浅海環境通信

第7号

浅海環境通信 発行 2008年5月
香川大学農学部附属浅海域環境実験実習施設
香川県木田郡庵治町鎌野4511-15
TEL/FAX:087-871-3001
■施設からのご挨拶施設長 多田邦尚
 皆様方には日頃より、浅海域環境実験実習施設の運営に際しまして、ご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
 毎年、この「浅海通信」をお届けして、我々の施設の活動等をお知らせしていますが、昨年度(平成19年度)は、イベントが非常に多く、私たちにとっては多忙な1年でありました。まず、5月に、福武学術文化振興財団の瀬戸内海文化研究・活動支援に係る成果報告会において施設関係の学生総出で運営のお手伝いをし、7月には、干潟ウォッチング(於 新川・春日川河口干潟)、本学農学部生命機能科学実験・実習、8月には、本学共通教育の生物学実習、教職・地学実験実習、日本生物教育会・実験研修「里海の生物環境調査」、里海・里浜 生き物ウォッチング(於 有明浜)と、夏の暑い中ほぼ毎週実習や公開講座を実施しました。私たちスタッフはかなり疲れぎみでしたが、それでも、これらの各種イベントを学生達と楽しく乗り切ることができました。その後も、9月には、瀬戸内海研究会議主催の「瀬戸内海研究フォーラムin香川」のお手伝い、および、日本海洋学会秋季大会参加(於沖縄)、10月には独立行政法人瀬戸内海水産研究所主催の「瀬戸内海水産研究フォーラム」への参加、11月には香川大学主催の「瀬戸内圏研究フォーラム」への参加とイベントは続きました。さらに、施設長の私と施設主任の一見先生は12月には、九州大学応用力学研究所研究集会「沿岸海域の物質循環と環境保全」に参加し、その後、約1週間タイに調査のために出掛けました。
 また、昨年は研究のための外部資金獲得において、非常にうれしいことがありました。私たちの研究集団「チーム瀬戸内海」(代表:多田施設長)は平成18、19年度の2年間、香川大学・学長裁量経費によるプロジェクト研究「浅海域としての瀬戸内海研究」が採択されて研究を実施しておりましたが、これを足場として、平成20年度から3年間の予定で文部科学省・特別教育研究経費(連携融合事業)「干潟を含めた浅海域の生態系研究と地元水産業の活性化」が採択されました。これは、香川大学と香川県が資金を出し合って連携融合事業を実施し、これを文部科学省が支援(初年度1,000万円)するものです。この大型研究資金獲得のためには、香川県のご理解とご協力、また、学内の理事の方や農学部長、さらに、経理・会計および研究協力関係の事務の方々より多大なるご尽力を頂きました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。
 私たちは、これまでも調査・研究に最もエネルギーを注いできましたが、どうしても本施設が開催する各種公開講座などの地域貢献事業ばかりが注目されていたように感じられます。今後は、この大型資金獲得を機会に、地元に根ざした研究活動においても、本施設は現場型研究の前線基地として一段と飛躍したいと決意を新たにした次第です。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。
■2007年度 香川大学農学部附属浅海域環境実験実習施設 教育・研究活動と地域貢献事業
 浅海環境通信の第6号では2006年度に当施設が行った教育・研究活動と主な地域貢献事業についてご紹介いたします。
■2007年度 浅海域環境実験実習施設 スタッフ
施設長   多田 邦尚 (農学部 教授)
施設主任  一見 和彦 (浅海域環境実験実習施設 准教授)
        浜垣 孝司 (浅海域環境実験実習施設 技術専門職員)
関係教官  山田 佳裕 (農学部 准教授)
        末永 慶寛 (工学部 准教授)
■教育・研究活動
【教育(卒業・修士・博士論文研究を除く)】
5月 9日 農学部応用生物科学・実習(1年生対象)
5月16日 農学部応用生物科学・実習(1年生対象)
6月11日 農学部生命機能科学実験・実習(3年生対象)
7月31日~8月4日 農学部生命機能科学実験・実習(海洋実習:3年生対象)
8月 22日 生物学A(全学対象)
8月29日~31日 教職・地学実験(農学部生対象)
10月22日 高知大学農学部アジアンフィールドサイエンス・海外トレーニングコース
(香川大学農学部受入プログラム)
【博士論文研究】
・沿岸生態系において大型珪藻Coscinodiscus wailesiiが生元素循環に与える影響に関する研究
  生産環境学専攻 小野 哲(多田研究室)
・流動制御構造物による底質改善技術に関する研究安全システム建設工学専攻 宮川昌志(末永研究室)
