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生産性の高い稲作は多くの水を必要としますが、そのための水の効率的利用は、水質悪化、生態系の衰退とそれに伴う浄化機能の劣化を引き起こし、水利用の阻害や生物生産の減少としてフィードバックされます。さらに、陸水域から海域へ供給される物質を質・量的に変化させ、海域生態系へも影響を与えます。このような環境の中では、持続的な生物生産のため、生態系とのバランスを考えた水利用が求められます。本研究では、水中に存在する物質・生物の濃度や安定同位体比等の化学的情報から、生態系を構成する主要元素や各種の安定同位体を効果的に組み合わせ、水・物質循環と生態系を統合したマルチトレーサー解析法を開発し、それを用いたヒト―水―生物の統合的解析を行います。近年の気候変化により日本では比較的暖かい地域の雪の減少が懸念されています。四国の北域は農業用水が乏しく、河川への負荷が大きい地域で、気候変動の中で起こる水環境と農業の関係が具現化されています。本研究で得られた知見は、将来の河川環境問題への適応に必要なものとなります。

担当者

山田 佳裕
区分:教員
職名:教授
所属:農学部