2011年12月22日  その他

井上正也准教授、第33回サントリー学芸賞を受賞(2011年12月・受賞の声)

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法学部の井上正也先生が、第33回サントリー学芸賞(サントリー文化財団;政治・経済部門)を受賞しました。
受賞作となった『日中国交正常化の政治史』(名古屋大学出版会、2010年)は、平成22年度「吉田賞」(財団法人吉田茂国際基金)も受賞しており、同著作の社会的評価の高さがうかがえます。

本日は、井上先生に受賞の喜びを語っていただきました。  

Q:このたびは受賞おめでとうございます。まずは受賞作となった『日中国交正常化の政治史』について、その内容を教えてください。

A:ありがとうございます。私の本は、2009年に神戸大学に提出した博士論文を加筆したものでして、1952年のサンフランシスコ平和条約の締結から1972年の日中国交正常化に至るまでの戦後日本の中国政策の変遷を明らかにしたものです。

Q:この研究テーマはいつ頃、どのような理由で選択したのですか?

A:最初から日本の中国政策をやりたいと思っていたわけではなく、研究テーマに悩んでいた大学院の修士一年の時にアメリカの国立公文書館に行った際に、米中接近や日中国交正常化の前後の外交文書が公開され始めていたことから、このテーマで修士論文を書こうと思いました。2002年当時、日本外交史の研究は、まだアメリカの史料を用いて書くことが一般的でした。最初は史料ありきのような話でしたが、やりはじめてみて、中国問題ほど日本外交の特質を示すものはないと確信するようになりました。

Q:研究を進めていく過程で苦労した点はありますか?

A:もともと日本政治外交史を専攻したことからもわかるように、大学院に入るまでほとんど海外にも行ったことがありませんでした。一人での海外史料調査は、最初はとても勇気がいりました。とはいえ、慣れてくるとこれほど楽しいこともありませんでした。

Q:今後の研究活動の抱負を教えてください。

A:今は高碕達之助という政治家について研究を進めています。事業家から身を起こし、戦後は政治家になりながらも、民間の立場から日中関係や日ソ関係といった独自の外交を展開した面白い人物です。戦後の日本外交を「官」の外交とは違った「民」の視点から見ていきたいと思っております。

Q:最後に、法学部生にメッセージをお願いします。

A:楽な登山ルートで頂上を目指す方法もありますが、成長したいと思うなら、あえてライバルがひしめく激戦のただ中に飛び込んでみるべきだと思います。悔いのない一日一日を過ごしてください。

本日はありがとうございました。

111220_inoue.JPG井上ゼミ(3, 4年生)の皆さんと記念撮影。