平成23年度 香川大学瀬戸内圏研究シンポジウム
 原 量宏氏 遠隔医療による地域医療の再生に向けた取り組みについて~かがわ医療福祉総合特区と島嶼医療の展開~

【講演内容】      
 今日は香川県の遠隔医療総合特区に関する話を致します。      
 
 1年半前に県庁から私に突然電話がありまして、「政府は新成長戦略の目玉として総合特区という制度を新たにつくる。従来の構造特区とは違って、予算も付けるし、各地域からの提案を選んで行う。ぜひとも採択されるようにお願いします」と言われて、気軽にそうですねと言って受けてはみたのですが、全国からの応募が多く、競争率も高いことから、非常に厳しいということが分かって参りました。

 どうして応募するようになったかということですが、元々私は産婦人科医で、1980年に香川医科大学が開校される時に周産期に力を入れるということで、高松にやってきたわけです。その時に地域全体の周産期医療のレベルアップを図るには電子カルテネットワーク以外にはないと思い、大病院、中小の病院、もしくは助産師さんを含めた方と電子カルテネットワークをいろいろやっておりました。
 その後、これがかがわ遠隔医療ネットワークに発展しました。CT、MRI、あらゆる診療情報、医療情報が医療機関で相互にやり取りでき、またデータの蓄積もできます。このシステムを使いますと新しい薬の開発とか、「どこでもMY病院構想」といって、ゆくゆくは皆さんがパソコンやスマートフォンで、自分の健康情報がみえるようになります。最近、このような社会を国が目指すようになってきています。日本国内でも電子カルテネットワークのモデル的なものが一応できてきました。
 この10年間いろんな外部資金に応募して、幸いなことに研究を続けてくることができましたが、今から思いますと申請書を書いて、報告書を書いての繰り返しで、もう1回やれと言われても、できるかどうか、まだ、若かったからできたと思います。

 最近、最も力を入れているのが電子処方箋プロジェクトです。電子カルテネットワークの中で重要な項目は薬の情報、検査の情報、それに病名です。これらが分かれば、ドクター、看護師ならこの患者さんはこういう病気、症状のようだとすぐに分かります。
 こういった情報をあらゆる医療機関の電子カルテから取り出せて時系列で分かるようにするために、これまで4年間取り組んできました。国も電子処方箋を大変重要なプロジェクトとしてとらえ、香川県でモデル的なものが完成するであろうということで、県は幸い来年度の補正予算の採択を受けることができたと思われます。もちろん瀬戸内圏研究センターに属しておりますので、このシステムを小豆島、豊島、本島に応用しようというのが本来の私の任務と感じています。

 
 こういった時系列的な情報を全部繋げていきますと、ある場所に生まれる前の胎児の情報からおじいさん、おばあさんの健康情報まで全てが、かがわ遠隔医療ネットワークで集めることができます。これにテレビ会議システムを付け加えますと、病院や開業の先生はパソコンを使って離島のおじいさん、おばあさんの健康管理を非常にやりやすくなります。ただし、このようにするには規制緩和が必要となります。明治時代から医師は患者さんと対面で診療しなくてはならないという厳しい縛りがありまして、この規制をなんとか緩和したいところであります。
 ほかは技術的なことになりますので省きますが、3年ほどしますと皆様方に国の予算で国民共通番号のICカードが配られるようになると思います。これをパソコン上で見せるだけで良くなり、非常にコンパクトになります。これはほぼ国の方針が決定したところであります。
 
 幸い、かがわ遠隔医療ネットワークは最も販売シェアの高い帝国書院の中学校の社会の教科書に掲載され、高い関心を持ってもいただいているところであります。また、この写真の二人は、私の後任の横井教授と医学教育の岡田教授で二人とも元医療情報部の副部長でありまして、香川県は人材的にも非常に恵まれていると言えます。 

 現在、県内、県外から合計111の医療機関が参画しており、香川県にあるデータセンターを使えば、日本中がそのまま今すぐでも代替することができます。ほかの県で同じことを実現するとなると10億円以上かかってしまうので、私としてはかがわ遠隔医療ネットワークを全国で使ってもらいたいと思っています。

