自己紹介
香川大学経済学部1年の瀧美桜です。
私はTry!魚っちの一員として、香川県に生息する水生生物を中心にその良さを広め、守るためにプロジェクト活動に励んでいます。
活動のきっかけや経緯
「環境省レッドリスト2020」では、淡水域に生息する日本の魚類の43.3%が絶滅した、または絶滅の恐れにある状況にあると報告されています。河川やため池などの防災対策の取り組みの強化が喫緊の課題となる中で、生息地改変や外来種の侵入などによって絶滅の恐れが高まる水族の生態や生息環境を考慮し、水路やため池の生態系を守っていくことが重要です。現在、平野部の河川やため池で在来の魚類を見ることは難しく、絶滅危惧種のニッポンバラタナゴやカワバタモロコは高松市内では各々1地点の生息地しか残っていません。これらの種は、香川県条例で捕獲が禁止されており、加えて香川県には香川の水族にふれる施設が皆無であり、多くの絶滅寸前の生き物を知る機会はほぼありません。陸域水族の厳しい現状を改善するためには、まず広く県民の方々に、水族の今を知って頂き、興味をもってもらうことが第一歩だと考え、プロジェクト「Try!魚(うお)っち」を立ち上げました。
活動紹介と将来の展望
「Try!魚っち」は、香川県の自然や生き物をテーマとして、香川に生息する水族に特化した生きている生体の移動展示事業を展開しています。2024年度は、香川県立高松桜井高等学校文化祭、高松丸亀町商店街ドーム広場を会場にして、香川で数を減らし続けている陸域水族を紹介し、それら水族を取り巻く環境変遷について啓発しました。来場者からは、「魚に対する好奇心がわいた」、「このような珍しい生き物を生で見れて嬉しい」、「魚を見て癒された」といった意見を頂き、質の高い生きた水族の展示によって、地域の生物多様性に関する興味喚起に貢献できたと考えています。一方、「魚を見たからといって河川政策まで関心を持つことはない」というご指摘も頂きました。一般的に生き物に配慮した河川改修や農業経営は経済的にトレードオフの関係にあります。2025年度は、生き物が豊富な農地での収穫物の経済的価値を高める手法を考えることで農家を支援し、生き物に優しい環境づくりへの応援者を増やす活動を展開する計画です。人間生活と調和した自然環境のあり方、持続可能な生き物との共生について考え、生物多様性保全についての啓発を続けていきたいと考えています。