小豆島・内海湾において「養殖ノリの栄養添加試験」を実施します!

平成23年11月から  於:小豆島・内海湾
 香川大学瀬戸内圏研究センター、農学部、工学部などで構成する「チーム瀬戸内海」は、本年末から来年初頭にかけて、香川県等と共同で小豆島・内海湾において養殖ノリの品質の向上を目的とした栄養添加試験を実施します。

 香川県の乾海苔の生産高は、平成12年度の110億円をピークに、平成21年度は31億円、平成22年度は33億円と、ここ最近は著しい低迷を辿っています。これは、いわゆる「色落ち」に代表されるノリの品質の低下がその要因の一つになっています。
 ノリの色落ちは、畑の野菜と同様に、ノリが成長するための栄養(窒素・リン等)が不足することに原因がありますが、瀬戸内海は近年、規制等によりとてもキレイになったと言われる一方で、海の栄養が過度に不足する「貧栄養化」が進んでいることが確認されており、潮流の少ない小豆島・内海湾あるいは志度湾においては、その状況は深刻です。

 こうした中で、ノリの品質・等級を良いものにするために、これまでにも全国各地で数多くの対策が取られてきました。ノリ網へ直接に栄養(肥料)を投入する方法もその一つですが、肥料を多く使用すると海洋環境への負荷が大きくなることや、広い海の中では肥料が拡散してしまうことなどにより、なかなか良い結果が得られていません。
 今回の試験ではこの方法に次の改良を加えて、その効果を検証するもので、日本で初めての試みとなります。

【改良点】
・栄養添加の際に、目の細かいネット(通称:ノリスカート)でノリ網を囲い込み、ノリ網内の水流を弱め、滞留域を設ける。
・滞留域を設けることにより、域内に長く栄養が留まり、肥料の使用量をこれまでよりも大幅に減らすことができるとともに、海洋環境への負荷を最小限に抑えることができる。


 今回の試験により良い結果を得ることができれば、まずは、内湾という限られた海域に限定されますが、「香川モデル」として全国で活用されることが期待されます。

 なお本試験は、香川大学瀬戸内圏研究センター、農学部、工学部などで構成する「チーム瀬戸内海」が主導し、香川県を始め、小豆島町、香川県漁連、内海漁業協同組合の全面的な協力を得て実施します。
小豆島・内海湾における養殖ノリの栄養添加試験概要
小豆島・内海湾における養殖ノリの栄養添加試験概要
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