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新型コロナウイルスの感染拡大は、地域の防災活動の現場にも大きな影響を及ぼしています。対面を重視した活動が中心であることから、多くの地域で防災訓練や近隣住民による助け合いの活動を中止せざるを得ない状況に追い込まれています。 一方、このような極端な社会環境の変化にも柔軟に対応し、活動を継続するとともに、さらなる発展を遂げている地域もあります。その一例として、岡山県津山市城西地区をご紹介します。 城西地区は、住民主体のまちづくり組織である「まちづくり協議会」を中心に、地域の強みを活かしたまちづくり活動が盛んな地域です。令和2年1月には岡山県内で第1号の住民主体の防災計画である「地区防災計画」を策定するなど、まちづくりや防災活動で全国から視察が訪れています。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、城西地区では大きな判断の必要に迫られます。年間計画で令和2年11月に予定されていた避難所運営訓練は、地区住民全員を対象に毎年積み重ねてきた大切なイベントです。中止にする選択肢もある一方、城西地区では「どのようにすれば実施できるか」を共に考え、工夫を凝らした訓練を実施しました。それは「避難所運営でどのようにすれば感染リスクを下げることができるか」を“実践”する訓練です。 避難者の受付を2段階にする、密にならないように人の動きを一歩通行にする、屋外で距離をとって展示ブースを設置する、開催時間内であれば参加者の都合でいつ来ても良いようにする、などです。この方式により、コロナ禍ではありますが例年を上回る参加者を獲得しました。 ひとたび災害が発生すると私達の生活環境は一変します。私たちがWithコロナの生活様式を獲得したように、災害といった極端な社会環境の変化にも柔軟に対応し、共に助け合う方法を導き出すことは、即ち災害への備えに他ならないといえるでしょう。

 

担当者

磯打 千雅子
区分:教員
職名:特命准教授
所属:四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構

 

学外パートナー

城西地区まちづくり協議会