○国立大学法人香川大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

平成28年4月1日

(目的)

第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、国立大学法人香川大学の役員及び職員(以下「役職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条 この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(2) 職員 国立大学法人香川大学に雇用されている全ての者(労働者派遣契約その他の契約に基づき業務に従事する者を含む。)

(3) 障害者 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条第1号に規定する障害者、即ち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、本学における教育及び研究、その他本学が行う活動全般において、そこに参加する者すべてとする。

(4) 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方)

第3条 この要領において、不当な差別的取扱いとは、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、教育及び研究その他本学が行う活動全般について機会の提供を拒否し、又は提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することをいう。なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。

2 前項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益、本学の教育及び研究その他本学が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、役職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

3 この要領において、合理的配慮とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。

4 前項の過重な負担については、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、役職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

(1) 教育及び研究その他本学が行う活動への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか否か)

(2) 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)

(3) 費用・負担の程度

(4) 本学の規模、財政・財務状況

(推進体制)

第4条 本学における障害を理由とする差別の解消の推進(以下「障害者差別解消の推進」という。)に関する体制は、以下の各号のとおりとする。

(1) 最高管理責任者 学長をもって充て、障害者差別解消の推進及びそのための環境整備等(施設等のバリアフリー化の促進、必要な人材の配置、障害のある入学希望者や学内の障害のある学生等に対する受入れ姿勢・方針の明示、情報アクセシビリティの向上等)に関し、本学全体を統括し、総括監督責任者及び監督責任者が適切に障害者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに、最終責任を負うものとする。

(2) 総括監督責任者 国立大学法人香川大学におけるコンプライアンスの推進に関する規則(以下「コンプライアンス規則」という。)第7条に規定するコンプライアンス担当役員をもって充て、最高管理責任者を補佐するとともに、役職員に対する研修・啓発の実施等、本学全体における障害者差別解消の推進に関し必要な措置を講ずるものとする。

(3) 監督責任者 コンプライアンス規則第8条に規定するコンプライアンス推進責任者をもって充て、当該部局における障害者差別解消の推進に関し責任を有するとともに、当該部局における監督者を指定し、当該部局における障害者差別解消の推進に必要な措置を講ずるものとする。

(4) 監督者 別表1に掲げる者をもって充て、監督責任者を補佐するとともに、次条に規定する責務を果たすものとする。

(監督者の責務)

第5条 監督者は、障害者差別解消の推進のため、次の各号に掲げる事項に注意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し、また、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。

(1) 日常の業務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、監督責任者に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第6条 役職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 役職員は、前項に当たり、別紙留意事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第7条 役職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をしなければならない。

2 前項の意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに、意思の表明がない場合であっても、当該障害者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障害者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。

3 役職員は、前2項の合理的配慮の提供を行うに当たり、別紙留意事項に留意するものとする。

(相談体制の整備)

第8条 本学に、役職員が障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するために別表2のとおり相談窓口を置く。

2 相談等を受ける場合は、性別、年齢及び障害の状態に配慮するとともに、対面、手紙、電話、ファックス及び電子メールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。

3 相談窓口は、相談等の内容に応じ関係課等の役職員に前項の処理を依頼することができる。

4 附属学校園を除く学生に関する相談については、学生支援センターバリアフリー支援室を活用し相談できるものとする。

5 附属学校園の園児、生徒に関する相談については、特別支援学校のセンター的機能又は特別支援教室(すばる)を活用し相談できるものとする。

6 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、相談者等のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等があった場合に活用するものとする。

7 第1項の相談窓口は、必要に応じ、相談体制の充実を図るよう努めるものとする。

(紛争の防止等)

第9条 障害を理由とする差別(正当な理由のない不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供等)に関する紛争が生じた場合は、コンプライアンス規則に基づき対応するものとする。

(研修・啓発)

第10条 本学は、障害者差別解消の推進を図るため、役職員に対し、次の各号のとおりの研修・啓発を行うものとする。

(1) 新たに役職員となった者に対して、障害を理由とする差別に関する基本的な事項について理解させるための研修

(2) 新たに監督者となった役職員に対して、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる責務・役割について理解させるための研修

(3) その他役職員に対し、障害特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等による、意識の啓発

(懲戒処分等)

第11条 役職員が、障害者に対して不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合、その態様等によっては、就業規則第67条に規定する職務上の義務に反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。

(雑則)

