令和6130()、瀬戸内圏研究センターはe-とぴあ・かがわ BBスクエアにおいて、令和5年度香川大学瀬戸内圏研究センターシンポジウムを開催しました。当シンポジウムは、瀬戸内海が抱える様々な環境問題に歯止めがかからず、環境保全・修復は重要かつ緊急の課題となっていることを鑑み、東日本大震災後12年が経過したのを機に、水圏環境と水産物への影響について研究され、水産業の復興に向けた取組をされた専門家の講演と、香川大学瀬戸内圏研究センターが令和4年度から取組んでいる瀬戸内海の「環境・資源研究」と「地域産業振興」に特化した新たなプロジェクト研究について紹介し、この内容に対して様々な立場から忌憚ないご意見をいただくことを目的として開催したものです。

1_開会挨拶:上田学長.jpg開会挨拶:上田学長

開催に先立ち、上田夏生香川大学長から冒頭挨拶がありました。

まず、基調講演として、国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター 海洋環境部 放射能調査グループ グループ長 帰山秀樹様から、「〜福島第一原発事故から見えてきた沿岸生態系における物質循環像〜 放射性セシウムは魚にどう移行したのか?」について、ご講演いただきました。

研究報告1として、末永慶寛創造工学部長(瀬戸内圏研究センター副センター長)による「瀬戸内再生のための「人×技術×海」マッチング共創拠点-共創の場形成支援プログラム」について報告がありました。この研究は、令和511月より科学技術振興機構(JST)の共創事業に採択されたものです。

2_基調講演:4名.jpg左から 基調講演:帰山秀樹様、研究報告1:末永慶寛創造工学部長、
    研究報告2:石塚正秀創造工学部教授、研究報告3:中國正寿農学部博士研究員

研究報告2として、石塚正秀創造工学部教授(瀬戸内圏研究センター併任教員)による「河川を浮遊するプラスチックごみに関する研究-河川から海域への流出-」について報告がありました。この研究は令和5年度より特定非営利活動法人瀬戸内海研究会議の瀬戸内海の環境保全創造に係る研究助成に採択されたものです。

研究報告3として、中國正寿香川大学農学部博士研究員による「多彩な観測項目によって見えてきた播磨灘の水柱の窒素とリンの循環」について報告がありました。この研究は令和35年度の3年間にわたって環境省・環境研究総合研究推進費に採択され実施したものです。

 

続いて行われた総合討論では、先の講演に基づき参加者らから出された意見等に対して質疑応答等を中心とした意見交換を行いました。

最後に秋光和也研究担当理事から閉会挨拶がありシンポジウムを終了しました。

今回のシンポジウムは、会場参加に限定して開催しましたが、一般参加を含めて約50名の方に参加いただき活発な意見交換が行われ、有意義なシンポジウムとなりました。瀬戸内圏研究センターは、今後もシンポジウムの開催を通じて、本センターの活動を広く情報発信するとともに、地域・社会において、本センターが果たすべき役割について考えていきたいと思います。