一覧を見る

自己紹介

   香川大学さぬき再犯防止プロジェクト(Prevent Re-Offence Sanuki (通称PROS、プロス))は、現在23人の学生が、指導教員、地域生活定着支援センターの方々等とともに、刑務所出所者等の「居場所と出番をつくる」をテーマに活動している団体です。この「居場所と出番」というキーワードは、SDGsの10番「人や国の不平等をなくそう」、11番「住み続けられるまちづくりを」に資する重要な概念の一つです。すべての人が、尊重され、社会の一員として活躍できる「居場所と出番」を持つことは、多様な人々を受容することのできる社会づくりにとって必要不可欠です。しかし、犯罪を繰り返す人は、友人や家族という「居場所」、仕事や学校という「出番」をもっていないことが多いです。そこで、PROSは再犯の現状や受刑者、刑務所等に関する理解を深めながら、2020年から活動を行っています。

活動のきっかけや経緯

   日本では、刑法犯の認知件数は2002年から大幅に減少しており、犯罪の最も少ない国の一つといえます。しかし、刑法犯として検挙された人の中で、過去にも検挙された人(再犯者)の占める割合、つまり再犯者率は、 2020年に49.1%となり、これまでで最も高い比率となっていました。また、刑務所等を出所した人が、再び入所してしまう割合は約6割を占めています。一方で、学生の多くは「犯罪をしたのならば刑務所に行くのは当然」「本人は刑務所に行けば反省する」といったところで関心が終わってしまい、出所した後への意識が向いていませんでした。そのような状況に対して、刑事法を担当している教授を中心に、出所者の支援を行う地域生活定着支援センター所長、弁護士、自立支援相談センターたかまつ相談員など学外の専門家たちと学生が集い、現在の活動が開始されました。

活動紹介と将来の展望

   PROSの主な活動は、➀交流会、➁研修会、➂広報・啓発活動の3つです。➀交流会では、出所者の方と学生が、月に1度学外で集まり、お互いの「居場所と出番」をつくっています。➁研修会では、様々な分野で働かれている方々から、出所者の置かれている現状や再犯防止について学んでいます。➂啓発活動では、学生たち自身が交流会や研修会を通して学んだことや、本プロジェクトの活動を地域の方々へ、広報・啓発活動するために再犯防止シンポジウムの開催、大学祭での刑務所作業製品の展示などをおこなっています。広報・啓発活動を通して、学生たちは伝えることの難しさと楽しさを実感しています。
PROSでの学びは、当事者の声に耳を傾け、自分たちにできることを考える姿勢につながっています。そして、このような活動を通して、所属メンバーは、進路先の視野も広げています。卒業生の中には、弁護士や保護観察官、検察事務官、裁判所事務官といった職に就き、様々な角度から再犯防止に関わる人もいます。
今後はさらに、香川大学内だけではなく、社会全体に再犯防止の活動の大切さや意義を広めていきたいと思っています。そして、私たちPROS自身、地域社会の一員として、再び罪を犯さないための「居場所と出番」づくりや、多様な人々を受容することのできる社会づくりの地域の方々の第一歩となることを目指します。