ひっそりと生きていたシャミセンガイたち!

平成23年6月17日  於:香川大学農学部、瀬戸内圏研究センター
 香川大学農学部及び瀬戸内圏研究センターの調査により、香川県の海域において絶滅が危惧されていた「シャミセンガイ」が、現在もなおこの海域で生息していることが確認されました。

 これは、平成21年度に香川県内の漁業者と香川県水産試験場の協力を得て実施した「香川県海域に生息するエビ・カニ等の無脊椎動物の調査」で得られた成果です。

 採集した生物試料を分類ごとに仕分けして重量等のデータを採取した後、県内の分析機関に種の同定を依頼していましたが、平成21年12月に得られた試料の中に、シャミセンガイらしき個体が見つかったため、再度、香川県水産試験場・赤潮研究所に種の同定を依頼した結果、シャミセンガイの類であることが確認されました。

 シャミセンガイは「腕足類」という非常に原始的な形態を持った生物で、香川県海域では長らく生息が確認されていませんでした。また瀬戸内海全域においても、近年はごく少数の生息状況しか報告されていなかかったことから絶滅が危惧されていましたが、今回の調査により合計3個体が確認されました。

 さらに平成22年度に瀬戸内海研究会議の助成を得て同様の調査を継続したところ、シャミセンガイの片側の殻が9枚と、両側の殻を備えたものが3個体確認されました。

 これらの成果は、平成23年5月14日に開催された「(社)日本動物学会中四国支部大会 第63回大会」にて発表したほか、新聞でも報道されました。

 現在、香川大学においてこの個体の遺伝子解析を進めており、種小名についても今後明らかにしたいと考えております。シャミセンガイ類については、瀬戸内海全域でも現在報告例が大変少ないため、今後の研究の進展が大変期待されます。
【写真】 香川県海域で今回の調査で採取されたシャミセンガイの一種
【写真】 香川県海域で今回の調査で採取されたシャミセンガイの一種
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