 1年半前に総合特区に応募しなさいと言われました。そこで、素案を作って応募したところ、全国から450も申請がなされて、最終的に採択されるのは33だったのですが、内閣府の方から20くらいかなと言われて、競争率は20倍以上でした。入学試験よりも難しい倍率でプレッシャーがずっとかかっていましたが、県の健康福祉部の方々に担当部署を新たに作っていただきまして、熱心に取り組んでいただきました。

 このスライドは採択された地域を示しています。地域活性化総合特区は26です。この中において遠隔医療で応募して採択されたのは香川県だけです。ほかは介護施設の大きさを少し変えようか、看護師さんの数をもう少し減らそうかというような内容で、ある意味それほど大変ではありません。
 遠隔医療の場合、医師法20条の問題をはじめ、薬剤師、看護師、医師会、薬剤師会、看護協会など関連の団体が多く、この間を調整するのに時間がかかりました。幸い香川県の医師会はかがわ遠隔医療ネットワークを運営しているということもありまして、遠隔医療に対するご理解が非常にあったということで、中央の省庁や医師会、薬剤師会にも相談しつつ、幸い採択になりました。

 香川県の総合特区の取り組みは、かがわ遠隔医療ネットワークをうまく活用して、山間へき地や離島の住民が安心して暮らせるようにということです。そのための規制の特例として、まずは遠隔診療の対象疾患を増やすことです。
 
 現在は慢性疾患の高血圧とか、糖尿病は遠隔医療が認められていますが、妊婦や胎児、新生児(周産期)の疾患を含めて現在許可されていないところを緩めていただく。それから、現在日本国内では、処方箋は紙でなくてはなりません。病院の中ですべてが電子カルテになっていたとしても、紙は印刷して一応取っておかなくてはならないという、非常に不思議な規則になっています。
 その一方で、国の方針として、ここ10年ほど院外処方箋薬局(調剤薬局)の利用が進められてきました。昔は、薬を病院や診療所で受け取っていましたが、現在は、70から80%が処方情報は院外という状況です。そこでは何が起きているかといいますと、以前、病院の中で医師と薬剤師はあまり話をする機会もなかったので、紙の処方箋だけでいっていたのですが、電子カルテが普及すると病院の中の薬剤師も「この患者さんがどういう病名で、検査情報が正常範囲」、「今肝臓の状態が悪いから、この薬は減らした方がよさそう」といったことが分かるようになってきました。一旦、電子カルテが普及してくると、いわゆる病院薬剤師の労働環境が良くなって、しかも医師と薬剤師の協力もやりやすくなっています。
 逆に、その頃から調剤薬局を国の方針として導入していたために、調剤薬局の薬剤師が病名も検査情報も何も分からない。ただただ印刷された紙の通りに薬を渡すだけになってしまって、服薬指導が非常に形骸化してしまっている。
 
 今年から6年制の薬剤師が初めて卒業しましたが、6年も教育されているのに、それではまずいということになり、香川県では徳島文理大学と一緒に香川大学がこのシステムを開発しました。
 わかりやすく説明すると例えば大学病院の電子カルテをクリックすると処方情報と一緒に病名と検査情報が、患者さんが行く薬局のパソコン上で見ることができるということです。さらに調剤薬局の会計のコンピューターにそのまま入るというシステムを開発しています。そこまでできるようになってきましたが、次の問題は複数の病院のシステムを連結することです。これを今年度から行うことにしています。  
 もう1点は薬剤師が患者さんの副作用情報を見つけたら、そこに入力すると病院の電子カルテ上でそれを全部見ることができます。しかも副作用情報をある一定の方式に従って入力できるようにしておきますと、ゆくゆくは地域全体の副作用を分析できるようになります。ある新しい薬を使ったら、こういう副作用が香川県では多かったとか少なかったといったデータを取れるシステムを考えております。技術的には興味深いことがたくさんあります。
 
 しかし、そこまでやる必要はないのではと言う意見もあって、ここ3年間、各関連機関の調整にエネルギーを費やしました。例えば、薬剤師さんは今まで病名を知らないで処方していたから、言われたとおりにやれば良かったわけで、ある意味では楽だった。これからは患者さんの健康情報が全て分かるようになると責任が増えるので大変だなという人もいると思います。
 しかし、これからは従来型の薬剤師ではだめで、せっかく6年制になったのですから、知識や技術を十分に習得して地域の住民に役立つ薬剤師を育成しようとするのが香川県における考え方です。
 