第12条 この要領に定めるもののほか、障害を理由とする差別の解消に関し必要な事項は、別に定める。

1 この要領は、平成28年4月1日から施行する。

2 この要領は、国が法に基づき策定する差別解消の推進に関する基本方針や障害を理由とした差別に関する相談事例等を踏まえ、必要があると認めるときは、所要の見直しを行うこととする。

(平成28年6月1日)

この要領は、平成28年6月1日から施行する。

(平成28年9月16日)

この要領は、平成28年9月16日から施行する。

(平成29年3月1日)

この要領は、平成29年3月1日から施行する。

(平成29年4月1日)

この要領は、平成29年4月1日から施行する。

(平成29年10月1日)

この要領は、平成29年10月1日から施行する。

(平成30年4月1日)

この要領は、平成30年4月1日から施行する。

(平成30年10月1日)

この要領は、平成30年10月1日から施行する。

(平成31年4月1日)

この要領は、平成31年4月1日から施行する。

(令和2年4月1日)

この要領は、令和2年4月1日から施行する。

(令和2年7月1日)

この要領は、令和2年7月1日から施行する。

(令和2年10月16日)

この要領は、令和2年10月16日から施行する。

(令和3年4月1日)

この要領は、令和3年4月1日から施行する。

(令和3年5月1日)

この要領は、令和3年5月1日から施行する。

(令和3年10月1日)

この要領は、令和3年10月1日から施行する。

(令和4年4月1日)

この要領は、令和4年4月1日から施行する。

(令和4年10月1日)

この要領は、令和4年10月1日から施行する。

(令和5年4月1日)

この要領は、令和5年4月1日から施行する。

(令和5年10月1日)

この要領は、令和5年10月1日から施行する。

別表1

部局等

監督責任者

監督者

法人本部

理事(総務・労務担当)

企画総務部総務課長

教育学部(附属教職支援開発センター及び附属学校園を含む。)

学部長

教育系職員:副学部長

事務系職員:幸町地区統合事務センター長

法学部

学部長

教育系職員:副学部長

事務系職員:幸町地区統合事務センター長

経済学部

学部長

教育系職員:副学部長

事務系職員:幸町地区統合事務センター長

医学部

学部長

教育系職員:副学部長、学科長

事務系職員:医学部総務課長

医学部附属病院

病院長

教育系職員:副病院長

事務系職員:医学部総務課長

創造工学部

学部長

教育系職員:副学部長

事務系職員:林町地区統合事務センター長

農学部(附属農場を含む。)

学部長

教育系職員:副学部長

事務系職員:農学部事務課長

創発科学研究科

研究科長

教育系職員:副研究科長

事務系職員:林町地区統合事務センター長

地域マネジメント研究科

研究科長

教育系職員:副研究科長

事務系職員:幸町地区統合事務センター長

図書館

館長

学術部情報図書課長

博物館

館長

学術部情報図書課長

四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構

機構長

学術部研究協力課長

国際希少糖研究教育機構

機構長

学術部研究協力課長

情報化推進統合拠点

拠点長

情報部情報企画課長

大学教育基盤センター

センター長

教育・学生支援部修学支援課長

アドミッションセンター

センター長

教育・学生支援部入試課長

学生支援センター

センター長

教育・学生支援部学生生活支援課長

キャリア支援センター

センター長

教育・学生支援部就職支援課長

地域人材共創センター

センター長

地域創生推進部地域連携推進課長

大学院教学センター

センター長

教育・学生支援部大学院教学支援課長

研究基盤センター

センター長

学術部研究協力課長

微細構造デバイス統合研究センター

センター長

学術部研究協力課長

瀬戸内圏研究センター

センター長

学術部研究協力課長

産学連携・知的財産センター

センター長

地域創生推進部地域連携推進課長

インターナショナルオフィス

オフィス長

教育・学生支援部国際課長

保健管理センター

所長

教育・学生支援部学生生活支援課長

学長戦略室

室長

企画総務部戦略企画課長

教育戦略室

室長

教育・学生支援部教育企画課長

研究戦略室

室長

学術部研究協力課長

情報戦略室

室長

情報部情報企画課長

地域・産官学連携戦略室

室長

地域創生推進部地域連携推進課長

広報室

室長

企画総務部広報課長

ダイバーシティ推進室

室長

企画総務部人事企画課長

大学連携e―Learning教育支援センター四国

センター長

教育・学生支援部修学支援課長

イノベーションデザイン研究所

研究所長

地域創生推進部イノベーションデザイン研究推進課長

別表2

事業場

相談窓口

幸町地区事業場

学生支援センターバリアフリー支援室

幸町地区統合事務センター事務課(幸町北キャンパス担当)総務係

幸町地区統合事務センター事務課(幸町南キャンパス担当)総務係

幸町地区統合事務センター教務課学務係、学務第一係、学務第二係

保健管理センター

なんでも相談窓口(教育・学生支援部学生生活支援課)

