このたび、平成27年度以降の大学院連合法務研究科(以下「法科大学院」という。)の学生募集停止を決定いたしました。
当法科大学院は、ご高承のとおり平成16年4月香川大学と愛媛大学との連合法科大学院として設置して以来、四国弁護士会をはじめ地元経済界および自治体のご支援のもと、四国地域に根差したリーガルセンターとして位置づけ、四国地域を離れては存在意義がないとの共通認識のもと、四国ロースクールとしての使命感をもって運営活動を行って参りました。
こうした取り組みにより、現在までに当法科大学院の修了生の総数は、150名を超え、そのうちの28名が既に法曹界で活躍しております。当法科大学院の教育の基本理念である地域司法の拠点となって地域住民の生活を支える法曹の養成を行うことが功を奏し始めたばかりであり、自ら地域の法曹サービスの担い手となって活動していることを忘れてはならないものと思っております。
しかし、ここに来て法科大学院を取り巻く環境は、司法試験の年間合格者が目標の3千人に届かない状況が続き、全国的に法科大学院志願者の大幅な減少が止まらないなか、昨年7月には、政府の法曹養成制度関係閣僚会議において「法曹養成制度改革の推進について」など、法科大学院の存続に多大な影響を及ぼす決定が示されました。
本学法科大学院においても入学する者の減少が続き、入学定員の見直しを行うとともに、四国弁護士会の協力を得て、教育内容の改善などに取り組んで参りました。しかしながら、昨年は5名もの司法試験合格者を出し、合格率も大幅に改善が図られたものの、直接入学者の増加に結びついているとは言い難い状況にあります。
また、現下の法科大学院を取り巻く社会情勢を踏まえますと、にわかに好転に至る状況にはなく、継続して法科大学院として存続させることは困難との判断を余儀なくされ、ここに平成27年度以降の学生募集を停止することと致しました。
今後につきましては、学生募集停止後も在学生が課程をすべて修了するまで存続する法科大学院に対し、全学を挙げて在学生への教育指導を行うとともに、修了生につきましても出来うる限りの支援を行うことと致しております。
これまで当法科大学院に対してご支援、ご協力を賜りました地域の方々はじめ関係者の皆さまには、このような状況に立ち至らざるを得なくなりました諸事情をご理解頂き、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げる次第です。
なお、香川大学は、地域司法の充実に懸ける方針は些かも変わるものでなはなく、法科大学院で培った経験、実績を活かして、学内に新たに組織を設置して引き続き地元の皆さまのご期待に沿える活動を展開したいと考えております。


平成26年5月20日

香川大学長     
長 尾  省 吾

香川大学大学院香川大学・愛媛大学連合法務研究科長の声明文はこちら