コストの現行比30分の1以上の経済化が可能になります。本空間チャネルネットワーク技術は、2025年頃までに必要になると予想される毎秒1ペタビット級の光通信システムを経済的に実現するための基盤技術となることが期待されます。

同研究チームは本研究成果のコア選択スイッチを、2019年7月7日−11日に福岡で開催された光エレクトロニクス・光通信国際会議(OECC/PSC 2019)において発表し、最優秀論文賞を受賞しました。また、空間チャネルネットワーク実証実験を、2019年9月22日−26日にアイルランド、ダブリンにて開催された欧州光通信国際会議(ECOC 2019)にて発表し、特に高い評価点を得た論文(Highly Scored Paper)として紹介されました。

なお、本研究成果の一部は、JSPS科研費(26220905、 JP18H01443)の助成、ならびに情報通信研究機構委託研究(採択番号20401)により得られたものです。
ニュースリリース:https://www.kagawa-u.ac.jp/files/7315/7049/3656/20191004_soukou_kenkyuu2.pdf 

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        図1 現在の光ネットワークと提唱する空間多重時代のネットワークの構成

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図2 コア選択スイッチの構成と動作原理                  図3 コア選択スイッチの原理確認実験の様

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            図4 空間チャネルネットワークの実証実験の内容

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               図5 OECC/PSC 2019 最優秀論文賞受賞の様子