コンプライアンス相談窓口(企画総務部総務課)

附属特別支援学校事業場

特別支援学校事務室

附属高松小学校事業場

高松小学校事務室

附属高松中学校事業場

高松中学校事務室

附属坂出小学校事業場

坂出小学校事務室

附属坂出中学校事業場

坂出中学校事務室

三木町医学部地区事業場

医学部総務課総務係、学務課、総合地域医療連携センター、保健管理センター医学部分室

林町地区事業場

林町地区統合事務センター総務課庶務係、学務課学務係、保健管理センター創造工学部分室

三木町農学部地区事業場

農学部庶務係、学務係、保健管理センター農学部分室

附属農場事業場

附属農場業務係

別紙

障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領における留意事項

障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領第6条及び第7条に定める留意事項は、以下のとおりとする。

第1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例(第6条関係)

対応要領第3条第1項及び第2項のとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は、次のとおりである。

なお、次に掲げる具体例については、正当な理由が存在しないことを前提とし、また、次に掲げる具体例以外でも不当な差別的取扱いに該当するものがあることに留意すること。

対象分野

具体例

大学教育関係

1 障害があることを理由に受験を拒否する。

2 障害があることを理由に入学を拒否する。

3 障害があることを理由に授業受講を拒否する。

4 障害があることを理由に研究指導を拒否する。

5 障害があることを理由に実習、研修、フィールドワーク等への参加を拒否する。

6 障害があることを理由に事務窓口等での対応順序を劣後させる。

7 障害があることを理由に式典、行事、説明会、シンポジウムへの出席を拒否する。

8 障害があることを理由に学生寮への入居を拒否する。

9 障害があることを理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否する。

10 手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイクなどの情報保障手段を用意できないからという理由で、障害のある学生等の授業受講や研修、講習、実習等への参加を拒否する。

11 試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつける。

附属学校関係

1 学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒むことや、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付す。

2 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりする。

附属病院関係

1 サービスの提供を拒否する。

(1) 医療機関や薬局において、人的体制及び設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に診療、入院、調剤等を拒否する。

(2) 医療機関や薬局内に、身体障害者補助犬を同伴することを拒否する。

2 サービスの提供を制限する(場所、時間帯等の制限)

(1) 診察等を後回しにし、又はサービス提供時間を限定する。

(2) 診察室や病室の制限を行う。

(3) 医療の提供に際して必要な情報提供を行わない。

3 サービスの提供に際し条件を付す(障害のない者には付さない条件を付す。)

保護者や介助者の同伴を診察、治療、調剤等の条件とする。

4 サービスの提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをする。

(1) 本人(本人の意思を確認することが困難な場合は家族等)の意思に反した医療の提供を行う。

(2) 病院や施設が行う行事等への参加や共用設備の利用を制限する。

(3) 本人を無視して、介助者や付添い者のみに話しかける。

(4) 大人の障害者に対して、幼児の言葉で接する。

(5) わずらわしそうな態度をとり、又は障害者を傷つけるような言葉をかける。

(6) 診療等に当たって患者の身体への丁寧な扱いを怠る。

その他関係

1 障害があることを理由に窓口対応を拒否する。

2 障害があることを理由に対応の順序を劣後させる。

3 障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

4 障害があることを理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。

5 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来学の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。

第2 合理的配慮に該当し得る配慮の具体例(第7条関係)

合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は、対応要領第3条第3項及び第4項のとおり、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要があるが、具体例は、次のとおりである。

なお、次に掲げる具体例については、過重な負担が存在しないことを前提とし、また、次に掲げる具体例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意する。

(物理的環境への配慮の具体例)

対象分野

具体例

大学教育関係

1 車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡す。

2 図書館やコンピュータ室、実験・実習室等の施設・設備を、他の学生等と同様に利用できるように改善する。

3 移動に困難のある学生等のために、普段よく利用する教室に近い位置に駐車場を確保する。

4 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり、図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりする。

