志度湾のカキ筏(イカダ)に貝リンガルを設置しました!

平成23年10月3日  於:さぬき市志度湾
 香川大学瀬戸内圏研究センターは、平成23年10月初旬にさぬき市志度湾のカキ筏に「貝リンガル」を設置しました。

 志度湾は香川県内でも有数のカキ養殖漁場で、殻付きカキを鉄板で焼く「カキ焼き」が冬の風物詩です。しかし近年、志度湾におけるカキ養殖は不作に見舞われることが多く、収穫量も年々減少傾向にあります。要因のひとつに「死貝の大量発生」がありますが、その原因については、「栄養塩が少なくなったから」、「海水温が高くなったから」など様々な解釈がなされているものの、科学的な根拠に基づいた明確な答えは出されていません。
 そこで今回、カキがなぜ大量死に至るのかということを“カキに直接尋ねてみよう”ということになり、「貝リンガル」を設置することにしました。

 「貝リンガル」とは正式名称を「二枚貝殻体運動測定装置((株)東京測器研究所で販売)」といいます。当センターの本城凡夫センター長等が開発したこの装置は、二枚貝の貝殻の上下にセンサーと磁石を取り付けて、貝の開閉運動で生じる磁力の強弱を電気信号に変換する「生体センサー」です。
 赤潮などへの防御反応や捕餌行動あるいは生殖行動など、貝が生きていくための活動そのものを本装置で解析することによって、貝が「いま何をしているのか」あるいは「何をしたいのか」という、いわば“貝の話し言葉”を読み解くことができるということで、通称「貝リンガル」と呼んでいます。

 すでに(株)ミキモト真珠研究所において、アコヤガイでは、「嫌いな赤潮プランクトンがきた!」「酸素が少ないよ!」「塩分が低下して大変だ!」などの分析が完了しています。
 実際、三重県の英虞湾の真珠養殖場では、貝リンガルを用いた「赤潮警戒システム」を構築して24時間体制で警戒を行っています。アコヤガイからの「赤潮発生!」警報が自動的にメールに送られてくると、すぐに養殖網の退避に取りかかることができ、実際の被害の回避、軽減が図られています。しかし、今回調査するカキの活動分析は、これまで十分に行われていませんでしたので、アコヤガイを「通訳」として同行させています。

 「カキの大量死」が発生しないに越したことはありませんが、万が一の時のためにも、今後、長い期間をかけて調査を実施していく予定です。またこの調査により得られた知見は、様々な機会で発表していく予定です。
貝リンガル本体です。太陽電池で自家発電します。陸上との通信は携帯端末で行います。
貝リンガル本体です。太陽電池で自家発電します。陸上との通信は携帯端末で行います。
カキ筏に装着した貝リンガル本体です。 網カゴに固定して1mと4mの海中に吊り下げます。
カキ筏に装着した貝リンガル本体です。 網カゴに固定して1mと4mの海中に吊り下げます。
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