 あと、救急救命士も検査情報、患者の情報がすぐに分かれば、いろいろと処置ができます。例えば、道でたおれている患者さんが糖尿病らしいとまで分かっても、血糖値が高いのか低いのかを、すぐにはわからないんです。血糖値を患者が自分自身では測れるけれども、現時点では救急救命士は測れません。この血糖値測定に関する規制緩和に関しては、残念ながら今回は出していません。出そうとしたのですが、そうすると責任が増えるから・・という方たちもおられたようです。
 しかし総合特区になってみると、出しておけば良かったという意見もあります。幸い、総合特区に一旦認定されますと、今後、新しい提案を出してもよいと国から言われていますので、皆様からの多くの提案を待っているところです。
 
 ところで、従来の構造特区といわれたもの、例えばどぶろく特区と呼ばれるものでは、単に規制を緩和するだけで予算は付きませんでした。今回の総合特区は財政支援をするという点が非常に異なっているところです。また、利子補給をすることも大きな特徴です。香川県内で特区のために新しい事業をやる場合には企業がお金を借りても利子が軽減されるといった大変ありがたい金融支援です。

 総合特区の事業では、このほかにも、いろいろな新しい仕事が発生してきます。例えば、電子処方箋ですと電子カルテと接続のための予算が必要です。
 香川大学の電子カルテはすでに接続できていますが、高松赤十字病院や県立中央病院の電子カルテと接続するためには、ある程度の予算が必要になってきます。これを医療費とは別の予算措置(補助金)でいくのか、診療報酬としてつけていくのかは、なかなか難しい判断です。日本全体としてみれば、結局のところ同じではないですか、と言っても各省庁がわかれているので、そう簡単にはいきません。  
 
 補助金の場合は個々の事例を厳密に評価して、不適格な事例には、補助しなければ予算はある程度以上は膨らまない。ただし一旦診療報酬にすると、制限をかけにくくなり、総額が限りなく増加してしまうということがあるようです。そういった理由もあり、診療報酬ではIT化の予算が付き難いところがあります。ほかには薬剤師や看護師へのIT教育も大変重要になってきます。総合特区では、こういったケアをする仕事が出てくると思われます。

 香川県では「脳卒中地域連携パス」のソフトがすでにかがわ遠隔医療ネットワーク上で動いています。これにチーム香川として開発中の「糖尿病地域連携パス」を新たに加えます。こういったネットワークシステムにガンの地域連携パスや、私の元々の研究テーマでもある周産期電子カルテネットワークを組み合わせることにより、生まれる前の胎児から、新生児、乳児、学童、成人、高齢者までの健康管理システムが実現します。要するに、現在の社会では、ある程度利潤が得られる仕事であれば、新たに挑戦する企業が必ず出てきます。
 しかし、実現すればうまくいくかもしれないが、本当にうまくいくかどうかは分からないといった新しいプロジェクトの場合、そこまで自分の企業がリスクを払うのはどうも・・・、となりやすいです。こういうところへこそ国家予算や公的資金が必要なわけですから、国や県に対して申請して、国民の将来にとって必要で重要なプロジェクトと思っていただけるように話をするのが私の仕事と感じています。
 この十数年間、「何か夢物語を言っているよう」と思われることが多かったと思いますが、皆様のご理解でようやくここまで辿り着いたというところです。
 
 あと離島の患者さんですと、在宅医療といっても国の診療報酬がかなり変わりつつあります。そういった方々に対しても、香川県で早めに取り組みたいと思っているところです。

 次は在宅医療の問題です。例えば本島で、あるおじいさんが寝たきりだとします。ドクターは往診料をもらえますけども、患者が少ないと効率が悪いので、とても採算は取れません。外来で午前中に何十人か患者さんが来てくれれば別ですが、往診したら数人の患者さんに限られます。これではいくら診療報酬が高くても採算がとれません。ただでさえ不足気味の医師のパワーを効率よく使わなければ、国全体としても損失ですよね。そういった意味で、香川県では、テレビ会議システムと電子カルテが連携したドクターコムというシステムを開発しました。
 
 このドクターコムではドクターが患者さんを数多く診られるドクターが混むという意味も含まれています。通常の対面診療だと、患者さんがわざわざ大学病院まで通院して、ドクターは電子カルテを見ながら、前に座っているおじいさんを診察して、そばには付き添いの娘さんがいるということになりますね。しかし、そんなことをしないで大学病院の専門医と地域の先生が同時にテレビ画面上で診察できるようになり、そこに看護師さんも加わることができます。この方式を使って、香川県では離島の医療を充実させようということです。
 
