高尾英邦教授が推進するJST-CRESTプロジェクトの成果が 「CEATEC AWARD 2023 デバイス部門 グランプリ」を受賞しました
本学部の高尾英邦教授(機械システムコース)が推進するJST-CRESTプロジェクトの成果が「CEATEC AWARD 2023」において「デバイス部門 グランプリ」を受賞しました。
CEATEC(※1)は毎年10月に幕張メッセで開催されるアジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会です。CEATEC AWARD(※2)は、世界中から最先端テクノロジが集まるCEATEC において展示される技術・製品・サービス・ソリューションの中より、各学会、総合研究所、メディアにて構成されるCEATEC AWARD審査委員会(※3)による厳正な審査に基づいて、学術的・技術的・市場性や将来性などの観点から、イノベーション性が高く、優れた技術を評価し表彰するアワードです。その中でデバイス部門は、産業・ビジネス・社会・暮らしを持続的に維持・発展させ、Society 5.0の実現を支える要素技術やそれに用いられるデバイス及びそのテクノロジ、またはその開発コンセプトを対象とし、先進性や技術性、製品・サービス等への活用性に優れると評価されるものを表彰するものです。受賞内容は以下のとおりです。
受賞名: CEATEC AWARD 2023 デバイス部門 グランプリ (Grand Prix, Device Category)
受賞者: 国立大学法人香川大学 JST-CREST
受賞技術: 指先が持つ繊細な感覚を可視化するマルチフィジクス・ナノ触覚センシング
受賞技術の概要:
本技術は人間が感じる手触りを数値化・可視化する全く新しい領域の触覚センシングシステムです。鍵となるのは独自の高分解触覚センサと深層学習(AI)の協働です。高品質の触覚データを取得し、対象が持つ触覚的特徴をAIに記憶させることによって、人間には判別が難しい対象を指先以上に高い感度と正確性で識別できます。本技術は、摺動部の異常摩耗や悪性腫瘍を超初期に発見するなど、様々な分野での応用が期待できます。
CEATEC AWARD 2023審査委員会の選評:
指先が持つ繊細な感覚は「見える化」が難しい分野だった。香川大学では、人間の指先が持つ精緻な指紋構造と触覚受容器の機能を模倣する独自の原理によるシリコンMEM触覚センサで、「粗滑感」「摩擦感」「硬軟感」に加え、「乾湿感」ならびに「冷温感」の5大触覚要素を実現。感覚の「見える化」に成功した。さらに、触覚情報のディープラーニングを組み合わせることで人間を超える触覚能力の実現も可能だとする。例えば、ティッシュペーパー7銘柄を触覚だけで判別するテストでは、人間ではおよそ30%の正解率だったのに対して、ナノ触覚デバイスとAIの組み合わせでは95%以上の正解率が得られ、サンプル品質が高ければ少ないサンプル数でも高精度な学習も可能だとしている。冷温感による熱伝導変化の空間的可視化に成功したことで、触り心地の良さの決め手となる「しっとり感」と「温もり感」の再現が容易になった。例えば天然のバックスキンの代替製品を開発する際の開発期間を短くするなど、再現性を高めることができるとしている。その他、スキンケアの効果や髪の毛の質感、ガンの進行度合いの検査、着心地、鮮度・熟度など様々な分野で客観的な触覚データの活用が見込まれ、今後の多様な分野での応用性が高く評価された。
※1 CEATEC 2023(シーテック)toward Society 5.0 公式サイトはこちらへ
※2 CEATEC AWARD 2023受賞結果発表はこちらへ
※3 CEATEC AWARD 2023審査委員会
学会関係者
一般社団法人情報処理学会/一般社団法人電子情報通信学会/
一般社団法人映像情報メディア学会/一般社団法人電気学会
総研・メディア関連(順不同)
株式会社 MM総研/日刊工業新聞社/日経BP総合研究所/
アイティメディア株式会社/株式会社テクノコア
オブザーバー
総務省/経済産業省/デジタル庁(建制順)
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA) ※CEATEC 2023主催団体
一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ) ※CEATEC 2023共催団体
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ) ※CEATEC 2023共催団体