東日本大震災は、個々の地域組織(行政・企業・病院・学校など)の被害にとどまらず、市町村が機能不全に陥り地域の存続を脅かす甚大な被害をもたらしました。今後も首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が予想されており、東日本大震災を凌ぐ被害の発生が危惧されています。このような想定を超える大規模災害にどのように備え対処すれば良いのでしょうか。釜石市の小中学生の避難行動にそのヒントがあります。「想定を信じず」、「最善をつくし」、「率先避難者として振る舞う」ことを日頃の生活の中で訓練を重ねておくことが重要です。この行動は、後に「釜石の奇跡」と呼ばれましたが、素早い避難行動をとった小中学生からは、少し緊張したが訓練通りできたという言葉が聞かれました。日頃の訓練の重要性を示す貴重な教訓です。
香川大学危機管理研究センターでは、この教訓をもとに想定を超える災害発生時において、「適切な状況判断」、「素早い意思決定」、「速やかな行動」ができる、実践力(コンピテンシー)を備えた人材の育成を目的に、「災害状況再現・対応能力訓練システム」を開発し、平成25年6月11日(火)に公開訓練を実施しました。
この訓練システムでは、3D-VR(3次元バーチャルリアリティ)を用いて想定を超える災害状況を再現し、訓練体験者がその危機的な状況の中で状況判断して、意志決定を行い、行動を起こすという一連の訓練を経て実践力の習得を目指します。この訓練システムは、想定を超える状況の突発性や状況判断の難しさによって訓練レベルを上げて行くことができます。また、繰り返し訓練することにより、想定を超える状況に素早く対応できる高度な実践力(コンピテンシー)を身につけることが可能になります。
体験可能なコースは、「学校防災コース」、「応急手当・救命コース」、「行政・企業危機管理コース」の3コースに分かれており、様々な訓練が体験可能です。また継続して新しい訓練の開発も続けています。
学校教員を対象に児童生徒の安全確保・避難誘導ができる人材育成コース
項目 | 内容 |
初期対応 | 地震の揺れを感じた場合や緊急地震速報時に児童生徒の安全確保・避難誘導を行う訓練 |
二次対応 | 地震の揺れが収まった後、次に発生する災害から避難するための訓練 |
引き渡し | 児童生徒を保護者に引き渡すための手順を学習する訓練 |
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一般人を対象に傷病者に対する適切な対応や救命処置ができる人材育成コース
項目 | 内容 |
トリアージ訓練 | 多数の傷病者を、重症度と緊急度によって、治療や搬送の優先順位を決定するトリアージと呼ばれる方法を学習する訓練 一次トリアージ(START法)に従った判定手順を学習する訓練 |
一次救命 (AEDなど含む) |
患者シミュレーターを使用してAEDや心肺蘇生などの救命処置に関する知識や方法を学習する訓練 |
行政・企業等の危機管理担当者を対象にリスクマネジメント(RM)や事業継続管理(BCM)が実践できる人材育成コース
実施日 | 随時実施いたしますので、お問い合わせください。 |
募集人員 | 最大20名程度 ※希望されるコースによって異なります※ |
受講資格 | 特に問いません(どなたでもお申し込み頂けます) |
受講料 | 無料 |
体験時間 | 60分~120分程度 ※希望されるコースや体験人数によって異なります※ |
備考 | 当日は、動きやすい服装で足元はなるべくスニーカーでお越しください。 訓練への利用や研究のため、訓練の様子を撮影やアンケートを実施させて頂きます。目的以外の使用はいたしませんが、不都合がある場合はお申し出ください。 また、訓練の様子を撮影した動画をお持ち帰りいただくことも可能です。希望される方は、4GB以上空きがあるUSBメモリまたはSDカードをお持ちください。 ※希望日・内容等、お気軽にお問合せください※ |
申込書をダウンロードし、必要事項をご記入の上、メール(dcmkikikanri2(a)jim.ao.kagawa-u.ac.jp [(a)を@に直してください。])またはFAX(087-832-1653)にてお申込みください。
訓練体験申込書.docx(Word:23.6KB)
災害状況再現・対応能力訓練システムの概要説明(PDF:2.36MB)