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舟橋正浩教授が執筆した総説記事(電子版)がNatureの姉妹誌であるNature Reviews Materialsに掲載されました

2017年3月1日、工学部材料創造工学科の舟橋正浩教授が執筆した総説記事(電子版)が Nature の姉妹誌である Nature Reviews Materials(http://www.nature.com/natrevmats/)に掲載されました。

記事タイトル
Transport of ions and electrons in nanostructured liquid crystals

本総説記事は、東京大学大学院工学研究科加藤隆史教授、吉尾正史准教授、東京農工大学大野弘幸教授、一川尚広准教授、ヴュルツブルク大学 B. ソベラーツ博士との共著で、ナノ構造を導入した液晶材料中でのイオン・電子伝導に関するものです。

液晶材料の用途としては、液晶ディスプレイが有名です。しかし、近年ディスプレイ以外の用途が日本・欧州の研究グループによって検討されており、イオンや電子を輸送する液晶材料の開発が注目されています。このような機能性液晶材料はトランジスター、太陽電池、発光素子、燃料電池、バッテリー、人工筋肉などへの応用が期待されています。優れたイオン・電子輸送性を実現するためには、液晶中にメータースケールでイオンや電子の通り道を作り込む事が必要になります。

水素結合などの弱い分子間相互作用を利用してナノメータースケールでの相分離を促進し、液晶中にナノ構造を導入する試みは、加藤教授の研究グループによって 1980 年代末から精力的に進められています。その結果、1 次元的、あるいは 2 次元的なイオン伝導性を示す液晶材料や、液晶性カテナン・ロタキサンが実現されました。その一方、1990 年代後半より、舟橋教授によって拡張されたπ電子共役系を分子内に組み込んだ液晶性半導体の研究が推進され、電界効果型トランジスターや電界発光素子、太陽電池への応用が検討されるに至っています。本総説では、ナノ相分離を利用した液晶のナノ構造化、イオン伝導性液晶、液晶性電子伝導に加えて、液晶性のレドックス活性材料を取り上げ、歴史的背景、分子デザイン、物性、デバイス応用について詳細に解説しました。舟橋教授が香川大学で推進しているソフトマターエレクトロニクス、液晶性フォトニック半導体、液晶性混合伝導体、強誘電性半導体についても、取り上げられています。