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新任教員からの挨拶「竹内 謙善」

 エンジニアリングデザインスタジオ

講師 竹内 謙善

 2021年4月から香川大学創造工学部,造形・メディアデザインコースに着任致しました竹内謙善です.専門分野は数値シミュレーションと構造最適設計です.コンピュータの高速,大容量化に伴って,物理現象をコンピュータ上で精度良くシミュレーションできるようになりました.今や多くの製品が試作される遥か前の段階で,何度もコンピュータ上でシミュレーションされるようになっています.この数値シミュレーションをさらに推し進めて,製品の最適な構造を導き出すための技術が構造最適設計です.

 数値シミュレーションと構造最適設計について簡単に説明しておきます.私が学生だった1990年代中頃,実家にあったパソコンである計算をさせたところ,計算時間が1時間も掛かって少しびっくりしたことを今も覚えています.最近,同じ計算を私の研究用パソコンで行ってみたところ一瞬で終わりました.正確に調べてみると,現在のパソコンは当時のパソコンの約1,000,000,000倍(約10億倍)の速度で処理できること分かりました.コンピュータの性能向上には驚かされます.昔のものづくりでは何度も試作品を作ったり,実験を重ねたりして製品開発が行われていました.高性能なコンピュータを活用して精度の良い数値シミュレーションが簡単に行えるようになれば,試作や実験のプロセスを大幅に減らすことができます.これは,製品開発のスピードを向上させるだけでなく,試作や実験に伴う環境負荷やコストの低減にも役立ちます.

 コンピュータ上で手軽にシミュレーションが行えるようになると,従来の製品よりもさらに高性能にならないか,あるいはさらに低コストで作れないか,などの課題を解決するために,何度も何度も数値シミュレーションを行いながら製品を改良していく設計方法が生まれました.これが構造最適設計です.コンピュータの性能が向上した現在では,構造最適設計の過程そのものもコンピュータを使って自動的に行わせようという発想が重要になってきました.そのための技術は,広い意味では「人工知能」と言っても良いかもしれません.製品に関わる物理現象(力学)に関する知識に加えて,数学,情報学等の知識を総動員して,構造最適化技術の開発が現在も行われています.

 従来,数値シミュレーションと構造最適設計の技術は主に自動車,飛行機,船,建設機械,工作機械,電気機器,等の分野に適用されて発展してきました.私は,さらにもっと広い分野でこれらの技術が適用できるように研究を進めております.例えば,布製品は様々な技術的な課題によって,コンピュータ上であれこれシミュレーションするより,試作してみた方が早いと思われてきましたが,私たちの研究によって少しずつ技術的な課題が克服されつつあります.以上のように,数値シミュレーションと構造最適設計は,現在もそして将来においても重要な技術だと言えます.私はこれらの分野の研究を通して様々な人と交流し,モノづくりの発展に貢献したいと考えております.よろしくお願い致します.

 

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