四茂野志音/材料創造工学科2年

1.はじめに

9月2日から9月7日までの6日間、タイのチェンマイへの協定校訪問プログラムに参加した。参加動機は、昨年のプログラムでドイツを訪れ、もっといろんな国に訪れてみたいと思うようになったからだ。また、このプログラムでは、個人では行くことのできない企業や大学に訪れ、貴重な経験をすることができるので、大学でのより専門的な学習が始まる前にこのプログラムに参加し、より多くの知識、経験を積みたいと思った。

2.9月2日

午前9時40分に関西国際空港に集合し、協定校訪問プログラムは始まった。この日はほぼ1日中移動だった。チェンマイのホテル到着後、隣のショッピングセンターのフードコートで夕食をとった。

3.9月3日

チェンマイのタクシー、ソンテウに乗りチェンマイ大学へ向かった。
ソンテウ
ソンテウ

大学に到着しあいさつをした後は、電気自動車に乗り学生の方々に大学構内を案内してもらった。大学構内を自動車でめぐるなんて特別対応だと思っていると、あちらこちらでチェンマイ大学の学生を乗せた同じタイプの電気自動車とすれちがった。チェンマイ大学の敷地は非常に広いため、離れたキャンパスに行く学生はこの電気自動車を使うこともあるそうだ。
電気自動車
電気自動車

大学構内には中学校や高校も立地しており、学生の数に驚いた。

昼食で私たちが行ったのは、セルフサービスで食事を買う形式で、室内ではなく屋外のテラスのような食堂だった。午後からはチェンマイ大学の学生と文化交流をした。チェンマイ大学側はタイの伝統的なお菓子の作り方を教えてくださった。金属の型に生地をつけ、油の中で揚げるお菓子を作るのがとても楽しかった。私たちは、白玉づくり・うちわづくり・おりがみ・あやとり・書道・けん玉を準備していた。とくに、うちわづくりが好評で、自分で作ったうちわに筆で思い思いのことを書くなど、とても喜んでもらえた。

うちわづくり
うちわづくり

夕食は知能機械の澤田先生おすすめの"Lemon Tree"というタイ料理店に行った。カレーや揚げ物につけるソースがとても辛く、初めて本場のスパイシーな料理を食べることができた。

4.9月4日

この日も朝からチェンマイ大学を訪れ、日本で準備を重ねていたプレゼン発表をした。準備の段階で何度も改善をしたスライドだったのでうまく伝わってほしいという思いでいっぱいだった。チェンマイ大学の方の中に坂本竜馬が好きだという人がいた。自分の出身地を紹介するスライドで松島君が高知県を紹介したため、そこから少し話が広がった。全体的には私たちの発表練習が足りなかったと感じた。もっと英語で話す練習をしておくことが必要であったと感じた。
プレゼン発表
プレゼン発表

私たちの発表後時間が少し余ったため、文化交流用に用意していたが時間が足りなくてできなかった歌・福笑いをした。福笑いはタイにはなく、みんな初めてするようだった。歌は「しあわせなら手をたたこう」を歌った。身振りもついているため、理解してもらいやすかった。タイの歌も教えてもらい、こちらはみんなで円を作って踊りながら歌った。即興でやったにもかかわらず、楽しい交流ができた。

その後、義足の研究室を訪問させていただいた。東南アジアなどの治安が不安定な国では地雷による事故も多く、義足はとても大事なものである。しかし、ここで研究しているような義足は費用がかかるため普及させるのは難しいそうだ。義足といえば、パラリンピックのランナーのような、表舞台のイメージが強かったので、幅広い立場・境遇の人が義足を必要としているということを知った。

昼食は、お弁当を用意してくださっていたので教室で食べた。ここで、日本と文化が違うと気づいたことは、タイの人はペットボトルのお水をストローで飲むということだ。タイのお店でお水を買った時や、大学でお水を貰った時は必ず一緒にストローがついてきた。

午後からはチェンマイ大学の学生の研究内容の発表を見た。内容はとても専門的なうえに、農学・医学の分野も混ざっているものだったため半分も理解できなかった。しかし、“上手なプレゼンはなにか” という観点からは多くのことを学べた。例えば、聞いている人に視線を向けるタイミングやスライドの効果的なアニメーションなどだ。今後スライドを用いた発表をする機会が増えると思うのでこの経験を生かしていきたい。
夕食はチェンマイ大学の学生と焼き肉を食べに行った。店内や注文の仕方は日本の焼肉屋と似ていた。焼き肉の後はカラオケに行ったが、日本のカラオケと比べて部屋は狭く、曲はパソコンのキーボードで選択をした。焼肉屋とカラオケは、ナイトマーケット付近に位置していたため、夜のにぎわいを体験でき、とても楽しかった。
焼肉
焼肉