 ではどういうことをするのか。本来だと、同じ医療機関の中で、ドクターのそばに看護師がいて、看護師さんにこのように処置しといてねと言うと、ドクターがいちいち患者さんをみなくても、ほかの患者さんをみながらでも治療ができるわけです。だけどドクターがその場を離れてしまうと、看護師さんが自分自身で判断して治療することは禁じられています。そこで、ドクターコムを利用して、Webカメラやデジカメの情報を看護師から医師にリアルタイムで伝えることにより、たとえ医師がすぐそばにいなくても、経験を積んだ看護師により治療ができるようになります。
 
 香川県では、遠隔医療による治療法を十分に勉強した看護師さん(オリーブナースと名付ける)を養成する予定で、内閣府や厚生労働省に許可していただくようお願いしています。これによりドクターは単位時間あたりに多くの患者さんを診察できますし、保健師、看護師、助産師、それから栄養士といった方々に代わっていただきながら時間を調整しながら効率よく診察することができます。どうしても患者さんを直接診察しなければいけない時には、もちろん、患者さんを輸送するかこちらからドクターが島に行くことになります。

 このようなデータを集めて個人個人で見ることができるようにするのがEHR、さらには「どこでもMy病院構想」です。「どこでもMy病院構想」が実現すると、自分の肝機能や血液検査などの健康データをパソコンや携帯で見ることができ、大変便利です。γ-GDPが高ければ、アルコールの飲みすぎかなというように。ただ、普通のおじいさん、おばあさんの場合には、多くても半年に1回程度しか血液検査をしませんので、グラフ化してもあまり変化がなく、あまり迫力が出ないというか、ありがたみが少なくなります。 
 そこで、数年前、経済産業省の「eヘルスケアバンク構想」というプロジェクトに取り組んだ時に、JR四国にお願いして、毎日の健康管理の確認が必要な運転士さんの健康管理システムをつくりました。運転士さんの場合、普通の民間人と異なり、毎日測定するので、健康状態の変化がきれいな折れ線グラフに表示されるので、健康管理に大変役立ちます。その際に、当時の社長、現在の松田会長には快諾いただきまして非常に感謝しております。
 現在、国は「どこでもMy病院構想」を推進していますが、「eヘルスケアバンク構想」がその原型というわけです。最近、重大な交通事故が多発していますが、バスやトラック、タクシーなどの運輸業界にぜひとも使っていただきたいと考えています。

 私の本来の専門分野である周産期の電子カルテプロジェクトは、北海道・奥尻島から岩手県、そして沖縄・奄美大島まで、全国で取り組んでいます。特に岩手県には産婦人科医が非常に少なく、岩手県内の妊婦さんは我々が開発した電子カルテで管理されています。
 
 岩手県の母子手帳も電子母子手帳になっていて、県行政はWebの母子手帳に妊婦の情報を入力し、パソコンを見ながら管理しています。このプロジェクトは2年前の4月からスタートしておりました。
 昨年3月11日の東日本大震災の時に、東北沿岸部のあらゆる医療機関のデータの大半が失われてしまった中で、唯一妊婦さんのデータが岩手医大のサーバに残っていました。岩手県は大変な混乱状態でしたが、翌日には岩手県の沿岸部には何人の妊婦さんがおられるのか、何人が助かって、妊娠何週目が何人だから、さらには、妊婦の合併症の程度に応じて、早めに岩手医大に搬送しなさいとか、盛岡の県立病院や花巻の病院で分娩しなさいとか、すべてネットワーを介して管理することができました。
 東北3県の大部分の医療情報が失われたなかで、岩手県の妊婦のデータだけが、奇跡的にサーバに残っており、しかもすべての妊婦がネットワークで安全に管理できた事実から、これからは電子カルテネットワークでやるべきだということが国に大変注目されました。
 私はこのシステムを東日本大震災用に考えたわけではないのですが、まったく予期しなかったことから非常に注目されて、今後一気に日本中に展開できそうな気配が出てきました。
 
