材料創造工学専攻2年 中森章絵

私は、ドイツのボン・ライン・ズィーク大学、コンピューターサイエンス学科、Norbrt Jung 教授の研究室で約5カ月間のインターンシップを行いました。研究室では、安全制御装置、セキュリティカメラのシステム開発を行っています。私は電動丸のこにおける安全制御装置の改良プロジェクトに参加させていただきました。

このインターンシップでの研究は、私の大学学科の専門分野とは異なりました。仕事を進めるにあたっては基礎知識の習得から始める必要があり、苦労の連続でした。しかし、時間を与えられればどんな仕事もこなすことが可能であるという自信を得られたこと、研究領域を広げられたことに対して満足しています。また、インターンシップの仕事を通してメンバーや教授とのディスカッションを重ねることでコミュニケーション能力の向上が図れたと思います。

滞在中の楽しみがサッカー観戦やスタジアム巡りでした。熱狂的なサッカーファンが多いドイツには多くのサッカークラブチームが存在します。中でも1部リーグのブンデスリーガは世界の有名選手が所属し、その試合は迫力満点です。最近は日本人選手も多く所属しています。海外で活躍する日本人の姿を観るのは、同じ日本人としてとてもうれしく思いました。また、サッカー観戦中に出会った人との交流も楽しみの1つです。同じチームを応援することで、言葉の壁を感じることなく全く面識のない人と気持ちを共有することが出来ました。気づくと、毎回疲れ果てるまで応援していました。
 
VELTINS ARENAシャルケ
VELTINS ARENAシャルケ

ドイツ滞在中にはたくさんの行事を体験しました。国民性なのか、どの行事も大人から子供まで心から楽しんでいるように感じました。特に私の滞在していた冬はクリスマスシーズンで、ドイツ人のクリスマスにかける意気込みに少し驚きました。クリスマスマーケットで有名なドイツですが、11月の終盤から早くもマーケットが始まります。町中にクリスマスの装飾が施され、夜には会社帰りの大人たちがグリューワインをのむ姿が本当に印象的でした。マーケットには手作りの小物やお菓子が並びます。また近くには小規模の観覧車やスケートリンクが建設され、まるで小さな遊園地が街に点在しているかの様でした。12月の下旬からはクリスマス休暇が始まり、さらに盛り上がりを見せていました。私もいろいろなマーケットを巡りましたが、地域によって少しづつ雰囲気が違い、どこに行っても新鮮で楽しかったです。

クリスマスマーケット
クリスマスマーケット

一般家庭でのクリスマスの伝統的な過ごし方にFeuerzangenbowleという行事があります。私も独日協会ボンの役員をされている小林さんのお宅に招待していただいた時、Feuerzangenbowleを体験することができました。これはレモンやオレンジを入れたワインの中にラム酒を染み込ませた砂糖の塊を溶かし込んでいく過程を楽しむものです。ワインと柑橘のいい香りが漂い、ラム酒についた青い炎も綺麗で、おいしいワインと一緒にとてもロマンチックな雰囲気を体験することができました。

ワインに砂糖を溶かしこむ様子
ワインに砂糖を溶かしこむ様子

年越しは数人の友達とケルンで花火を見ました。新年を祝うため、街中がお酒や花火を持って人で賑わっていました。年明け間近になるとライン川周辺を拠点にたくさんの花火が上がり始め、カウントダウンが始まる頃には日本の花火大会でも見たことのないような数の花火が打ちあがりとても綺麗でした。華やかな花火の中、周囲の人達も巻き込んで祝う盛大な年越しは、除夜の鐘や初詣といった日本の正月とは異なり、とても心に残る一生忘れられない年越しになりました。

新年を祝う花火
新年を祝う花火

寮で開かれるパーティーや学校の授業を通して、様々な友人を作ることができました。初めは、どうやって友達の輪を広げていけるのか、どういう風に接したらいいのか、と悩むこともありました。しかし、まずは自分から人との交流の場に積極的に行ってみるしかないと考えるようになりました。話してみると、日本の友人と何ら変わりなく時間を忘れて話すことに夢中になっていました。様々な国の友達を作ることで、いろいろな意見や国の事情を聴くことができて、考え方や知識が広がったように感じています。このインターンを無事に終えることができたのも、生活に馴染めたのも友人たちがいたおかげだと思います。

工学部の友人たち
工学部の友人たち

どこまで海外で実力が通用するか、どれだけ自己の向上のために努力できるのか、この5ヶ月間は、毎日が自分との戦いだったように思います。慣れない生活に苦労することも多々ありました。その中で日々、新しい人との出会いや経験したことのない状況への遭遇を通して、視野を広げることができました。また、インターンシップを無事に成し遂げられたことで目標であった自信を得ることができました。もちろん満足だけではありません。海外で生活してみて、自己主張が強く自分の意見を素直に表現している人が多いことを実感しました。人の意見を聞き入れる力とともに明確な意思表示のできる芯の強い人間を目指したい。今の自分に対する課題が明確になったことで、成長していきたいという向上心を持つことが出来ました。この経験を生かして今後も、何らかの形で世界と繋がる人となりたいと思っています。

ページの先頭へ戻る