二期目にあたっての抱負

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2021年10月1日より二期目の学長として、国立大学法人香川大学の運営を引き続き指揮させていただきます。おりしも本学を含め全国の国立大学法人は第3期の中期目標期間の最終年度を迎えており、来年度から第4期の6年間が開始されます。この重大な節目にあたり、あらためて香川大学の将来ビジョンを定め、その実現に向かって具体的な目標と計画を全学一丸となって立てました。約4年前に公表された人工知能を活用した日本の未来予測に基づく政策提言で、「持続可能な地方分散型社会」のみが日本の生き残りうるシナリオであると報告されました。こうした背景から、本学の第4期中期目標期間におけるビジョンは、「持続可能な地方分散型社会の実現に貢献する人材の育成と研究の推進」と策定し、知の拠点として地域の活性化と魅力化に貢献することをあらためて決意しております。

教育に関しては、様々な困難が待ち受ける21世紀社会で、共感力と発想力に富み、しなやかに社会をリードできる人材育成を、全学部生共通の教育目標として継続、発展させます。個々の学生が所属する学部の専門分野に関する深い知識・技能を身に付けることに加え、異なる学問分野を学ぶ機会を積極的に提供します。また、本学の教育の柱であるDRI教育(デザイン思考、リスク管理、情報・数理・データ科学教育)を全学生にさらに浸透させます。大学院修士課程に関しては、令和4年度より開始します創発科学研究科(教育学・法学・経済学・工学の各研究科を1研究科に統合)を中心に、農学研究科や医学研究科も参画し、分野横断的な研究を大幅に増加させるとともに、社会人の学び直しに大きく門戸を開く予定です。また、起業をめざす学生に対して、地域マネジメント研究科の支援を得て教育カリキュラムを充実させて支援いたします。今後は、修士課程教育において研究意欲の高い学生の育成に注力するとともに、令和6年度開設予定の創発科学研究科博士課程への進学者を増加させたいと思います。

研究面では、希少糖研究、微細構造デバイス研究、次世代型通信・環境を支えるマテリアル・システム研究など独創性が高い研究を重点研究に定め、卓越性をさらに高めるべく支援します。一方、地域コミュニティの回復力強化(社会的レジリエンス)や瀬戸内圏の環境・資源問題、包括的健康イノベーションの創出、MaaS (Mobility as a Service)研究など地域課題の解決や資源の持続的な活用などSDGsに資する研究を推進します。これらの研究の多くは、学内の様々な専門分野の研究者の横のつながりとともに、企業の研究者も協働でイノベーション創出を図ることが必要であり、そのような研究環境を整備する必要があります。すでに設置していますイノベーションデザイン研究所に加え、新しく開設しました大学院創発科学研究科、それに付随します産学共創研究のためのリサーチファームというプラットフォームを三位一体的に運用し、企業からの研究者の方々と学内の研究者との協働的共創研究をさらに加速化します。

コロナ禍により大学の機能のデジタル化は喫緊の課題となりましたが、本学ではこれを機に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を巻き起こすため学内体制をいち早く整え、「デジタルONE戦略」の旗印の下、分散キャンパスにより生じていた学部間のコミュニケーション不足の解消や異なる専門分野の研究者同士の連携、職員の業務効率化などを推進しております。今後はIRデータに基づいた学内資源の効率的活用をDX化とともに一段と進展させ、科学的な大学運営を推進する所存です。一方、地域の企業や自治体のグローバル化も大学のグローバル化と一体的に取り組むべき課題であります。地域産官学連携戦略室はインターナショナルオフィスと連携しながら、香川県の産官学のグローバル化の推進に貢献する所存です。

最後になりましたが、香川大学がさらに魅力ある学びと開かれた研究の場になるように、そして地域の皆様に愛され、かつ信頼される知の拠点として成長できますように、学内教職員とともに一丸となって精魂を傾ける所存です。皆様の一層のご支援をよろしくお願いいたします。

令和3年10月1日
国立大学法人香川大学長
筧 善行