香川大学構想会議での議論を踏まえた大学改革プラン(2012年10月)

教育改革の基本方針と具体的取り組み

本学では2011年10月に、地域にある国立大学という原点に立ち帰り、地域とともに発展することを目指した改革を行うために、地元有識者を含めた構想会議を発足させた。11回にわたる構想会議では、地元有識者から教育、研究、社会貢献、大学運営についてさまざまな観点から点検・評価及び提言が出され、それを基にして大学改革プランを策定した。その中で、教育に関連する現状と課題、改革の基本方針、具体的取り組みを次のようにとりまとめた。

【本学の教育の現状と課題】
①入学時点での課題
18歳人口の減少は受験倍率の低下のみならず、入学者の学力や意識の多様化を生み出している。
②在学中の課題
学ぶことへの意識が希薄化し、学修時間が不十分で、課題解決力や能動的な学修習慣が十分に身に付いていない学生が多い。
③卒業時の課題
厳しい就職状況の中で、自信を持って社会に出る学生が少ない。
④教員の問題
教員の教育に対する意識に差があり、教員間の連携が不十分である。

【教育改革の基本方針】
①学生中心の大学へ
ここでしか学べないものを持っている大学、一生の師に出会うことができる大学、自信を持って社会に出ることができる大学、地元にとって無くてはならない人材を輩出している大学を作り上げる。
②教育の質の向上
授業スタイルを改善し、学生の学修時間の増加を図るための工夫を行う。
③多様な学生に対応したきめ細かな教育の充実
学力差に対応した教育を充実させるとともに、学部の枠を超えた特別教育プログラムを開設する。
④教員の意識改革
教員の教育力の向上を図り、学部・研究科の枠を超えた協力体制を築く。

【教育改革のための具体的取り組み】
①初年次教育の学士課程教育の改革
全ての授業にアクティブラーニングを取り入れるとともに、特に意欲の高い学生を対象としたアドバンスト・セミナーを創設する。
②他大学との教育連携の推進
四国防災・危機管理特別プログラムを共同開設して専門家の養成を図るとともに、e-Knowledegeコンソーシアム四国を基盤とした四国8大学における「四国学」等の授業を共同実施する。
③特別教育プログラムの創設
グローバル人材育成プログラム、防災士養成プログラム、人間探求プログラムを開設する。

2012年(平成24年)10月
国立大学法人 香川大学長
長尾 省吾

香川大学の学士課程教育(2011年9月)

香川大学の学士課程教育の策定について

20世紀末から経済、政治、文化、技術が世界規模で流動化を始め、大学もこの流れの位相に合わせて動き出した。これに情報技術の革新も手伝って、知識基盤社会といわれる、大量の知的人材の活躍を必要とする、知識主導型の社会へと変化して来たといわれる。日本の大学ではユニバーサル化といわれる、同学年の過半数が大学へ進学する状況が生まれている。このような状況では大学の役割がおのずとこれまでとは異ならざるを得なくなってきている。それまで社会の外苑にいた大学は社会を構成する重要な要素として注目されるようになってきた。いまや大学が社会の主要な構成の一部となり、その役割と責任を直接的に負うことになった。この結果、大学教育にグローバル化と教育の実質化が求められ、知の創造の拠点としての大学が要求されるようになった。国際的に開かれた大学として、教育研究の世界的標準化が要求されるようになった。これらの要求を満たすために、個々の大学の教育や研究等の情報公開と共に、その大学を卒業する学士の教養や専門的知識能力に対する保証が求められる時代になった。

