生徒と共に成長する、情熱あふれる中学校教師

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    取材日 2025年1月10日
    Kadai SALON(会報第5号)
    多度津町立多度津中学校
      教諭(数学)
           豊嶋美佐さん
          (教育学部 2023年卒)

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『Kadai SALON(会報第5号)』の誌面に掲載しきれなかったインタビュー記事をご紹介します!

現在のお仕事内容を教えてください
香川県多度津町にある多度津中学校で、1年生の担任をしています。担当教科は数学で、部活動は女子ソフトテニス部の顧問をしています。クラスには29人の生徒がおり、周囲の学校と比べると生徒数は多い方です。教師になって2年目で、今年から担任を持つようになり、毎日が挑戦の連続です。しかし、多度津中学校の先生方はユーモアに溢れ、親身に相談に乗ってくれる方ばかりなので、とても心強く感じています。

教師2年目とのことですが、仕事の大変さとやりがいを教えてください
大変だと感じる瞬間は多々ありますが、生徒たちが楽しそうに話している姿や、悩みを聞いて解決できた時には、共に笑い、喜びを分かち合える瞬間がたくさんあります。部活動の顧問は、正直なところ大変だと感じています。私自身は中学校から大学までバドミントンを続けてきたので、ソフトテニスについては専門的な知識がありません。しかし、幸いなことに、外部からコーチが指導に来てくださり、土日の試合にも同行していただけるので、私が教えるというより、生徒たちが主体的に考え、練習に取り組む形になっています。

教育学部に入り、教師を目指したきっかけは何ですか?
小学生の頃から教師になりたいという夢を持ち続けていました。学生時代、どの先生も魅力的で、先生同士が仲の良い中学校の雰囲気に憧れを抱いていました。私もこんな職場で働きたいと思い、自然と教師の道を志すようになりました。

教科を数学に選んだ理由は何ですか?
中学校時代、数学が苦手な友人が多く、得意な私が教えるうちに、「そういうことか!」「分かった!」と喜んでくれる姿を見て、数学を教える喜びを知りました。大学の教育学部で数学を深く学ぶうちに、数学の楽しさや魅力を伝えたいという思いが強くなりました。塾などで公式だけを教わるのではなく、生徒自身が体験したり考えたりして、公式を導き出す喜びを体験させてあげたいと思っています。

香川大学の教育学部で学んで良かったことはありますか?
香川県の教師になりたいと思っていたので、香川県の教育事情や特徴を大学で学べたことは非常に有意義でした。大学の先生方もユーモアに溢れ、楽しい授業ばかりでした。香川県の教員採用試験を受けるなら、香川大学はおすすめです。

休日はどのように過ごされていますか?
実家から通勤しているので、休日はショッピングに出かけることが多いです。特に目的がなくても、岡山や高松など、少し遠出をして気分転換をしています。また、同じ県内の中学校で教師をしている友人とカフェ巡りをして、スイーツを楽しんでいます。

教育実習は中学校に行ったのですか?
私が在学していた時期は、コロナ禍の真只中でした。教育実習は3年と4年の時に行うのですが、延期や中止が相次ぎ、ほとんど実習の機会がありませんでした。オンライン実習という形で、画面越しに附属学校の先生の授業を見学したり、1週間だけ実習に行き、1回だけ授業をさせてもらったりしました。本来なら3年生の時に3週間、授業をたっぷり経験できるはずだったのですが、それが叶わず、私たち同期は焦りを感じていました。そこで、自分たちで模擬授業をし合い、意見交換をするなど、対策を講じました。

大学時代の部活動やアルバイト経験が、今の仕事にどのように活かされていますか?
大学のバドミントン部では、会計を担当していました。中学校の部活動で遠征に行く際、バスやホテルの手配、集金など、会計の経験が活かされています。また、ビュッフェレストランでのアルバイトは非常に忙しく、一人で複数の業務をこなす必要がありました。教師も同様に、様々な業務を同時進行する必要があるので、優先順位をつけながら効率的に仕事を進める力が身についたと思います。コロナ禍で大学の授業がオンラインになったため、パソコンを使うスキルも身につきました。多度津中学校ではICT教育に力を入れているので、大学で得た知識や経験が役立っています。

教師として、今後の目標や挑戦したいことはありますか?
子どもの頃、先生は何でも知っている存在だと思っていました。しかし、中学生は大人になる過程で、自分で考え、行動する力を身につけることが大切です。現代の子どもたちは、スマートフォンで簡単に情報を得られるため、すぐに質問してきます。もちろん、質問に答えることも大切ですが、自分で考える力を養ってほしいと思っています。何でも教えてしまうのではなく、子どもたちが自分で考え、答えを見つけ出す過程をサポートできる教師になりたいです。

後輩へのメッセージをお願いします。
教師の仕事は楽しいことばかりではありません。大変なこともありますが、子どもたちの成長を間近で見られる、やりがいのある仕事です。教師の仕事はブラックだと言われることもありますが、どんな仕事にも大変なことはあります。楽な方ばかりを考えるのではなく、人と関わる中で得られる喜びや、困難を乗り越えた時の達成感を大切にしてほしいと思います。

その他に何か伝えたいことはありますか?
クラス全員が「楽しい!」「分かった!」と思える授業をしたいです。公立学校なので、学力差があるのは当然ですが、どんな生徒も楽しめる、理解できる授業を目指しています。

仕事で一番辛かったことは何ですか?
一番辛かったことについてお話することはできませんが、ひどく落ち込んでしまい、次のクラスの授業に行くのも困難になってしまったときがありました。そんな時、先輩の先生が「先生には辛いことがあったかもしれないけれど、子どもたちは先生のことを待っているよ。」と励ましてくれました。教師である以上、どんな状況でも授業を放棄することはできないと、プロとしての責任を改めて感じました。

逆に、この2年間で良かったことは何ですか?
数学の先生として、自分で考えた確率の授業が盛り上がったことです。重りをつけたサイコロを使ったゲームで、生徒たちが「ずるしてる!」と騙された顔をしたのが面白かったですね。

授業のやり方はクラスごとに変えていますか?
はい。以前は事前に考えた板書計画どおりに授業をしていましたが、生徒の反応を見ながら、つまずいている箇所を補足したり、質問を取り入れたりして、授業内容を調整しています。

採用試験の内容は?
筆記試験、集団・個人面接、模擬授業です。特に模擬授業は、中学3年間の範囲から当日課題が出され、短時間で授業を構成して行うため、集中的に練習しました

生まれ変わっても先生になりたいですか?
人と関わる仕事はしたいですが、教師かどうかはこれから続けてみてみないとわからないかな。