5 障害特性により、授業中、頻回に離席の必要がある学生等について、座席位置を出入口の付近に確保する。

6 移動に困難のある学生等が参加している授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更する。

7 易疲労状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとともに、休憩室の確保が困難な場合、教室内に長いすを置いて臨時の休憩スペースを設ける。

附属学校関係

1 災害時の警報音等が聞こえにくい障害者に対し、災害時に職員が直接災害を知らせる。緊急情報を視覚的に受容することができる警報設備等を用意する。

2 移動に困難のある学生等のために、通学のための駐車場を確保する。参加する授業で使用する教室をアクセスしやすい場所に変更する。

3 聴覚過敏の生徒等のために教室の机及び椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。

4 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、介助する位置(左右・前後・距離等)について、障害者の希望を聞いたりする。

5 介助等を行う学生(以下「支援学生」という。)、保護者、支援員等の教室への入室、授業や試験でのパソコン入力支援、移動支援及び待合室での待機を許可する。

附属病院関係

1 エレベーターがない施設の上下階に移動する際、移動をサポートする。

2 電子メール、ウェブページ、ファクシミリなど多様な媒体で情報提供、予約受付及び案内を行う。

3 電光表示板、磁気誘導ループ等の補聴装置の設置、音声ガイドの設置等、配慮や工夫を行う。

4 施設内放送を文字化する。電光表示板で表示する。

5 外見上、障害者であると分かりづらい患者(難聴者等)の受付票にその旨が分かる連絡カード等を添付するなど、スタッフ間の連絡体制を工夫する。

6 診療の予約時等に、患者から申出があった自身の障害特性等の情報を、スタッフ間で事前に共有する。

7 トイレや浴室をバリアフリー化・オストメイト対応にする。

その他関係

1 段差がある場合に、車椅子利用者に対し、キャスター上げ等の補助をする。または、携帯スロープを渡すなどする。

2 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝えるなどする。

3 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。

4 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

5 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難であることから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける等の対応をする。

6 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、又はバインダー等の固定器具を提供したりする。

7 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。

(意思疎通の配慮の具体例)

対象分野

具体例

大学教育関係

1 授業や実習、研修、行事等のさまざまな機会において、手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイク、補聴システムなどの情報保障を行う。

2 ことばの聞き取りや理解・発声・発語等に困難を示す学生等のために、必要なコミュニケーション上の配慮を行う。

3 シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう、学生等の要望に応じて電子ファイルや点字・拡大資料等を提供する。

4 聞き取りに困難のある学生等が受講している授業で、ビデオ等の視聴覚教材に字幕を付与して用いる。

5 授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与える。

6 事務手続きの際に、教職員や支援学生が必要書類の代筆を行う。

7 障害のある学生等で、視覚情報が優位な者に対し、手続きや申請の手順を矢印やイラスト等でわかりやすく伝える。

8 間接的な表現が伝わりにくい場合に、より直接的な表現を使って説明する。

9 口頭の指示だけでは伝わりにくい場合に、指示を書面で伝える。

10 授業でのディスカッションに参加しにくい場合に、発言しやすいような配慮をしたり、テキストベースでの意見表明を認めたりする。

11 入学試験や定期試験、または授業関係の注意事項や指示を、口頭で伝えるだけでなく紙に書いて伝達する。

附属学校関係

1 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、単語や文節の区切りに空白を挟んで記述する「分かち書き」にする、なじみのない外来語は避ける等)を行う。また、その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

2 知的障害のある利用者等に対し、抽象的な言葉ではなく、具体的な言葉を使う。

例えば、サービスを受ける際の「手続」や「申請」など生活上必要な言葉等の意味を具体的に説明して、当該利用者等が理解しているかを確認する。

3 子供である障害者又は知的障害、発達障害、言語障害等により言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な障害者に対し、絵や写真カード、コミュニケーションボード、タブレット端末等のICT機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択・自己決定を支援したりする。

その他関係

1 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等などのコミュニケーション手段を用いる。

2 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

3 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

4 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。

5 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。

6 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

7 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する。

8 障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

9 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害を持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。

10 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行う。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)