歴史的には本学では先進的な共通教育(一般教育)への取り組みが行われてきた。たとえば「学士課程」教育やFD等は本学では既におよそ30年前から関心を持たれてきた。しかし、大学教育の大綱化以来、共通教育は大学内に確固たる位置づけを持てず、専門教育の狭間で担当者の献身的な努力の下に維持されてきた。一方、各学部の教育はそれぞれの学問性、歴史性の上に分散キャンパスの弊も手伝って相互に交流することなく個別の発展を遂げてきた。しかし近年、大学としての教育力が問われるようになって久しい。それは学部の教育力だけでも学科のそれでもない、大学総体としての学士課程教育の実践とその成果である。個別学部に閉じこもった教育がどれだけ素晴らしくとも、今社会が大学教育に求める複雑な要求を満たすことはできないであろう。その要求の幾つかは大学以前の教育に委ねられるものでもあるが、しかし、この人間的基礎能力無くしては大学教育が成立しないこともまた確かである。国際的にも、最終教育機関としてあらためてそのことも念頭に教育の実質化が必要な時代を迎えている。

このような社会的要請に応えるために、従来の共通教育と学部教育の区分を出来るだけ廃して、大学教育の根本となる入学後4年間の教育を学士課程教育(undergraduate course)ととらえ、本学が公に約束する教育の水準及び成果を提示すると共に、これらを達成するために必要な諸事項を検討した。その結果、本学が学士課程教育を実践するに当たって、全学的な合意の下に、その基本的骨格について指針として示すものである。特に、共通教育と専門教育を通して、学士としての資質能力を保証するために必要な、明確な教育目標による学位授与の基準、これらを保証する教育課程編成基準(curriculum map及びcurriculum check listとして表す。)及び入学者の受け入れに関わる基準の、三つの基準を明確に示した。また、これらを大学として公的に約束するものである。

特に、学生諸君に対しては学士課程教育の重要項目や、全学共通教育のスタンダード及び専門分野別質保証のスタンダードを前提とした学位授与の基準を示した。これらを具体的には、個々の授業の目的及び到達目標と学位授与の基準の関係を丁寧なシラバスやカリキュラムマップの形にして示した。また、学生個人の達成度が客観的に判断できるように、全学的に統一した基準によるGPA制度を採用する。一方教員の個々の授業実践の判断の一助として、GPC(Grade Point Class Average)は有効なものとなるであろう。

教育の達成度を見るために、その成果をできるだけ正確に評価する必要がある。個々の授業や教育システムの改善のためには達成度評価のための種々の調査が必要である。これらの調査に基づくFDを中心として、教育の改善のためのPDCAサイクルの制度を確立することが、学生の現状把握と教員の教育力の向上において不可欠である。これらの制度は教員の無駄な努力を削減することにも通ずるものである。また、これらの一連の教育システムを合理的に運営し、恒常的に改善するための組織的な体制を構築する必要がある。それらは教育学生支援機構の役割である。

本報告は、本学における学士課程教育改革の端緒となるものである。今後実践に基づく改善の積み重ねの中に、より完成度の高い教育システムの構築の可能性がある。この報告の内容はこのような一連の改革過程の一環として、スタートを切ると共にその方向性を示すものである。教育は教員個々人の経験主義的な方法だけに依らず、世界的な改革の流れを意識しながら学究的な姿勢で取り組む必要がある。ここで提示する本学の教育主題となる「自己教育の機運の醸成」は、大学として組織的継続的に取り組まなければ達成できない課題である。これは学生に自己責任の意識を育てることが背景にあるが、同時に教員にも要求される。全学部の教育に対する教員の意志のベクトル和が大学の教育力を表すことになる。本学に適したより理論的で実践的な教育体制を構築するために今後の香川大学人の努力に期待したい。

 

pdfアイコン香川大学の学士課程教育(平成23年9月22日策定 全文版) (PDF:3,437KB)
pdfアイコン香川大学の学士課程教育(本文のみ) (PDF:426KB)
pdfアイコン            〃           (参照 指針・要項等) (PDF:3,288KB)

注) 報告書中に掲載している各学部の分野別質保証、デイプロマポリシー(DP)、カリキュラムマップ(CP)は、本報告書を取りまとめた時点の検討内容であり、全ての学科、課程を包含するものではありません。