・産業副産物を利用した水圏環境改善技術に関する研究安全システム建設工学専攻 安岡かおり(末永研究室)
【修士論文研究】
・沿岸域における植物プランクトンと懸濁粒子中のリンの挙動生物資源生産学専攻 安森早苗(多田研究室)
・瀬戸内海におけるノリ色落ちと漁場行使システムに関する研究安全システム建設工学専攻
  経澤康雄(末永研究室)
・数値シミュレーションによる坂出発電所の冷海水の環境影響に関する研究安全システム建設工学専攻
  井口 聡(末永研究室)
【卒業論文研究】
・干潟に生息する珪藻類の温度・光環境に対する増殖応答について 近藤泰弘(一見研究室)
・干潟の優占二枚貝ホトトギスガイに対するオナガガモの捕食圧について 住元宏栄(一見研究室)
・播磨灘における成層海域と混合海域の環境特性 林 廣樹(一見研究室)
・干潟の優占生物と餌におけるタンパク質の栄養価 中野可織(多田研究室)
・瀬戸内海播磨灘における植物プランクトンの短期・長期的変動 廣瀬敏一(多田研究室)
・アマモ(Zostera Marina L.)の増殖生理に関する基礎的検討 松野美穂(多田研究室)
・香川県における河川水質と流域環境-流域水質マップの作成- 今川稔文(山田研究室)
・河川における溶存ケイ素の変動と流域環境 千葉大輔(山田研究室)
・石材を用いた漁場造成に関する研究 森 雄一(末永研究室)
・備讃瀬戸東部海域におけるノリ色落ちと流動環境に関する研究 大森敬太(末永研究室)
・海砂採取による海中微粒子の輸送と藻場への影響 矢野勇樹(末永研究室)
■2007年度 浅海域環境実験実習施設に関わる研究業績
【学術論文】
●一見和彦・宮尾和宏・門谷茂:瀬戸内海引田湾における有害赤潮鞭毛藻Karenia mikimoto(渦鞭毛藻)の赤潮発生年と非発生年の海域環境の比較.日本プランクトン学会報,54(1),9-15(2007).
●三戸勇吾・山田佳裕・山本敏哉・中島沙知・白金晶子・堤裕昭・多田邦尚:知多湾における堆積物中の有機物の起源.日本水産学会誌,73(1),1-7(2007).
●三戸勇吾・山田佳裕・小川浩史・山本敏哉・多田邦尚:知多湾表層水中における窒素とリンの空間的季節的変動.沿岸海洋研究,44,191-202(2007).
●Nakashima, S., Yamada, Y., Tada, K.: The characterization of the water quality of dam lake on Shikoku Island , Japan , Limnology, 8 (1), 1-22 (2007).
●中島沙知・山田佳裕・多田邦尚:香川県の沿岸域における魚類の炭素・窒素安定同位体比の分布,香川大学農学部学術報告,59,59-64(2007).
●中島沙知・山田佳裕・多田邦尚:讃岐山脈を源流とする吉田川の上流域における窒素の分布,香川大学農学部学術報告,59,65-69(2007).
●多田邦尚・一見和彦・山田真知子・門谷 茂:洞海湾の河口循環流と赤潮形成,.沿岸海洋研究,44,147-155 (2007).
●田村隆雄・端野道夫・末永慶寛・星川豪:引田湾に隣接する森林流域からの物質流出機構と流出負荷量.土木学会,水工学論文集,51,1165-1170(2007).
●Yamaguchi, H., Loassachan, N., Miyoshi, C., Kuwae, M., Takeoka, H. and Tada, K.:Comparison of vertical distribution of sedimentary biogenic silica among different solid to solution ratio extractions, Chemical Pollution and Environmental Changes. Proceedings of International Symposium Pioneering Studies of Young Scientists on Chemical Pollution and Environmental Changes held on November 17-19, 2006, Matsuyama, Japan, (Tanabe, S., H.Takeoka, T.Isobe and Y. Nishibe eds.), 343-346 Universal Academy Press, Inc. (2007).
●安岡かおり,末永慶寛,松島学,増田光一:閉鎖性海域における水産養殖からの負荷を考慮した環境影響評価に関する研究,日本建築学会環境系論文集,第618号,123~129(2007).