対象分野

具体例

大学教育関係

1 入学試験や定期試験において、個々の学生等の障害特性に応じて、試験時間を延長したり、別室受験や支援機器の利用、点字や拡大文字の使用を認めたりする。

2 成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討する。

3 外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、介助者等の立ち入りを認める。

4 大学行事や講演、講習、研修等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりする。

5 移動に困難のある学生等に配慮し、車両乗降場所を教室の出入り口に近い場所へ変更する。

6 教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認める。

7 教育実習、病棟実習等の実習授業において、事前に実習施設の見学を行うことや、通常よりも詳しいマニュアルを提供する。

8 外国語のリスニングが難しい学生等について、リスニングが必須となる授業を他の形態の授業に代替すること

9 障害のある学生等が参加している実験・実習等において、特別にティーチングアシスタント等を配置する。

10 ICレコーダー等を用いた授業の録音を認める。

11 授業中、ノートを取ることが難しい学生等に、板書を写真撮影することを認める。

12 不随意運動等により特定の作業が難しい障害者に対し、教職員や支援学生を配置して作業の補助を行う。

13 感覚過敏等がある学生等に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォンの着用を認める。

14 体調が悪くなるなどして、レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに、期限の延長を認める。

15 教室内で、講師や板書・スクリーン等に近い席を確保する。

16 履修登録の際、履修制限のかかる可能性のある選択科目において、機能障害による制約を受けにくい授業を確実に履修できるようにする。

17 入学時のガイダンス等が集中する時期に、必要書類やスケジュールの確認などを個別に行う。

18 治療等で学習空白が生じる学生等に対して、補講を行う等、学習機会を確保できる方法を工夫する。

19 授業出席に介助者が必要な場合には、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認める。

20 視覚障害や肢体不自由のある学生等の求めに応じて、事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認める。

附属学校関係

1 事務手続の際に、職員や教員、支援学生等が必要書類の代筆を行う。

2 移動に困難のある生徒等を早めに入場させ席に誘導したり、車椅子を使用する障害者の希望に応じて、決められた車椅子用以外の客席も使用できるようにしたりする。

3 入学試験において、本人又は保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、点字、拡大文字又は音声読み上げ機能の使用等を許可する。

4 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒等のために、授業で使用する教科書や資料、問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータを事前に渡す。

5 聞こえにくさのある児童生徒等に対し、外国語のヒアリングの際に、音質・音量を調整したり、文字による代替問題を用意したりする。

6 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な生徒等に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材を用意する。

7 肢体不自由のある生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボールの大きさや投げる距離を変える。走る距離を短くする。スポーツ用車椅子の使用を許可する。

8 日常的に医療的ケアを要する生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。

9 慢性的な病気等のために他の生徒等と同じように運動ができない生徒等に対し、運動量を軽減する、代替となる運動を用意するなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。

10 治療等のため学習できない期間が生じる生徒等に対し、補講を行うなど、学習機会を確保する。

11 読み・書き等に困難のある生徒等のために、授業や試験でのタブレット端末等のICT機器の使用を許可する。筆記に代えて口頭試問による学習評価を行う。

12 発達障害等のため、人前での発表が困難な生徒等に対し、代替措置としてレポートを課す。発表を録画したもので学習評価を行う。

13 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある生徒等のために、能動的な学習活動等においてグループを編成するときには、事前に伝え、場合によっては本人の意向を確認する。また、こだわりのある生徒等のために、話合いや発表等の場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保し、又は個別に対応する。

附属病院関係

1 障害の特性に応じた待機場所の確保等

2 パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設ける。

その他関係

1 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続の順番を入れ替える。

2 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。

3 スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。

4 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。

5 障害者の来学が多数見込まれる場合は、敷地内の駐車場等において、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

6 入構時にICカードゲートがある場合で通過することが困難な場合、別ルートからの入構を認める。

7 他人との接触又は多人数の中にいることによる緊張により、発作等がある障害者の場合は、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。

8 非公表の会議又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。

国立大学法人香川大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

平成28年4月1日 種別なし

(令和5年10月1日施行)

体系情報
第3編 務/第1章
沿革情報
平成28年4月1日 種別なし
平成28年6月1日 種別なし
平成28年9月16日 種別なし
平成29年3月1日 種別なし
平成29年4月1日 種別なし
平成29年10月1日 種別なし
平成30年4月1日 種別なし
平成30年10月1日 種別なし
平成31年4月1日 種別なし
令和2年4月1日 種別なし
令和2年7月1日 種別なし
令和2年10月16日 種別なし
令和3年4月1日 種別なし
令和3年5月1日 種別なし
令和3年10月1日 種別なし
令和4年4月1日 種別なし
令和4年10月1日 種別なし
令和5年4月1日 種別なし
令和5年10月1日 種別なし