 福島県ではこれから胎児、新生児、学童児の健康を30年間以上管理しなくてはなりません。例えば生まれた時に被災し、30年後にどうだったか。日本は先進国ですから当然そのようなデータを出す必要があります。その基本的なデータを得るためにも、我々の電子カルテシステムを使っていただければと考えております。
 東北3県に周産期電子カルテが導入されて、将来、胎児からのデータが揃って、幸い何の影響もありませんでしたということになればと願っています。

 このようなシステムを使って薬の副作用情報の検出収集ができます。国が300億円ほどかけて東北大学にメディカルデータバンクを作ることになっています。いろんな疾患のDNA(ゲノム、遺伝子)を調べて新しい遺伝子情報に基づくゲノム製薬に取り組むというもので、このようなものでなければ、諸外国との競争は困難になるところまできています。そういったメガバンク構想のデータセンターの在り方と「かがわの遠隔ネットワーク」の在り方が非常に重要になってきます。一昨日は仙台にいましたが、香川県にとってはうれしいことに、香川医大の卒業生である清元先生が東北大のメガバンク構想の担当の教授に抜擢をされ、東北大と香川大が遠隔医療、電子カルテネットワークに関して、大変協力しやすい体制ができました。今後、岩手県、宮城県、福島県は連携していきます。その為には瀬戸内圏研究センターでさらに頑張っていこうと思います。

 まだぜひとも実現したいと考えていますが、香川県の救急システムとかがわ遠隔医療ネットワークを一体化して、一刻も早く救急車の中で患者さんの基本情報を見ることができるようにしたいと思っています。 そのシステムを東北地方にまず導入して、上手く稼動できるようになりましたら、高知など四国のほうに持ってきたいと考えております。

 国の方針として、東北地方へ香川県の医療ITがすぐに普及するように、かなりの予算をかけてJGN-Xの超高速ネットワーク(帯域1ギガ)を、医療用ITネットワークとして香川県と岩手県の間に設置して、香川県で開発した医療ITを、まずは岩手県、そして宮城県、福島県へ、そしてゆくゆくは高知県から和歌山県、三重県などの太平洋沿岸に、できるだけ早く導入しようという動きがあります。
 その意味で、この度、香川県が指定された遠隔医療の総合特区は、東日本大震災の地域と東南海地震に備えてという中で、国をあげての大変有意義なプロジェクトですので、皆様の、支援、ご理解をよろしくお願いいたします。



【質疑・応答】
Q.島との関わりで2つほど確認したいのですが。言われていたように島嶼部ではインターネットが十分に整備されていません。整備されていたとしてもISDNとかで、すごく時間を要しますので、実際にネット診療はできないことを循環診療で来ているドクターから聞いたりしました。こういう遠隔医療の構想はインターネットの整備がされていない環境では機能しないものなのでしょうか。それともほかに対策があるのでしょうか。
 2つまとめて質問させて下さい。もう一つは看護師さんの話です。島嶼部でドクターを確保するのは現実的に難しいものと思っております。そこで、ドクターの代わりになるのは看護師とかの、準専門職的な方がもっと大きな役割を果たせることが最善なのかなと思ったりしています。先ほどのお話しの繰り返しで恐縮ですが、こういうK-MIXみたいなのが普及・発展していくことで、看護師さんとか準専門職の方の医療行為が今後どのように展開していく可能性があるのでしょうか。


A.前の質問から答えます。小豆島では光ケーブルでなければ遠隔医療はできないのではないかと言われてきましたが、今回の総合特区事業で光ケーブルは引かれるようになります。今後、離島の医療を充実させるために光ケーブルは徐々に普及していくと思います。それと、その島で携帯はいかがでしょうか?繋がりますよね。モバイルでもかなりやれますので、全然使えないということはない。それからADSLでもかなりできます。ファイルを送る時には使いにくいのですが、CTやMRIのような大きな画像でも、ちょっとしたデータなら問題なく可能です。
 次に、看護師の在宅医療での仕事の内容をどのようにして広げるかということですが、これは明治時代からの問題です。

Q.まずはどの島から始めていかれる予定ですか?

A.まずは小豆島からですね。手を挙げていただけるところはやれますので、ぜひ。本島でもやらないと怒られるかなとは思ってはいます。内閣府に応募する時にまずは有名な島の方がヒヤリングに良いですから。まずは小豆島に特化して進めたうえで、次の島の順番を考えています。
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