事業概要

研究設備の共用、高度な技術支援、そしてマテリアルデータの収集と利活用へ

 本マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)事業は最先端研究設備の共用と高度な技術支援の提供に加えて、共用に伴って創出されるマテリアルデータを、利活用しやすい構造化された形で、収集・蓄積を行います。本事業で創出される構造化データは物質・材料研究機構(NIMS)が構築する「データ中核拠点」を通じて提供していきます。
 香川大学では、平成24年度から令和3年度までの10年間に設備共用事業である文部科学省ナノテクノロジープラットフォームに四国で唯一の機関として参画し、研究設備インフラの構築、その高度化に取り組んできました。この事業期間の産学官の利用件数の総数は、359件にも及び、関西圏・関東圏へと支援エリアも拡大し、大企業の高度な技術代行にも対応できる機関となってきました。
 令和3年度からは、後継となる本事業に採択され、設備共用から創出されるマテリアルデータの収集・蓄積~利活用が可能な研究データインフラを整備し、産学官のマテリアル研究開発を先導する新たな研究インフラ・プラットフォームの構築に向けて、全国の25機関と連携して進めています。香川大学は、七つの重要技術領域の一つ「高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル」のスポーク機関を担い、ハブ機関の東北大学を中心に同じくスポーク機関の筑波大学、豊田工業大学と連携して本事業に取り組んでいます。
 本領域で対象とする多種多様な材料・構造・プロセスから成る高度なデバイスは、例えばloT普及のために必須であり、新しい価値と産業の創出につながります。ハブ・スポーク機関の連携の下、機能材料を含む幅広いマテリアルに対応する共用設備群に発展させるとともに最適な材料・構造・プロセスの組合せ検討に役立つマテリアルデータを収集し利活用できる環境を構築し、最先端のMEMSやパワーエレクトロニクスなど、高度なデバイスのデータ駆動型研究開発に貢献します。

 我々は本事業を通じて産学官の様々な方の研究開発に貢献することを楽しみにしています。

業務主任者
寺尾京平
(香川大学微細構造デバイス統合研究センター副センター長・創造工学部教授)