●Suenaga, Y., T. Hashimoto, M. Yamanaka, S. Hasegawa, W. Shiraki and K. Masuda: Numerical Calculation of the High Water Level Fluctuations during the Typhoon Period, Recent Advances in Marine Science and Technology 2006, 73-80 (2007).
●Hoshino, T., Y. Tsunezawa, Y. Suenaga, S. Matsuoka, S. Yoshimatsu, K. Ichimi, M. Fujiwara, K.Yamaga and K. Tada: Numerical Experiment of the Relationship Between Discoloration of Nori(Porphyra yezoensis) and Seasonal Wind, Recent Advances in Marine Science and Technology 2006, 33-42 (2007).
●Yasuoka, K., Y. Suenaga, M. Yamanaka, T. Hoshino, H. Kakegawa and H. D. Ahn: Study on the Porous Material for Improvement of Marine Biological Environment, Recent Advances in Marine Science and Technology 2006, 53-62 (2007).
●Miyagawa, M., Y. Suenaga, H. D. Ahn, K. Yamaoka and Kenji Hotta: Research on the Structure Improving the Bottom Sediment by Current Control, Recent Advances in Marine Science and Technology 2006, 43-52 (2007).
●Miyagawa, M., T. Hoshino, Y. Suenaga, K. Yamaoka, M. Matsushia and H.D. Ahn: Research on Improvement of Sediment by Current Control Technology, Proceedings of XXXII IAHR CONGRESS, THEME D2.b-pp.1-9 (2007).
●Yoneura, D., M. Miyagawa, S. Inokuchi, Y. Suenaga, H. Morita, T. Tamura, Hee-Do Ahn and K. Hotta: STUDY ON THE INFLUENCE OF THE RIVER INFLOW INTO THE OCEAN, Proceedings of Pacific Congress on Marine Science and Technology 2007, 79-85 (2007).
●Yasuoka, K., Y. Suenaga, T. Hoshino, H. Kakegawa and Hee-Do Ahn: RESEARCH ON THE RELATIONSHIP BETWEEN PREY ABUNDANCE AND FISH AGGREGATION. Proceedings of Pacific Congress on Marine Science and Technology 2007, 86-95 (2007).
●宮川昌志・末永慶寛・山岡耕作・松島学・堀田健治:流動制御構造物による海域底質改善技術,Journal of Eco-Engineering, Vol.20, No.2,生態工学会論文集,第20巻,第2号,67~78(2008).
●一見和彦・山下裕明・澤山稔・多田邦尚・門谷茂:新川・春日川河口干潟域(瀬戸内海播磨灘)に生息する底生微細藻類の増殖ポテンシャル.日本プランクトン学会報,55(1),1-8(2008).
●Ichimi, K., Tada, K. and Montani, S.: Simple estimation of penetration rate of light in intertidal sediments. Journal of Oceanography, 64, 399-404 (2008).
●Nakanao, T., Tayasu, I., Yamada, Y., Hosono, T., Igeta, A., Hyodo, F., Ando, A., Saitoh, Y., Tanaka, T., Wada, E. and Yachi, S.: Effect of Agriculture on water quality of Lake Biwa tributaries, Japan . Science of the Total environment, 389, 132-148 (2008).
●山田佳裕:水田から放出される濁った水.人と水,4,20-23(2008).
