30年の時を経て再び..播磨灘海底泥の採取に出かけました!

平成23年5月~6月(合計:6航海)  於:播磨灘全域
 1980年代前半頃の瀬戸内海は、赤潮が頻繁に発生するなど、水質汚染が非常に深刻でした。
 そうしたなかで、当時の香川大学の海洋研究グループは、汚染状況の把握するために、東部瀬戸内海の播磨灘における63の測点から海底の泥を採取し、表層泥の底質分布特性を分析した結果、汚染の深刻な測点を明らかにしました。

 それから30年の時を経た今、「とてもきれいになった」といわれる同じ瀬戸内海において、ふたたび同じ測点に赴き、海底泥を採取し分析することになりました。

 海中では、「マリンスノー」と呼ばれるような粒子が、表層から海底に向かって常に沈降しています。そしてそれらの粒子は、いずれ、海底の泥表面に沈着し、泥の中に埋没します。そのため、泥には、海水中での過去の出来事が、長期間保存され続けていると考えることができます。

 1980年代の瀬戸内海といえば、工場排水や生活排水に含まれる有機物が大量に流れ込み、さらには、赤潮が頻発して、その死骸などにより、海水の有機汚濁が深刻だった頃です。

 「30年の時を経て、今の瀬戸内海はどう変わったのか?」「どの程度、きれいになったのか?」

 今回採取した海底泥中の有機物質量や、植物プランクトンの遺骸量を分析し、過去のデータと比較することで、これらの問いに対する、具体的な答えが導き出せるのではないかと、期待を寄せています。
 瀬戸内海研究を牽引してきた香川大学の長い歴史は、昔と今を知る貴重な財産になっています。
この「KK式採泥器」で海底泥を採取します
この「KK式採泥器」で海底泥を採取します
採泥器から、泥の入った「採泥筒」をはずします 採取された泥は1㎝間隔で切断・分析します
採泥器から、泥の入った「採泥筒」をはずします 採取された泥は1㎝間隔で切断・分析します
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