5.9月5日

この日の午前はチェンマイ市街から少し離れたところにあるメチョー大学を訪問した。メチョー大学は長い歴史があり、卒業証書はタイのプリンセスが授与するような信頼のある大学であった。私が驚いたのは大学に制服があるということだ。大学内には制服を着た学生がたくさんいて、日本の大学では見られない光景であった。工学部到着後は施設や農学部の畑などを見せていただいた。工学部の案内をしてくださった方は愛媛や福岡に来たことのある方で、私たちのスライドにもたくさん質問をしてくださった。工学部なのに女性がたくさんいたということは驚いたことの一つである。これは、メチョー大学に限らず言えることで、タイでは日本よりもはるかに男性・女性という分け方をすることが少ないと感じた。

午後はワット・プラ・タート・ドーイ・ステープ寺院を見学した。香川県の金毘羅さんのような感じで階段があり、山の上にあるお寺であった。あいにく到着してすぐに雨が降り始めてしまったが金色の寺院はとても美しかった。参道のお土産物売り場にはタイらしい衣類や雑貨がたくさん置いてあった。
ワット・プラ・タート・ドーイ・ステープ
ワット・プラ・タート・ドーイ・ステープにて

この日は、香川大学の、経済学部の学生と主題の授業でチェンマイに来ている学生とともに夕食をとった。それぞれタイを訪れた目的や動機は違うが、みんなが何をしているのか、何をしたいのかを聞いたり、雑談をしたりして楽しい食事会となった。

6.9月6日

この日はランプン工業地区の日系企業2社を訪問させていただいた。まず、午前中はタイニチインダストリー株式会社を訪問した。この会社はタイ米であられを作る会社で、従業員は現地のタイの方が大半を占める半日系という形の会社であった。日本でもこの会社が製造したおかきは売られているが、パッケージには輸入者の名前を書くため名前はのっていない。タイには日本と比べて人件費が低くおさえられるため多くの日系企業が進出している。しかしこの春、最低賃金が引き上げられたため以前ほどそのメリットがなくなってしまったという。この会社を訪れて感じたのは人と人とのつながりの大切さだ。ほとんどの従業員がタイの人ということが、農家や小売店の人との潤滑油的な役割をしているように感じた。

午後はムラタ・エレクトロニクス・タイランドを訪問した。タブレットやスマートフォンに使われるコンデンサや、電子音機器を製造する会社である。この会社も、見学させていただいた工場の従業員はみんなタイの人だった。しかし、事務系の人は日本人ばかりだった。この会社には様々な部署があり、工場で使う組み立て用の機器など簡単なものは社内で作っているそうだ。ここで感じたのは、様々な分野が集まって1つの会社ができているということだ。大学では学部学科に分かれておりそれぞれ専門的な学習をしているため、このことを意識する機会がなかなかない。ムラタさんを見学することで、会社をマネジメントする人、技術開発をする人、組み立ての作業をする人など、様々な立場の人が1つの会社を支えているということを実感できた。
ムラタ・エレクトロニクス・タイランドにて
ムラタ・エレクトロニクス・タイランドにて

2つの企業訪問の後はウィアン・クン・カーム遺跡を見学した。この地区には狭いエリアにたくさんの寺院があり、その遺跡が今でも残っている。現在のタイを見ても、寺院の数は多いと感じるのに、この遺跡が寺院だったころはもっと多くの寺院があったのだと考えると、タイが仏教国であるというのを改めて実感させられた。

夜はナイトバザールという夜市に行った。チェンマイの観光名所の一つであるため多くの欧米人や日本人を見かけた。タイシルクや置物を置いているお店など興味をそそられる店が多くあった。

7.9月7日

コアスケジュールの最終日は自由時間だった。午前中はチェンマイ動物園に行った。チェンマイ大学の文化交流でよくしてくれた学生が案内をしてくださった。この動物園は園内に自然の滝や森があり、たくさんの自然に触れられた。とても広かったためすべてをまわるのは大変だった。しかし、それ以上にタイのゾウや、綺麗な色の翼をもつ鳥たちなど、
たくさんの動物を見た感動が大きかった。
チェンマイ動物園にて
チェンマイ動物園にて

午後はタイマッサージのお店に行った。日本でもマッサージのお店に行ったことはなかったので少し緊張したが、とても気持ちよく、6日間の疲れをしっかり取ることができた。

8.おわりに

今回の訪問ではたくさんのタイの人と出会ったが、みんな共通していたのはいつもにこやかで優しかったということだ。国民性もあるとは思うが、素直に見習いたいと感じた。また、企業訪問で出会った日本の人は、チャレンジ精神旺盛な人が多かった。目の前のことをしっかり頑張るのは当たり前のことだが、時々は視野を広げて新しいことにチャレンジする勇気を持つことが大事だと感じた。今後はこの経験を活かして勉学に励むとともに、知らない世界のことをもっと知っていきたいと思った。

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