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舟橋正浩教授らの研究が、Wiley社の電子ジャーナル"Chemistry Select"の表紙を飾りました。

2017年12月21日に発行された、ヨーロッパの化学系学術電子ジャーナル"Chemistry Select"に、来年度から香川大学 創造工学部 先端マテリアルコースを担当する予定の舟橋 正浩 教授らの研究論文が掲載され、そのジャーナルの表紙を飾りました。
Chemistry Selectは、ChemPubSoc Europe(欧州の16化学会の連合体)が、代表的な学術出版社であるWiley社より発行する重要な学術雑誌です。

舟橋教授および香川大学 工学研究科 博士課程の学生である山岡 龍太郎 さんは、アルキル側鎖にオリゴシロキサン部位を導入した液晶性フタロシアニンを合成しました。

フタロシアニンは不溶不融の粉末で、顔料として使用されていました。半導体としても優れた特性を示し、太陽電池への応用が検討されていますが、薄膜作製には真空プロセスが必要でした。
有機溶媒に可溶で光伝導性を示す液晶性フタロシアニンも、これまでいくつかのグループによって合成されていますが、室温で結晶性の粉末であり均一な薄膜の作製は困難でした。

今回開発された液晶性フタロシアニンは、側鎖にシリコンオイルの部分構造であるオリゴシロキサン部位を導入しているため、有機溶媒への溶解性が高く、室温でワックス状の液晶状態です。液晶状態では分子が一次元的に積層したカラム凝集体を形成しており、カラム凝集体を基板に平行に、あるいは垂直に立てて並べる事ができます。また、電子とホールがカラム凝集体に沿って効率的に伝導します。

液晶状態では、電子機能を持つ結晶的なカラム凝集体と、液体的なオリゴシロキサンがナノメータースケールで相分離しているため、液体的な柔軟性と結晶的な電気伝導性を併せ持つ凝集構造が形成されます。
ジャーナルの表紙の画像は、液晶状態での分子凝集構造を青い海に島々が点在する瀬戸内海の風景になぞらえて表現したものです。

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▲ChemistrySelect, 2, 11934–11941 (2017).