「カラヌス3」で播磨灘全域の水質調査を実施しました!

平成23年5月16・17日  於:播磨灘全域
 瀬戸内圏研究センター庵治マリンステーションは、平成23年5月16日、17日の両日において、播磨灘全域を対象とした水質調査を実施しました。
 調査には、瀬戸内圏研究センター附属の調査船「カラヌス3」を使用し、庵治マリンステーションから小豆島沖、岡山県沿岸、明石海峡付近、淡路島西岸、鳴門海峡付近の順番に、東部瀬戸内海を広範囲に移動しながら実施しました。
 
 この調査の目的は、「海の光環境(海水の光透過性)」を調べることにあります。近年、瀬戸内海のある場所によって海水の透明度が増加しているものの、その原因については依然として明確な議論がなされていません。そこで今回、その原因となるものの手かがりを探りました。
 
 調査ではまず、各観測点における、海水の光の透過性に関する情報を取得するために、透明度と、照度(光量子量)の水柱における鉛直分布を計測しました。 これは、30㎝ほどある「透明度板」と呼ばれる円板を海中に沈めていき、円板が見えなくなる水深を調べます。この水深は、「透明度」と呼ばれています。今回の調査では1.7mから10mの透明度が計測されました。
 さらに、海水中の植物プランクトン量、鉱物粒子濃度、有色溶存物質濃度を調べるために海水試料の採取も行いました。海水の光透過性は、時間と場所により変化しますが、それを支配しているのは海水中の光吸収物質の量です。瀬戸内海などの内湾域では、一般に、植物プランクトン、鉱物粒子、有色溶存物質(腐食物質など)が時空間的に濃度変動を示す主要な光吸収物質になっており、光透過性の時空間変動をもたらす因子として、これら3成分の相対的重要性を評価する必要があるためです。
 
 今回の調査は、海水の中でも最も流れの大きい「表層面」を対象としていることから、間断なく連続して実施する必要があります。しかし幸いにも、両日ともに晴天に恵まれ、予定していた作業をすべて実施することができました。
 この調査で得られたデータは、研究室において解析した後、学会等の場において公表する予定です。
今回の調査地点
今回の調査地点
ウインチを使ってサンプルを採取中! 作業中の一見准教授、山口助教
ウインチを使ってサンプルを採取中! 作業中の一見准教授、山口助教
家島・坊勢漁港に入港した「カラヌス3」
家島・坊勢漁港に入港した「カラヌス3」
これが「透明度板」です 海水の透明度を観測中!
これが「透明度板」です 海水の透明度を観測中!
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