【学会講演等】
●一見和彦・浜口佳奈子・山本昭憲・多田邦尚・門谷茂:流入負荷されるリンに対する河口干潟域の機能.2007年度 日本海洋学会秋季大会(琉球大学)
●一見和彦・風間健宏・多田邦尚:新川・春日川河口干潟域に出現する動物プランクトンの現存量およびサイズ組成について.2007年度日本海洋学会秋季大会(琉球大学)
●一見和彦・山本昭憲・多田邦尚:新川・春日川河口干潟域に生息する微細藻類の増殖生理と生産性について.2007年度日本海洋学会秋季大会(琉球大学)
●Suksomjit, M., K. Ichimi, K. Hamada, K. Tada and P.J.Harrison: Does ammonium accelerate the growth of phytoplankton in Dokai Bay , Japan compared to nitrate. 2007年度日本海洋学会秋季大会(琉球大学)
●Loassachn.N., K. Ichimi, and K. Tada: Reconstructing the history of eutrophication over 100 years in the Seto Inland Sea, Japan using sedimentary biophilic elements. 2007年度日本海洋学会秋季大会(琉球
大学)
●小野哲・一見和彦・多田邦尚:海水中のSi(OH)4:NO3比の変化に対するCoscinodiscus wailesiiの反応.2007年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会( 横浜市 立大学)
●Miyagawa, M., T. Hoshino, Y. Suenaga, K. Yamaoka, M. Matsushia and H.D. Ahn: Research on Improvement of Sediment by Current Control Technology, Proceedings of XXXII IAHR CONGRESS, Venice, Italy, July, 2007
●Yoneura, D., M. Miyagawa, S. Inokuchi, Y. Suenaga, H. Morita, T. Tamura, Hee-Do Ahn and K. Hotta: STUDY ON THE INFLUENCE OF THE RIVER INFLOW INTO THE OCEAN, Pacific Congress on Marine Science and Technology 2007, Hawaii, U.S.A. June 2007
●Yasuoka, k., Y. Suenaga, T. Hoshino, H. Kakegawa and Hee-Do Ahn: RESEARCH ON THE RELATIONSHIP BETWEEN PREY ABUNDANCE AND FISH AGGREGATION, Pacific Congress on Marine Science and Technology 2007, Hawaii , U.S.A. June 2007
●Hoshino, T., Y. Suenaga, Y. Tsunezawa, K. Tada, K. Ichimi, S. Yoshimatsu and M. Fujiwara:THE INFLUENCE OF THE WIND CONDITION ON THE DISCOLORATION OF Porphyra sp., Pacific Congress on Marine Science and Technology 2007, Hawaii, U.S.A. June 2007
【学会賞受賞】
(1)末永慶寛,平成19年7月 国土交通省四国地方整備局 感謝状「平成19年度管内技術・業務研究発表会優秀論文」
(2)田村隆雄,端野道夫,末永慶寛,山中稔,平成19年11月 財団法人河川環境管理財団 平成19年度河川整備基金
助成事業優秀成果 受賞名「森-川-海 雨水・栄養塩流出モデルの構築と流出負荷量の算定に関する調査研究」
(3)末永慶寛,山中稔,宮川昌志,藤原宗弘,安岡かおり,浅井功,松山哲也,山地功二,平成20年1月 財団法人かがわ産業支援財団 芦原科学賞 芦原科学大賞 受賞名「自然エネルギーを利用した水産資源増殖構造物の開発」
(4)末永慶寛,平成20 年3 月 財団法人エレキテル尾崎財団 源内賞 受賞名「流動制御機能を有する水産資源増殖
構造物の開発」
■附属浅海域環境実験実習施設セミナー
2007年12月26日 演題:播磨灘における長期モニタリング調査から見た植物プランクトン群集の経年変化
演者:西川哲也氏(兵庫県立農林水産技術総合センター 水産技術センター)
■地域貢献事業
・7月22日 干潟ウォッチング(於 新川・春日川河口干潟)(香川県・エコライフかがわ推進会議)
・8月 9日 日本生物教育会 第62回 全国大会香川大会 実験研修「里海の生物環境調査」
・8月20日 里海・里浜 生き物ウォッチング(於 有明浜)「第2回 香川自然史博物館シーサイドスクール」
干潟ウォッチング 日本生物教育会実験研修
干潟ウォッチング 日本生物教育会実験研修
■その他
2007年9月6日~7日にサンポートホール高松で瀬戸内海研究フォーラムin香川(瀬戸内海研究会議、香川県)が開催され、附属浅海域環境実験実習施設から多田教授が第1セッションの座長として、一見准教授が第2セッションの司会・進行役として参加してきました。環境保全・創造に関する研究・活動報告と題したポスター発表で、一見研究室の住元宏栄さんが優秀賞を受賞しました。
瀬戸内海研究フォーラムin香川
■インタラクティブコーナー
皆様と自然科学の研究者とで創るコーナーです。
皆様がこの通信の中で興味を持たれたこと、また疑問に思われたこと、身近な自然の中で不思議に感じられたことがありましたらどしどしお便りください。このコーナーで取り上げさせていただいて、読者の方々の自然に関する興味や知識を深めることが出来たらと思っています。特に投稿規程はありません。お便りお待ちしています。
投稿先:〒761-0130 香川県木田郡庵治町鎌野4511-15 
香川大学農学部附属浅海域環境実験実習施設 一見 和彦 宛
電子メール:ichimi@ag.kagawa-u.ac.jp 施設ホームページ http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/senkai/index.html
◆浅海環境通信のバックナンバーも上記ホームページからご覧いただけます。
編集:浅海域環境実験実習施設利用者グループ
▲ 上に戻る
閉じる