香川大学 微細構造デバイス研究開発センター
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サンプル写真 工連携(医療用MEMS) 
MEMS内視鏡センサ ”超低侵襲内視鏡医療技術の実現に向けて”
香川大学 工学部 知能機械システム工学科 高尾研究室
(高尾英邦 教授/微細構造デバイス統合研究センター センター長)
香川大学 医学部 消化器内科・神経内科
(森 宏仁 講師/kagawa-NOTESプロジェクト主催者)

進化するMEMSセンサ
医療用MEMSセンサ:無線(光学)式MEMS内視鏡用圧力センサ
Japanese Journal of Applied Physics 57, 04FC05 (2018)


無線(光学)式圧力MEMSセンサを実現しました。
医工連携での内視鏡センサへの応用とともに他分野への応用を目指しています。

■研究の背景
超低侵襲手術・医療技術NOTES(自然開口部越経管腔的内視鏡手術)*の実現に向けて、香川大学工学部の研究成果である半導体マイクロマシン技術(MEMS)を融合して新しい内視鏡センサの研究開発に取り組んできました。従来の有線(電気配線)型センサを内視鏡フードに搭載して、動物実験では臓器(胃)内圧力の測定を実現しました。
一方、医療現場で従来型センサを用いる場合に、電気配線が内視鏡フード等の器具設計を制限すること、医師の術中操作を複雑にすること、断線のリスクがあることが課題となっていました。これらの課題を解決するために、無線(光学)式MEMS内視鏡用圧力センサを研究開発しました。本センサを内視鏡用センサに用いれば、光学的に圧力を検出して圧力値を内視鏡モニタ上に色覚等として表示できるので、電気配線を要せず従来の課題を解決することができます。

*従来型MEMS圧力センサ(有線型)はこちら

■本機器の特徴(原理)
本センサは、下層のSiダイアフラム(層厚:5μm)と上層のSiO2ガラス構造との間にギャップ(空間)を有します(図1)。
外部圧力が高いときにはギャップ(空間)が圧縮されてギャップ長が短くなります。一方、外部圧力が低いときにはギャップ(空間)が膨張してギャップ長が長くなります。このようにギャップ長が外部圧力により変化するので、光(内視鏡光)が入射すると、反射光である干渉光の波長(色相)が変化します。したがって、圧力の変化に伴いセンサ表面の色相が変化します。



         図1.無線(光学)式MEMS内視鏡用圧力センサ

■実験結果(基本動作)

実験では、MEMS圧力センサの色相を検出して画像化しました。圧力は(a)0.2、(b)1.8、(c)2.0kPaです。圧力は0.2から2.0kPaまで増加するに伴い、MEMセンサから検出された色相イメージが変化することが測定されました。このように、 MEMS圧力センサによって外部圧力の変化を色相変化として検出できることを実証しました。


         図2.MEMS圧力センサの色相イメージング変化

■実験結果(内視鏡への応用)

医療応用として、内視鏡(フード)にMEMS圧力センサを搭載して臓器内圧力を測定することを想定して、MEMS圧力センサを内視鏡フードに搭載して工業用内視鏡に用いて、チャンバー内圧力の変化を測定する実験を行いました。
図3(a)にMEMS圧力センサを搭載した内視鏡フードのイメージ図と写真を示します。図3(b)は内視鏡モニターに映し出されたMEMS圧力センサです。チャンバー内圧力を繰り返して増減させてこの内視鏡モニター上のMEMS圧力センサ中心付近の色相を検出して測定しました。
その結果、チャンバー内圧力の増減に応答して検出圧力の増減を測定できました。このように、 MEMS圧力センサを搭載した内視鏡フードによって外部圧力の変化を測定できることを実証しました。



    図3.MEMS圧力センサの内視鏡への応用(実証実験結果)

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