2011年(平成23年)9月
国立大学法人 香川大学
学長  一井 眞比古

教育改革・計画担当理事
伊 藤  寛

香川大学将来構想(2007年3月)

香川大学将来構想の公表に当たって

  香川大学は、理念と目標に基づいて2005年3月に「香川大学改革構想」を公表しました。さらに、大学の個性と競争力を高めるために「地域に根ざした学生中心の大学」をめざすべき方向として示しました。「香川大学改革構想」では、教育機能の強化や進路確定率の向上、特色ある研究プロジェクトの育成、教育研究活動評価の実施などを3~5年で達成すべき課題として挙げています。これらの課題は現在の中期目標・中期計画の中で順次実行に移され、順調な成果をあげています。
   大学に対する社会の期待はたいへん大きく、我われはその期待に応えるために努力していますが、大学の基本的使命は教育と研究であり、さらにそれらの成果を活用した社会貢献であります。
一方、大学を取り巻く社会情勢は激しく変化しており、それらに適切に対処すると同時に、将来にわたる教育研究の質の保証と向上、並びに経営的視点を持った運営体制の構築が求められています。それらの課題に対応するためには中長期的なビジョンをもつ必要があります。また、間もなく具体的検討に入らなければならない次期の中期目標・中期計画(2010~2015年)の策定にも中長期的なビジョンは重要であります。香川大学における5~10年先を見通した大まかな見取り図を社会に提示することの意義は極めて大きいと考え、「香川大学将来構想」を策定しました。
  我われ香川大学の構成員が総力をあげて将来構想に沿った改革を進めるならば、輝かしい香川大学の未来が拓かれるものと確信します。

2007年3月          
国立大学法人 香川大学長
一井 眞比古

pdfアイコン将来構想(PDF:1209KB)
pdfアイコン将来構想(概要版)(PDF:1344KB)

香川大学改革構想(2005年3月) -個性と競争力の発揮を目指して-

香川大学はこんな大学を目指します

◆「地域に根ざした学生中心の大学」を目指します
  香川大学は、「地域に根ざした学生中心の大学」として個性と競争力を高めます。そのために、教育と研究の基盤を強固にします。

○学問・研究の面白さを教えることによって、学生の知的好奇心を刺激します。それによって学生の持つ潜在能力を引き出し、社会のニーズに対応した幅広い専門職業人を育成する大学を目指します。
○創造的、展開的、統合的研究を展開し、研究の高度化を推進します。その成果を地域社会や世界に向けて発信し、学術の発展に寄与するとともに、地域の教育、文化、産業、医療等の発展に貢献します。

◇「出口からみた教育を重視する大学」を目指します
学習意欲の高い学生を集め、社会の要請に応える人材の育成に力を注ぎます。そのために学生が十分な付加価値を身につけることのできる質の高い教育を実践します。同時に、大学の目標に合致した入学者選抜を行うとともに、卒業後の進路確定率100%をめざした支援体制を構築します。

◇「夢を紡ぎ出す研究を大切にする大学」を目指します
高等教育は独創的な研究に支えられています。独創的な研究には夢があります。世界的研究拠点の形成も視野に入れて、夢を語ることができる質の高い研究を行います。その研究に裏打ちされた教育カリキュラムを展開することによって、学生の知的創造性を喚起し、学問(研究)の面白さを体得できる教育を実践します。

◇「地域と共に歩む大学」を目指します
ユニバーサル・アクセス(誰もが何時でも学べる高等教育)の実現に向けて、地域社会の人々の多様な学習ニーズに対応した教育プログラム、コースを開発します。同時に、優れた研究をもとに地域との連携を推進し、地域産業の活性化、医療レベル等の向上に貢献します。


2005年(平成17年)3月
国立大学法人 香川大学長
木村 好次

pdfアイコン改革構想(PDF:307KB)

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