平成30年1月15日(月)、香川大学のOLIVE SQUARE2階多目的ホールにおいて、知プラe事業の5年間(平成25~29年度)の「事業成果報告」として、「事業シンポジウム2017」を開催しました。

 知プラe事業は、四国の国立5大学(徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学)が、e-Learning基盤を活用し5大学全体の教育の質の向上を図ることを目的として、平成24年度に文部科学省の「国立大学改革強化推進事業」に採択された、『四国5大学連携による知のプラットフォーム形成事業』のうち、「四国におけるe-Knowledgeを基盤とした大学間連携による大学教育の共同実施事業」で、それぞれの大学が有する特色ある教育・研究分野の授業について、e-Learning基盤を活用しコンテンツ化して、各大学の教員がそれぞれ5大学の非常勤講師となり、各大学の授業科目として共同開講するもので、これまでの単位互換制度とは異なるものです。

 シンポジウムでは、大学連携e-Learning教育支援センター四国の藤本先生の司会により、知プラe事業の運営委員会委員長である香川大学の山下 理事・副学長(教育担当)の開会挨拶後、連携大学を代表して事業主幹校の香川大学 筧学長より、「本事業の可能性が認められ、補助金事業終了後の平成30年度以降の5年間継続について、現在、関係の大学間で協議し準備を進めている。引き続き、大学教育の共同実施を通じ、四国国立5大学全体の教育の質の向上が図られるように取り組んでいる。」との挨拶があり、参加者に対し理解と協力の要請がありました。

 「事業成果報告」では、大学連携e-Learning教育支援センター四国の林センター長から「知プラe事業の概要」について全体的な報告が行われ、その後、知プラe事業の主要な成果である「共同実施モデルの構築と運用」についてセンター四国の愛媛大学分室 根本准教授から、「非同期型e-Learning授業における教育の質保証」についてセンター四国の金西 徳島大学分室長から、「非同期型e-Learning授業コンテンツ制作に係る著作権処理」についてセンター四国の香川大学の藤本助教と愛媛大学分室 吉田技術員から、それぞれ事業成果の報告がありました。

 特に著作権の利用許諾について、韓国、中国が申請の当日又は翌日に認可されたとの報告があり、両国の迅速な事務処理に対し、参加者から驚きの声が上がりました。
 その後、事業成果に対する外部有識者 大平放送大学香川学習センター所長から、詳細な資料分析等に基づく総評があり、最後に以下の3つの高い評価と期待が示されました。
①  本事業において、体制構築から、システム設計と実現を行ったこと、また各教員が行ってきた、授業コンテンツ作成と授業実施について、高く評価したい。
②  今後については、大学間で議論するとともに、執行部の責任(体制維持のための財源措置等)での継続実施が望まれる。
③  他機関での活用の検討が望まれる。教育モデルとして広く提示し、社会へ展開してほしい。

 続いて特別講演として、日本教育工学会第8代会長・熊本大学教授の鈴木克明氏より、「知プラe事業の成果と大学連携e-Learningの将来展望について」、講師の2つの論文を資料として以下のことについて講話があり、センター四国の成果を高く評価頂きました。
①  e-Learning専門家をe-Learningで養成するインターネット大学院の現状
②  e-Learning授業に係る科目設計や単位認定条件
③  修得できるコンピテンシーの概要
④  学習進捗状況の把握方法などの質保証への取り組み
⑤  大学が知識の習得の場から能動的に学修できる場への転換
⑥  自己管理学習ができる学習者を育成するためのモデル

 講演後の質疑応答で、鈴木講師から、参加者の質問「e-Learningの将来性」について、100%e-Learningにすると教員の業務量が3倍くらいになるので、機械による自動採点式を活用し、知識が爆発的に増えているので基礎知識からだけではなく応用から入ることが必要であること。また、知プラe事業のe-Learningコンテンツ、オンライン授業設計ガイドライン、オンライン授業運用ガイドラインが良くできているので、文字に起こして本を作ると、教員の成果となる等のアドバイスがありました。

 シンポジウム当日は、5大学の教職員を含め県内外から54名(うち遠隔中継会場からの参加8名)の参加があり、概ね半日間の長時間にも関わらず、専門的な質疑応答も行われ、本補助金事業最終年度に相応しい内容のある大変充実したシンポジウムとなりました。